ツインズは、1988年公開のアメリカ合衆国の映画。35年間別々に暮らしてきた似ても似つかぬ双子の兄弟の再会によって巻き起こる騒動を描くコメディ。製作・監督は「ゴーストバスターズ」のアイヴァン・ライトマン。
ツインズ 映画批評・評価・考察
ツインズ(原題:Twins)
脚本:36点
演技・演出:17点
撮影・美術:16点
編集:9点
音響・音楽:9点
合計87点
アーノルド・シュワルツェネッガーがコメディに挑んだ意欲作。6人の優秀な男性の精液を混ぜ合わせ、こちらも優秀な女性に提供、理想的な赤ちゃんを生んでもらおうとする試みがなされるが、なんと生まれてきたのは双子。環境もまったく異なるところで成長した彼らが再び出会うことになって……。すべてにおいて優れた弟と小さくてさえない兄という組み合わせで、シュワルツェネッガーとダニー・デヴィートが並んでいるだけでも笑わせてくれます。この時のシュワちゃんは、大根役者、筋肉役者みたいな感じで決して演技が上手という俳優ではありませんでした。ただ、観客が何を自分に求めているのかというのをよく理解した上で演じていました。堅苦しくぎこちない口調を上手く生かしキャラクターを演出したアイヴァン・ライトマンの手腕もお見事です。また、演技力のあるダニー・デヴィートを組ませたことも大成功の一因だと思います。
ツインズ あらすじ(ネタバレ)
6人の優秀な男達の混合の精液と、美しく才能あるメアリー・アン・ベネディクト(ボニー・バートレット)との間に生まれた全知全能の子ジュリアス(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、孤島で研究対象として育てられ、35歳の誕生日に自分と双子の兄がいることを知らされるや、彼を探しに旅に出る決意をする。
その頃兄のヴィンセント(ダニー・デヴィート)は、高級車を盗んでは売りとばすことで暮らしており、兄弟が再会したのは度重なる駐車違反と免許証の期限が切れたことでヴィンセントが放り込まれていた留置所の面会室だった。弟に罰金を払わせ刑務所を後にしたヴィンセントは、ジュリアスに嘘をついて車を盗み、その帰途恋人のリンダ(クロエ・ウェッブ)と彼女の妹マーニー(ケリー・プレストン)と出会い、ジュリアスとマーニーは親近感を抱きあう。
その頃ジュリアスは母メアリー・アンが生きていることを知り、盗んだ車に偶然500万ドルもの品物があるのを見つけ取り引き先のヒューストンに行こうとしている兄を説得し、実験計画の主任トレーブン教授(ネヘミア・バーソフ)の研究所に立ち寄ることを約束させ、リンダとマーニーも加えた4人の旅が始まった。その頃車の積荷を奪われた組織のボス、ウェブスター(マーシャル・ベル)が彼らの後を追っていた。
教授から長所は弟に、短所は兄に集中したことを聞かされ落胆するヴィンセントであったが、ジュリアスに励まされ母の住むサンタフェ近辺の文化村を訪ねることはする。その夜旅を続けてゆくうちに親しさを増していったジュリアスとマーニーは、ついに結ばれるのだった。翌日文化村を訪ねた4人は、メアリー・アンを知る女性から彼女が死んだことを知らされる。予期しなかった言葉にショックをうけたヴィンセントは、ひとりヒューストンの取り引き場所へ急ぐが、それはウェブスターの罠だった。
危ない所を間一髪ジュリアスに助けられ、ウェブスターを倒したヴィンセントは、弟の勧めで盗品を警察に届け、その賞品でコンサルタント会社を設立する。そんな2人の前に現われたのは、先日芸術村で母の死を教えられた女性。実は彼女こそがメアリー・アンだったのだ。
それから数年後、ジュリアスとマーニー、ヴィンセントとリンダの夫婦にそれぞれ双子の赤ちゃんが生まれた。
ツインズ スタッフ
監督:アイヴァン・ライトマン
脚本:ウィリアム・デイヴィス,ウィリアム・オズボーン,ティモシー・ハリス,ハーシェル・ワイングロッド
製作:アイヴァン・ライトマン
製作総指揮:ジョー・メジャック,マイケル・C・グロス
音楽:ジョルジュ・ドルリュー,ランディ・エデルマン
主題歌:「TWINS」フィリップ・ベイリー&リトル・リチャード
撮影:アンジェイ・バートコウィアク
編集:シェルドン・カーン,ドン・キャンバーン
配給:ユニバーサル映画,UIP
ツインズ キャスト
ジュリアス・ベネディクト:アーノルド・シュワルツェネッガー
優れた能力を持つ人間。生まれてまもなくフィジー諸島に送り込まれ知識は本で会得して育った。非常に純粋で心優しく頭脳明晰で屈強な肉体の持ち主だが、外の世界を全く知らない世間知らずで、人を疑うことを知らない。故に童貞で、マーニーに誘われても、当初は対応できなかった。アメリカへの飛行機で、初めて聴いたロックンロール(『ヤケティ・ヤック』)がお気に入りで、シャワー中も熱唱するほど。終盤でヴィンセント社の経営を手伝う。
