クイック&デッドは、1995年公開のアメリカ合衆国の映画。悪名高き権力者によって支配された荒野の開拓地で命と賞金を賭けた早撃ちトーナメントが始まろうとしていた。主役の女ガンマンを演じるシャロン・ストーンが製作にも関わり、当時オーストラリアの知る人ぞ知る名優だったラッセル・クロウを相手役に抜擢。さらに当時は若手のホープとして名を鳴らしていたレオナルド・ディカプリオを必死に交渉して出演させた。
クイック&デッド 映画批評・評価・考察
クイック&デッド(原題:The Quick and the Dead)
脚本:32点
演技・演出:17点
撮影・美術:17点
編集:8点
音響・音楽:9点
合計83点
スーパースターと個性派・性格俳優のオールスターズといっても過言ではない異色キャストが勢揃い。ここまでのキャストが揃うことは奇跡に近いものだと思えますし、サム・ライミ監督らしい遊び心溢れる演出も冴えています。撮影監督のダンテ・スピノッティと音楽のアラン・シルヴェストリも素晴らしい臨場感を持たせてくれています。美しく強くカッコいい主人公を演じたシャロン・ストーンはもちろん魅力的ですし、氷の微笑を抑えて彼女のベスト映画に今作を選ぶ人も多いと思います。あと、ディカプリオですよ。父親役のジーン・ハックマンとの対決シーンは映画史に残る名シーンじゃないでしょうか。(言い過ぎか・・)
クイック&デッド あらすじ(ネタバレ)
荒野の町リデンプション(贖罪)では、町を牛耳る悪名高き保安官ヘロッドが主催する早撃ちトーナメントが行われようとしていた。
出場者は、カードさばきも巧みな全身黒ずくめのキザなエース・ハンロンをはじめ、各地から集まった名だたるガンマンたち。まだあどけなさが残るが自信満々なヘロッドの息子キッドも出場することに。ヘロッドは、かつて自分の相棒だったが今は改心して牧師となったコートに、縛り首か再び銃を手にして出場するかの選択を迫る。その時、カウボーイハットにブロンドのミステリアスな美女エレンがコートを助け、彼女は出場が認められ、コートもまた強制的に参加させられた。
彼女が幼い頃、保安官だったエレンの父はヘロッドに殺され、その時から彼女は射撃の腕を磨き、父の復讐の機会を伺っていた。初日の第1回戦ではキッド、エレン、そして仕方なく銃を取ったコートらが勝ち抜いた。エレンの正体を知らぬヘロッドは彼女を夕食に招待し、エレンは本懐を遂げようとするが、隙のないヘロッドに威圧され、町から逃げだす。だが、墓標の前で父の友人だった医師ウォレスの助言を得た彼女は、町に引き返した。
トーナメントも回が進み、大言壮語していたエース・ハンロン、圧政に苦しむ村人たちがヘロッドを殺すために密かに雇った黒人ガンマンのキャトラル軍曹らも次々とヘロッドに敗れ去る。準決勝でキッドは父の弾丸を浴び、泣き叫びながら絶命した。そしてエレンもいつしか心を通わせていたコートとの対戦を強いられ、銃弾に倒れる。
翌朝、ヘロッドとコートの対決で迎えた決勝の一瞬、町の至る所で突如爆発が-。煙の中から姿を現したのは、死んだはずのエレンだった。自分の正体を明かした彼女は、ヘロッドと対峙する。見事、父の仇を討った彼女は、コートに保安官のバッジを預けると、人々の歓声の中、町から去っていくのだった。
クイック&デッド スタッフ
監督:サム・ライミ
脚本:サイモン・ムーア
製作:ジョシュア・ドーネン,アレン・シャピロ,パトリック・マーキー
製作総指揮:トビー・ジャッフェ,ロバート・タパート
音楽:アラン・シルヴェストリ
撮影:ダンテ・スピノッティ
編集:ピエトロ・スカリア
配給:コロンビア ピクチャーズ,COLTRI
クイック&デッド キャスト
エレン:シャロン・ストーン
幼少期にジョンにより父を殺され、復讐をもくろむ女ガンマン。目測とはいえチャーリーに身長174cmと言われたほどの長身。女性を軽視する男は許せない性分で、作中でもそのような男に制裁を加えることがあった。ただし男嫌いというわけではなく、決闘に勝利した際にはあまりの歓喜に近くにいたキッドにキスをし、終盤ではコートと一夜を共にした。順調に決闘を勝ち進み、コートと戦うことになったが、ヘロッドを欺くためにコートに撃たれて死亡したかのように見せる。コートとヘロッドの決闘が始まる瞬間に街の民家を爆発させて、ヘロッドを動揺させ、そのうえで銃撃戦をし、勝利した。
ジョン・ヘロッド:ジーン・ハックマン
