地下鉄のザジは、1960年公開のフランス映画。フランスの詩人・小説家であるレーモン・クノーによる1959年発表の同名小説を原作としている。フランス映画のヌーヴェルヴァーグ運動の先駆けとなった。ストライキで地下鉄が運行していないパリを舞台に、少女ザジが町をさまよう様子をシュルレアリスム的でスラップスティックな表現で描いている。
地下鉄のザジ 映画批評・評価・考察
地下鉄のザジ(原題:Zazie dans le métro)
ザジを演じるカトリーヌ・ドモンジョは当時12歳。この後ゴダールの『女は女である』(61)にもザジ役で出演しています。本作品は1961年に映配の配給で日本公開され、2009年にも48年ぶりに劇場で再公開されました。
地下鉄のザジ あらすじ(ネタバレ)
十歳の少女ザジ(カトリーヌ・ドモンジョ)は母とともに生れて初めてパリにやってきた。母はザジを弟のガブリエル(フィリップ・ノワレ)にあずけると、恋人とさっさと消えてしまった。ガブリエル叔父さんはナイト・クラブの芸人だった。パリにあこがれるザジの目的は地下鉄に乗ることだった。その地下鉄がストライキで彼女を大変失望させた。叔父さんの友達で気のいい運転手シャルル(アントワーヌ・ロブロ)の車で家につき、美しい叔母さんのアルベルチーヌが出迎えた。翌朝、ザジは一人で部屋を抜け出し、一階で酒場を経営する家主チュランド(ユベール・デシャン)の目を盗み地下鉄の乗り場に行った。門は閉っていた。泣き出したザジのそばに一人の得体の知れぬ男が近寄った。ザジは男とノミの市に行ったり、レストランに入ったり、さんざんいいおもいをして、用がなくなるとすたこら家へ逃げこんだ。後を追ってきた男は叔母さんに色目を使って叔父さんにつまみだされた。ガブリエルはザジを連れてエッフェル塔に出かけた。叔父さんはそこで四人のドイツ娘からスターと間違えられた。帰り道、街角で話かけたエロ婆さんことムーアック未亡人に、またまたガブリエルは追いかけられる。そこに例の娘たちが現われ、彼をバスに乗せていってしまった。叫び声にかけつけた男は、今朝と同一人物のトルースカイヨン警官だった。警官は未亡人の車にザジと未亡人を乗せて、バスの後を追った。トルースカイヨンは未亡人をまいてアルベルチーヌのもとに行く。彼女は受けつけず、夫に衣裳をとどけた。シャルルが酒場の女店員マドと結婚するという。ガブリエルはレストランに結婚祝いの客たちを招待した。未亡人からドイツ娘、クラブの踊り子……。お祝いが始まり、やがて喧嘩騒ぎになった。ザジは疲れて眠りこんだ。乱闘の最中、警察官トルースカイヨンこと暗黒街の親分アラシッドが、部下たちに武器をもたせてやってきた。レストランは阿修羅の巷と化した。ガブリエルはザジを抱えて地下鉄に避難した。とたんにストの解決した地下鉄が動き出した。ザジはまだ眠っている。翌朝--ザジは約束の時間に叔母さんと母の待つ駅に行った。母親は地下鉄に乗ったかと聞いた。ザジはただ“乗らない、疲れちやった”といった。それがパリヘきた彼女の感想だった。
地下鉄のザジ スタッフ
監督:ルイ・マル
脚本:ジャン=ポール・ラプノー,ルイ・マル
原作:レーモン・クノー
製作:ルイ・マル
音楽:フィオレンツォ・カルピ
撮影:アンリ・レイシ
配給:ユニオン
地下鉄のザジ キャスト
ザジ:カトリーヌ・ドモンジョ
ガブリエルおじさん:フィリップ・ノワレ
アルベルティーヌ:カルラ・マルリエ
トルースカイヨン:ヴィットリオ・カプリオーリ
トゥランド:ユベール・デシャン
マド:アニー・フラテリーニ
シャルル:アントワーヌ・ロブロ
グレド:ジャック・デュフィロ
ムアック未亡人:イヴォンヌ・クレシュ
フェドール:ニコラ・バタイユ
ザジのお母さん:オデット・ピケ