ヴィンセント・ベネディクト:ダニー・デヴィート
ヴィンセント商会の経営者だが、実態は借金で倒産寸前であり、高級車を盗んで売り飛ばすケチな犯罪で小金を稼いでいる小悪党。幼少期は孤児院で生まれ育ったが、悪戯で放火する、担当の尼僧を強姦(さらにジュリアスに「初体験は尼さんだった」と自慢気に話している)し、さらに給食費を盗み孤児院を脱走した経歴がある問題児だった。兄のジュリアスに全てを取られたようなダメ男で、ハゲでチビな小太りな上にスケベでケチでいい加減な性格だが、社会の事情によく精通しており、ジュリアスに対して助言してみせるシーンもある。当初は突然やって来た兄を利用するつもりでいたが、ジュリアスの純粋さに次第に心を許していく。200回以上、駐車違反の罰金を踏み倒したところで免許証の更新まで出来ず警察官たちに逮捕されたが、刑務所に迎えに来たジュリアスが保釈金と車の保管料を支払って保釈された。終盤でウェブスターを倒し、燃料噴射装置を本来の持ち主に返したところ報酬をもらって借金を返済出来た。取引で得た500万ドルもジュリアスに返還させられたが、400万ドルだと偽って100万ドルをくすねた。
マーニー・メイソン:ケリー・プレストン
ヴィンセントの行きつけの店のウェイトレス。リンダの妹。ジュリアスに好意を寄せる。
リンダ・メイソン:クロエ・ウェッブ
ヴィンセントの行きつけの店のウェイトレス。マーニーの姉。ヴィンセントのガールフレンド。
メアリー・アン・ベネディクト:ボニー・バートレット
政府の極秘実験に参加したベネディクト兄弟の実の母。芸術家村を運営しており、侵入してきたベネディクト兄弟に会うが、トラヴェン教授から死産だった聞かされていたため、「母親だ」と言う2人の話を信じず、地上げ屋と勘違いし「メアリー・アンは亡くなった」と嘘をついて追い返した。終盤で2人がベネディクト兄弟と名と写真が載った新聞記事を目にし、2人の話が真実だったと悟る。その後、実験の責任者であったトラヴェン教授を訪ね、自分を騙したことを詰って殴り倒した。その後、ベネディクト商会へ訪れ、2人と再会する。
ウェブスター:マーシャル・ベル
運び屋。燃料噴射装置を積んだキャデラックを駐車場から運ぶ手筈だったが、ヴィンセントに車を盗まれたため、彼を狙う。終盤でベネディクト兄弟から現金だけ横取りして兄弟共々射殺しようとしたが、ジュリアスの機転で頭上に鎖付きのフックを落とされて生き埋めにされてしまった。
ビートルート・マッキンレー:トレイ・ウィルソン
ウェブスターが最初取引しようとしていた取引先の上司。盗難エンジンを売りさばこうとしていた。ヴィンセントに500万ドルを支払って、ジェット用の燃料噴射装置を積んだキャデラックを出した直後、ウェブスターに銃で狙撃されて死んだ。
アル・グレコ:デヴィッド・カルーソ
立体駐車場の受付だが、高級車が入車するとヴィンセントに情報を流し、盗みを手伝う小悪党。中盤でウェブスターに拘束されて「さて、お前さんの親友の場所を教えてもらおうか?」とピストルを頭に突きつけられて脅される。
ミッチェル・トラヴェン:ネヘマイア・パーソフ
究極の人間を作り出そうとしたプロジェクトの責任者。研究所まで押しかけたベネディクト兄弟を一度はシラを切って追い返すが、かつてプロジェクトメンバーらと撮った写真をジュリアスから見せられたことで観念し、閉鎖された研究室まで案内して真相とメアリー・アンの居場所を告げる。その後、真実を知ったメアリー・アンに「この薄汚いウソつき!」と罵倒され、顔面を殴られる。
バート・クレイン:モーリー・チェイキン
ボブ・クレイン:トム・マクライスター
モリス・クレイン:デビッド・エフロン
ベネディクトに金を貸しているチンピラ兄弟。三兄弟で長男がボブ、次男がバート、三男がモリス。モリスは借金の取立てにヴェネディクト商会に押しかけたついでにヴィンセントを痛めつけていたが、ジュリアスに返り討ちにされ、右腕を骨折し、むち打ち症になる。その後、3人でベネディクト宅に押しかけるが、先客のウェブスターに「面白い血族だ。」とけなされ、バートとモリスの2人はピストルで脚を撃たれる。母親を探してテキサスへ向かうベネディクト兄弟を追い、ついにとある酒場で二人を見つけ、メイソン姉妹を人質に「ヴィンス、今日と言う今日は借金返済の猶予は無しだ。」と兄弟を駐車場へ連れて行き制裁を加えようと目論むが、ジュリアスの機転と腕力によって、応援に呼んだ従兄弟のサムとデーヴ共々ノックアウトされる。
グレンジャー:ヒュー・オブライエン
ワーナー:トニー・ジェイ
若い頃のメアリー・アン:ヘザー・グラハム(クレジットなし)