田舎町リデンプションの市長を務める悪名高き権力者。自分自身もガンマンとして高い実力を持つ。妻がいたが、ふしだらを理由に処刑をしたことが示唆されている。父親は判事だったが、罪人を次々と処刑をしたあとに自分の頭を撃って自殺した。冷酷非道な人物だが、息子に対する愛情はあり「決闘をやめて時代を待て」と諭し、最終的には決闘をすることになり殺害したが、その時にも息子を殺してしまったことを悔やんだ。最後は奇襲などで動揺してしまい、精神的に弱っている状態でエレンと決闘をした結果、敗北して死亡する。
コート:ラッセル・クロウ
現在は牧師として慈善活動をしているが、昔はかなりの悪党であり、ガンマンとしてもジョンから認められ、コート自身も「その気になったら負けない」という主旨の発言をするほど自信をもち、また決闘のコツをエレンに伝授した。ヘロッドとは自身が幼少期の頃に出会い、そのときにガンマンとしての技術を叩き込まれた。ノガレスで銀行を襲った際に逃げたが、その時に牧師に介護を受けた。ヘロッドの命令で牧師を殺してしまい、斬鬼の念から自分も牧師になった。当初は決闘で殺害することに心を痛めていたが、次第に自分は死ぬわけにはいかないという気持ちをもち、スポーテッドを一発で仕留めきれなかった時には、弾切れで負けそうになり、周囲の人間に「(勝つために)弾をよこしてほしい」と懇願するなど自分の勝利を優先するようになった。終盤ではエレンと芝居をうち、ヘロッドを油断させるためにエレンを死亡したように見せかける。
フィー・“ザ・キッド”・ヘロッド:レオナルド・ディカプリオ
ジョンの息子。3000ドルの懸賞金がかかっている。性格は軽いが、父親を超えたい、そして父に認められたいという純粋な気持ちをもっている。コートとはそれなりに親しい。中盤でエレンに愛の告白をするが返事は返ってこなかった。終盤でヘロッドと決闘をして、かすり傷を負わせながらも、敗北、負けてしまった自分を悔しく思いマティに抱えられながら死亡。
ドッグ・ケリー:トビン・ベル
冒頭のシーンで幌馬車を襲って証拠の隠滅を図ろうとしていた追い剥ぎ。その場を偶々通りかかったエレンをも襲うが返り討ちに合い、馬車の車輪と手首を鎖で繋がれ荒野に放置された。馬車の車輪を壊し徒歩でリデンプションに奇跡的に辿りく。その恨みでエレンに決闘を申し込みトーナメントでのエレンの最初の相手となるが敢えなく敗北(死亡はしていない)。
ユージン・ドレッド:ケヴィン・コンウェイ
キッドが早撃ち勝負をするさいには、キッドを侮辱していた。ケイティに乱暴をしようとし、そのことがエレンの怒りを買い決闘になる。決闘に負けて命乞いをして、許してもらったが、逆恨みしてバーにいるエレンを襲撃しようとしたところを返り討ちに遭い、死亡。
クレイ・カントレル軍曹:キース・デイヴィッド
プロの殺し屋。実は町民たちが寄せ集めた金で雇ったが、それだけにヘロッドからは「その金をなぜ町長の私に納めない!」と憤慨させた。決闘ではヘロッドの一撃を受け、瀕死になり、再度攻撃を仕掛けようとしたところを、ヘロッドに眉間を撃たれ、死亡した。
エース・ハンロン:ランス・ヘンリクセン
人にトランプのカードを持たせ、遠くからそのトランプを撃ち抜く芸を見せるが、リノでは失敗して少女の指を撃ってしまったこともあるらしい。両利きらしいが、ヘロッドとの勝負で右手の指を撃ち抜かれ、左手も撃ち抜かれてしまい、最後には胸を撃たれて死亡。
スカーズ:マーク・ブーン・ジュニア
片目の焦点が合っていない目をしている。気性が荒い殺人狂の一面があり、殺した人数を腕にナイフの切り傷をつけた回数で記録している(15人殺した)。キッドと決闘するが、敗北して死亡。
ラッツィ:レイノール・シェイン
終盤でヘロッドに殺害される。
スポーテッド・ホース:ジョナサン・ギル
コートとの決闘で一発目を食らったことで瀕死に陥り、コートが弾切れを起こした隙に連弾を浴びせようとするが、弾を得たコートに撃たれて死亡。
フォイ:レニー・ロフティン
コートと早撃ちでの試合相手。余裕綽々であったが、敗北。一命はとりとめ、負け惜しみに「牧師のくせにやりやがった」と言った。
ホレス(バーテンダー):パット・ヒングル
決闘の審判も務める。
チャーリー・ムーンライト:ウディ・ストロード
棺桶作りをしており、町に着いたばかりのエレンに挑発的な物言いで見せびらかしていた。
ケイティ:オリヴィア・バーネット
情婦。ユージンに乱暴されそうになり、これがエレンの怒りを買いユージンとの決闘のきっかけとなる。
マティ・シルク:フェイ・マスターソン
キッドのガールフレンド。
ドク・ウォレス:ロバーツ・ブロッサム
グッドソン:スヴェン=オーレ・トールセン
盲目の少年:ジェリー・スウィンドール
バージル・スパークス:ヨゼフ・ライナー
保安官(エレンの父):ゲイリー・シニーズ