許されざる者は、1960年公開のアメリカ合衆国の映画。アラン・ルメイの原作小説を映画化した西部劇。脚色にあたったのはベン・マドウ。「自由の大地」のジョン・ヒューストンが監督、撮影は「尼僧物語」のフランツ・プレイナー、音楽をディミトリ・ティオムキンが担当。出演は「尼僧物語」のオードリー・ヘップバーン、「悪魔の弟子」のバート・ランカスター、オーディ・マーフィら。
許されざる者 映画批評・評価・考察
許されざる者(原題: The Unforgiven )
脚本:37点
演技・演出:18点
撮影・美術:18点
編集:8点
音響・音楽:7点
合計88点
オードリー・ヘプバーンが出演した唯一の西部劇。開拓時代のテキサス。父親を亡くし、母親と3人の息子、養女レイチェルの5人で暮らすザカリー家。レイチェルは長男ベンを慕っているが、ある日、一人の老人が現れ、レイチェルが先住民の娘だと言いふらしたことから、一家に困難がふりかかる…。バート・ランカスター、リリアン・ギッシュはじめ名優が共演、名匠ジョン・ヒューストン監督ならではの演出も魅力的な名作。
許されざる者 あらすじ(ネタバレ)
テキサスの平原に牧場を営むザカリー家は長男のベンを筆頭に、母親のマティルダ、次男のキャッシュ、三男のアンディ、養女レイチェルの5人暮らし。インディアンに殺された亡き父の跡を継いだベンは、思慮深く、周囲からの信望厚く、牧場経営も順調に軌道に乗っていた。
そんなベンを近隣の牧場主ゼブ・ローリンズは信頼し、一家を厚遇。ゼブは、美しく成長したレイチェルを長男チャーリーの嫁に、キャッシュの嫁に長女を、と考える。しかしその一方で、レイチェルは秘かにベンを愛していた。
順風満帆に思えた矢先、エイブ・ケルシーという怪しい老人が近辺をうろつき、「レイチェルにはインディアンの血が流れている」との噂を吹聴する。一家は人々の疑惑の中でひっそりと日々を送る。
やがて、カイオワ族インディアンの首領ロスト・バードがザカリー家を訪ね、幼き日に別れた妹を返せと迫る。妹は白人だ、と要求を拒絶するベン。だがある夜、レイチェルとの婚約のため一家を訪ねたチャーリーが、帰途待伏せたカイオワ族に惨殺されてしまう。ゼフの妻はレイチェルを罵り、一家は窮地に立たされる。
ベンは仲間とともに、災厄の源であるケルシーを捕らえる。処刑場に引きずり出すと、ケルシーは恐ろしい過去を明かす。
かつて、ケルシーはベン達の父ウィルのパートナーだった。十数年前、ウィルはインディアンに襲われた移民の赤ん坊を助けたと偽り、カイオワ族の赤ん坊を盗んだのだ。後にカイオワ族がケルシーの息子を捕らえた時、ケルシーはレイチェルを返して息子をとり戻すようウィルに頼んだ。しかし、ウィルはそれを拒み、ケルシーの息子は殺害される。ケルシーはザカリー家を呪い、一家を追って復讐を願い続けて来たのだ。
ケルシーは絞首刑に処され、ゼブはザカリー家と絶縁。一家は孤立無援となる。
事の真相を知った兄弟達はレイチェルの処遇を巡り分裂。キャッシュは家を出ていく。一方レイチェルは、家族のためにその身をカイオワ族に投じようとする。そこへベンが温くレイチェルを抱きしめる。ベンの愛の深さを知ったレイチェルは一家と共に戦うことを決意。
その夜、カイオワ族の襲撃を受ける一家。味方もなく、夜が明ける頃には銃弾は底をつき、マティルダも負傷し息を引き取った。絶体絶命の中、ベンは捨て身の作戦に打って出る。そこへキャッシュも戻り合流。カイオワ族を退けることに成功する。だが、レイチェルの元にロスト・バードが迫るーー。その時、レイチェルは夢中で銃の引き金を引いた。妹、と叫んで彼は倒れる。
厭まわしい過去と縁を切ったザカリー家は再び団結を得るのだった。
許されざる者 スタッフ
監督:ジョン・ヒューストン
脚本:ベン・マドー
製作:ジェームズ・ヒル
音楽:ディミトリ・ティオムキン
撮影:フランツ・プラナー
編集:ヒュー・ラッセル・ロイド
配給:ユナイテッド・アーティスツ
許されざる者 キャスト
ベン・ザカリー:バート・ランカスター
レイチェル・ザカリー:オードリー・ヘプバーン
キャッシュ・ザカリー:オーディ・マーフィ
ジョニー・ポーチュガル:ジョン・サクソン
ゼブ・ローリンズ:チャールズ・ビックフォード
マティルダ・ザカリー:リリアン・ギッシュ
チャーリー・ローリンズ:アルバート・サルミ
エイブ・ケルシー:ジョセフ・ワイズマン
ヘイガー・ローリンズ:ジューン・ウォーカー
ジョージア・ローリンズ:キップ・ハミルトン
ジュード・ローリンズ:アーノルド・メリット
アンディ・ザカリー:ダグ・マクルーア
ロスト・バード:カルロス・リヴァス