テキサス・チェーンソー ビギニングは、2006年公開のアメリカ合衆国の映画。『テキサス・チェーンソー』の続編。殺人一家の謎と殺人鬼レザーフェイス誕生の秘密が明かされる。「アイランド」のマイケル・ベイが製作し、監督は「黒の怨」のジョナサン・リーベスマン。本作は『テキサス・チェーンソー』の続編であるが、内容的に1974年の『悪魔のいけにえ』により近い作品となっている。
テキサス・チェーンソー ビギニング 映画批評・評価・考察
テキサス・チェーンソー ビギニング(原題: The Texas Chainsaw Massacre: The Beginning)
脚本:30点
演技・演出:17点
撮影・美術:18点
編集:10点
音響・音楽:8点
合計83点
大好きな女優ジョーダナ・ブリュースターが出演しているので、前作の『テキサス・チェーンソー』見ることもなく、けっこう軽いノリで見たのですが、想像を超えるエグい演出の連続で、少々精神的に参ってしまいました。
『悪魔のいけにえ』の前日譚なので救いがないストーリー構成になるとは思っていたのですが、ラストの強引ともいえるシナリオに僕の大好きなジョーダナちゃんが貫かれようとは。。。このシーンさえ、もう少し丁寧であれば傑作だったかもしれないのに。残念な最期でしたが、非常によくできたスプラッターホラー映画でした。こういう芯から凍り付く恐怖感ってなかなか体験できないのでホラー好きの友人にお薦めしたいと思います。
イケメン達が心もイケメンだったことから、結果的により恐怖とエグさが際立った救いがない作品となっています。心して観ましょう。
テキサス・チェーンソー ビギニング あらすじ(ネタバレ)
1939年、一人の赤ん坊が食肉処理工場で生まれた。生まれながらに肢体の不自由な子は包装紙に包まれ、直ぐにゴミ容器の中に捨てられた。たまたまゴミを漁っていた女に拾われた子はトーマスと名付けられ、女とその夫が暮らすヒューイット家で育てられる。トーマスは6歳のときから、動物を殺して解体するなど異常性が際立っていた。やがて9歳から食肉処理工場で働き始めた彼は、30歳のとき工場が閉鎖された衝撃から工場長をハンマーで殴り殺してしまう。住む土地に異常な執着を持つヒューイット一家は、捜索に来た地元の保安官まで殺害する。こうしてヒューイット一家の殺戮が始まった。ベトナム戦争のさなかの1969年。徴兵に悩む18歳の青年ディーン(テイラー・ハンドリー)と、その兄で既にベトナム経験のあるエリック(マット・ボマー)。それぞれの彼女であるベイリー(ディオラ・ベアード)とクリッシー(ジョーダナ・ブリュースター)を伴ってのテキサス縦断旅行の後で、ディーンは戦争に行く気がないことを兄に打ち明けようとしていた。立ち寄ったバーでバイカーのカップルに目を付けられ、4人が出発するとカップルの女性アレックスは彼らのジープを追いかけ、逃げようとしたジープは事故に遭う。怪我を負った3人をアレックスが脅していると、保安官のホイト(R・リー・アーメイ)が現場に到着する。事故で車外に投げ出されたクリッシーが近くの茂みに隠れていると、保安官はいきなりアレックスを射殺、3人をパトロールカーに乗せて拘束してしまった。そしてホイトは残酷な殺人鬼「レザーフェイス」へ変貌しつつあるトーマスとヒューイット家の面々が待つ家へ車を走らせる。クリッシーは後を追うが、ベイリー、エリック、そしてディーンはレザーフェイスとヒューイット家に殺される。からくも車で逃走するクリッシーを後部席に潜んでいたレザーフェイスが斬りつけ、雄叫びを上げるのだった。
テキサス・チェーンソー ビギニング スタッフ
監督:ジョナサン・リーベスマン
脚本:シェルドン・ターナー
原案:シェルドン・ターナー,デヴィッド・J・スコウ
製作:マイケル・ベイ,トビー・フーパー,アンドリュー・フォーム,ブラッド・フラー,マイク・フレイス,キム・ヘンケル
ナレーター:ジョン・ラロケット
音楽:スティーヴ・ジャブロンスキー
撮影:ルーカス・エトリン
編集 ジム・メイ,ジョナサン・チブナル
製作会社:プラチナム・デューンズ
配給:ニュー・ライン・シネマ
テキサス・チェーンソー ビギニング キャスト
クリッシー:ジョーダナ・ブリュースター
この物語の主人公でエリックの恋人。ベトナム戦争へ行くエリックとディーンとその恋人ベイリーとドライブをしていた。ドライブの途中にバイカーのアレックに追われるが、目の前に現れた牛と衝突し、彼女は車外に放り出された。衝突した車の中でエリックの銃を探していたものの、モンティに奪われ、車はヒューイット邸まで運ばれる。捕らわれた仲間達を救う為にヒューイット邸に向かうが、ホイトに捕まってしまい、家族の異常な光景を目撃しながら彼らを侮辱した。仲間たちが次々と殺され、自力で脱出したクリッシーはレザーフェイスに追われながら精肉所の中にある主任の車の鍵を手に入れ、その途中でパトカーを見つける。
エリック:マシュー・ボーマー
クリッシーの恋人でディーンの兄である軍人。弟のディーンと2人でベトナム戦争へ行く途中にクリッシーに指輪をプレゼントするが、それはエリックが14個食べたお菓子のおまけだった。ドライブの途中にカードを燃やそうとしたディーンと言い争いになっていた時にアレックスに追われ、銃を出して彼女に向けるも、目の前に現れた牛と衝突し、車を横転させてしまい、怪我をしながらも生き延びていた。たまたま現れたホイトに車に乗せられ、ヒューイット邸に連れ出されるものの、ディーンと二人で脱走しようとした。ベトナム戦争の経験があるからなのか、煉瓦でヒューイット邸の窓を割ったり、ベイリーと二人でティー・レディを机で塞いだり、ホイトにショットガンで額を向けられた際、恐れる事なく、彼を挑発をした。しかし、クリッシーはベトナム戦争の話をする彼の事はあまり良く思っていないらしい。ディーンの悲鳴でホイトに殴られ、レザーフェイスに悪魔の手術台に運ばれ、身体を切り刻まれる。クリッシーが地下室に行き助けようとするが、身体は固定され助ける事ができず、最後はレザーフェイスにチェーンソーで胴体を切られ、顔を切り刻まれ、レザーフェイスのマスクにされた。
ディーン:テイラー・ハンドリー
エリックの弟で18歳の青年。ベイリーの恋人。ベトナム戦争へ行こうとするエリックの事をあまり良く思っていなかった。ベトナム戦争へ行く途中にカードを燃やそうとするが、エリックに気づかれてしまい、口論をしてしまう。車が横転した時に落ちたカードをホイトに拾われ、「ディーンは誰だ?」と問われるが、エリックが「ディーンは俺です」と言って彼を庇った。ヒューイット邸に連れていかれた際、自分がディーンと名乗りだし、ホイトに腕立て伏せ20回をやらされ、軍隊式制裁を受けながらも20回をやりこなした。二人でヒューイット邸から逃げようとした際に足をトラバサミで挟まれ、身動きが取れなくなり、ヒューイット邸に連れ出される。死亡したかと思われたが、実は生きており、目の前で死んだベイリーを見て涙を流した。その後は自力で脱出し、軍隊式制裁を受けたホイトの頭を掴み床で打つけたり、レザーフェイスに追われたクリッシーを助け反撃するなど兄以上に勇敢な一面を見せたが、クリッシーの目の前でレザーフェイスに後ろからチェーンソーで身体を貫かれ死亡した。
ベイリー:ディオラ・ベアード
ディーンの恋人。ディーンと二人でメキシコへ逃亡したいとクリッシーに相談していた。アレックスに追われた際、目の前に現れた牛と衝突した後は腹部に硝子の破片が刺さり、たまたまた現れたホイトに抜かれる。ヒューイット邸に連れ出された後はテーブルの脚に縛られていたものの、ディーンに救われ二人でティー・レディを身動きを取れぬ様にした。一時は車で逃走をしたが、レザーフェイスに鎌で刺され再び連れ出される。その後、彼女はベッドの下で縛られ、ヒューイット邸に侵入したクリッシーに救われるが、クリッシー共々捕まってしまう。最後は舌がない状態で悲鳴を上げる事もできず、レザーフェイスにハサミで首を切られ死亡した。
レザーフェイス:アンドリュー・ブリニアースキー
本名はトーマス・ブラウン・ヒューイット。ヒューイット家の長男。1939年8月スローンと主任との間にできた子でリー精肉工場に産まれたが、先天的な奇形児で生まれた為に不気味がられ、主任によって包装紙に包まれ、ゴミ箱へ捨てられた。ところがそこでゴミ漁りをしていたルダ・メイに拾われ、ヒューイット一家の長男として生きていく事になった。1969年トーマスが30歳の時に、主任が精肉所を閉鎖すると言い出した。しかし、トーマスは帰ろうとせず、一人で作業をし続けた。説得に来たラッキーから帰れと怒鳴られ道具を置いたものの、ラッキーと主任を驚かせながら精肉所から出た。だが、それでもまだ残っており、精肉所の閉鎖、主任にヒューイット一家の嫌みを言われハンマーで殴り殺した後に主任の部屋の中にあるチェーンソーを持っていった。ヒューイット邸から拉致してきたベイリーを鎌で刺したり、地下室でアレックスの首を切断したり、祖父のモンティの両足をチェーンソーで切断したりした。エリックを地下室へ運び悪魔の手術台に乗せ彼を殺し、顔を剥ぎ取った。これがレザーフェイス誕生の秘話となる。家族の異常な光景を見たクリッシーに挑発され、彼女を地下室へ運ぼうとするが、クリッシーに刃物で刺されてしまう。リー精肉所へ逃げたクリッシーを探し、彼女とディーンに刃物で反撃される。最後はクリッシーが運転する主任の車に乗り、後部座席から彼女の胴体をチェーンソーで貫いて殺害。更に目の前にいた保安官と住人を殺害した。
ホイト保安官:R・リー・アーメイ
本名はチャーリー・ヒューイット。トーマスの叔父。前作「テキサス・チェーンソー」に登場したテキサスの保安官。30年前、産まれたばかりのトーマスに対し「なんて醜いガキだ」と言っていたが、トーマスの父親代わりとなり育てていた。トーマスに精肉所へ紹介した張本人。冷酷な性格で、テキサスへ訪れたエリック達に暴力を振るったり、ディーンに軍隊式制裁したり、叔父であるモンティの両足をレザーフェイスにチェーンソーで切断させた。トーマスが主任を殺した後、ウィンストンがヒューイット邸に訪れレザーフェイスを逮捕しようとした所で車の中に置いてあったショットガンでウィンストンを射殺。彼の制服を盗み、名前をホイト・ヒューイットに変え、保安官に成り済ました。事故を起こした現場でアレックスを射殺し、更にエリック達をヒューイット邸に連れ出した。かつて朝鮮戦争へ行った経験があり、その際に捕虜された気の毒な軍人仲間を週に一人殺し、飢えをしのいだ。食事の時はお祈りをしておりそれを見たクリッシーに挑発され、激怒した一面を見せた。レザーフェイスがクリッシーを追いかけた後「少年が男になる日が来た」という意味不明な言葉を語った。家に入ろうとした所でディーンに殴られ、自分がディーンにやらせた軍隊式制裁され、頭を床に叩きつけられ、口から血を吐き前歯を折られるという末路を迎えた。
ルダ・メイ:マリエッタ・マリク
本名ルダ・メイ・ヒューイット。トーマスの育ての母。1939年8月精肉所でゴミを漁っていた時に産まれたばかりのトーマスを拾った。普段は小さな店を経営している。ホイト同様、冷酷な性格で遺体を料理したり、朦朧としていたベイリーをレザーフェイスに「楽にしろ」という一面を見せた。彼女の話によれば、子供が産めない身体で子供欲しさに拾った(あるいは誘拐した)という経歴がある。モンティの脚が撃たれた際、脚をチェーンソーで切断しようとしたレザーフェイスを止めたが、止める事ができず絶叫していた。
モンティ叔父さん:テレンス・エヴァンス
本名はモンティ・ヒューイット。トーマスの祖父。眼鏡をかけているのが特徴。横転した車を回収していた際にエリックの銃を拾う。エリックとディーンがヒューイット邸に捕らわれた姿を見た時は助けもせず立ち去った。家の中に侵入したホールデンに脚を撃たれ、ホイトに助けを求めるが、脚のバランスを整える為にレザーフェイスに両足をチェーンソーで切断される。これがモンティの脚が切断された原因である。食事の時に朦朧としながらも食事をしていた。
ホールデン:リー・ターゲセン
バイカーのリーダーでアレックスの恋人。ルダ・メイの店の中でアレックスと二人でクリッシーとベイリーを睨み付けた。クリッシーが仲間達を助ける際、一時は素通りをしようとしたももの、アレックスが連れ出されたと聞いて、クリッシーとヒューイット邸へ向かう。しかし、ホールデンはクリッシーの仲間達を助けるつもりはなく、アレックスだけを助けようとしていた。ヒューイット邸へ忍び込んだ後、モンティの脚を銃で放ち、現れたホイトに銃を突きつけ彼女はどこだと問い詰めた。ホイトを銃で射殺しようとするが、現れたレザーフェイスにチェーンソーで殴られ、身動きを取れぬ様にし、ホイトに「子供の頃、毎日学校でいじめた男」(実際にこの人物がレザーフェイスをいじめたかどうかは不明だが)と呼ばれて最後はベイリーの前でレザーフェイスにチェーンソーで八つ裂きにされた。
アレックス:チア・バッテン
バイカーのメンバーでホールデンの恋人。クリッシー達がドライブの途中に襲撃し、彼女達に挑発をした。ルダ・メイの店の中にも登場し、クリッシーとベイリーを睨み付けた。エリック達の車を見つけダブルショットガンを彼らに向けた。エリック達が事故を起こし、ホイトが現れた際にエリック達に「余計な事を言うと死人が出る」と忠告し、ホイトに対応するが、突然ショットガンで射殺される。遺体はホイトのパトカーに乗せられ、レザーフェイスに首を切断される。
ティー・レディ:キャシー・ラムキン
本名は不明。ルダ・メイの娘でトーマスの姉でありヘンリエッタの妹。肥満体な身体が特徴。ルダ・メイとお茶を飲んで楽しんでいた時にエリックに煉瓦を投げつけられ、立とうとしたところ身動きが取れずエリックとベイリーに机を押され身動きを取れなくなった。
ウィンストン・ホイト保安官:リュー・テンプル
テキサスの保安官で彼が本物のホイト保安官。テキサスで街の住人達が引っ越し、彼もまた引っ越す予定だったものの、レザーフェイスが主任を殺害し、叔父であるチャーリーに逮捕してほしいと協力をする。パトカーの中でチャーリーに卑猥な話をしていたものの、ヒューイット一家の事はあまり良く思っておらず、子供の頃のトーマスの異常な光景を目撃していた様で彼らに厳重注意をしていたらしい。その為か、トーマスの事を化け物と呼んでいた。チェーンソーを持ったレザーフェイスを発見し、銃で威嚇するが、車の中に置いてあったショットガンでチャーリーに射殺される。この事が原因でチャーリーはホイト保安官になりすます結果となる。遺体はヒューイット家の食卓に食事として出された。
主任:ティム・デザーン
リー精肉所の主任。本名は不明。スローンを妊娠させ、トーマスを産ませた張本人。1939年8月スローンがトーマスを産んだ後に死亡。トーマスが9歳の時に精肉所で働いていた時は実子だと気付かぬまま彼を罵っていた。1969年にリー精肉所を閉鎖。家に帰ろうとしなかったトーマスを説得しろとラッキーに頼んだが、再び現れたトーマスにハンマーで殴られ、両足を骨折させられた。主任が警察に通報しようとしたが、上手く言えず、彼の悲鳴で警察官に奥さんと間違えられていた。最後はトーマスに「友達だろうヒューイット!?」と言った後に殺害される。ウィンストン同様ヒューイット一家の事はあまり良く思っていなかったらしく、ヒューイット一家の悪口、精肉所の閉鎖が原因でトーマスに殺害される事となる。トーマスが初めて殺害した人物である。
ナレーター:ジョン・ラロケット