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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書|アメリカ国防総省の最高機密文書の内容を暴露した2人のジャーナリストの実話を映画化した社会派ドラマ

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書は、2017年公開のアメリカ合衆国の映画。スティーヴン・スピルバーグ監督×メリル・ストリープ&トム・ハンクス初共演による社会派ドラマ。ベトナム戦争に関するアメリカ最高機密文書の存在を知った実在のジャーナリストたちをモデルに、政府の圧力に屈することなく世に出そうと奔走する姿を活写する。脚本は、本作で共同製作を務めるリズ・ハンナと「スポットライト 世紀のスクープ」のジョシュ・シンガー。

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 映画批評・評価・考察


ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(原題:The Post)

脚本:34点
演技・演出:18点
撮影・美術:18点
編集:8点
音響・音楽:8点
合計86点

アメリカ史上で有名な事件をあえてスピルバーグが取り上げ作品化したことの意味を考えました。現在のマスメディア、ジャーナリズムへの警鐘とも思える作品です。メリル・ストリープ演じるキャサリン・グラハムの活躍を描いている作品ですが、かなりギリギリのところを踏ん張っていた様子が見えてきます。もしも彼女を含むジャーナリスト達が負けていたら、根を上げていたらと思うと世界は悪い意味で変わっていたかもしれません。

 

ペンタゴン・ペーパーズとは?

1945年から1967年までの米国のベトナムへの政治的および軍事的関与を記した文書であり、国際安全保障問題担当国防次官補のジョン・セオドア・マクノートン(海軍長官就任直前に死亡)が命じて、レスリー・ハワード・ゲルブ(後に国務省軍政局長)が中心になってまとめ、ポール・C・ウォンキ国防次官補に提出された極秘文書です。文書は1971年にニューヨーク・タイムズのトップページで最初に公開され、ベトナム戦争の舞台裏を暴き、一大スキャンダルとなりました。

ニューヨーク・タイムズのスクープ
1971年、執筆者の1人であるダニエル・エルズバーグ(当時シンクタンクのランド研究所に勤務していた)が、アンソニー・ルッソ(en:Tony Russo (whistleblower))とともにコピーを作成し、ニューヨーク・タイムズのニール・シーハン記者などに全文のコピーを手渡しました。ニューヨーク・タイムズではシーハン記者を中心に特別チームを作り、1971年6月13日から連載記事として報道されました。これを受けてワシントン・ポストも文書を入手し、編集者のベン・バグディキアンらが中心となり「ペンタゴン・ペーパーズ」の報道を始めました。マイク・グラベル上院議員も入手した文書を議会で公表に踏み切りました。グラベルは当初、フィリバスターの一環として本会議場で読み上げようと試みたが阻止されてしまい、結局はグラベルが委員長を務める外交や国防とは全く関係のない議会上院の建設・土地利用小委員会で委員長権限を使い全文朗読し、公式記録として議事録に記録させています。文書は後に、ボストンの出版社ビーコン・プレスから全文が出版されました。


ニューヨーク・タイムズのスクープからちょうど40年後の2011年6月13日、「ペンタゴン・ペーパーズ」の機密指定が解除され、国立公文書記録管理局が全文を公式ウェブサイトで公開し、全7,000ページのうち、これまで明らかになっていなかった2,384ページも閲覧できるようになりました。

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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 あらすじ

ジョン・F・ケネディとリンドン・B・ジョンソンの両大統領によってベトナム戦争が泥沼化し、アメリカ国民の間に戦争に対する疑問や反戦の気運が高まっていたリチャード・ニクソン大統領政権下の1971年、以前に戦況調査で戦場へ赴いたことがある軍事アナリスト ダニエル・エルズバーグは、ロバート・マクナマラ国防長官の指示の元で自らも作成に関わった、ベトナム戦争を分析及び報告した国防総省の最高機密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」を勤務先のシンクタンク、ランド研究所から持ち出しコピー機で複写、それをニューヨーク・タイムズ紙の記者 ニール・シーハンに渡し、ニューヨーク・タイムズがペンタゴン・ペーパーズの存在をスクープする。

ワシントン・ポスト紙の発行人のキャサリン・グラハムと部下で編集主幹のベン・ブラッドリーは、ペンタゴン・ペーパーズについての報道の重要性を理解し、ベンはキャサリンの友人でもあるマクナマラ長官からニューヨーク・タイムズが掲載しなかった残りの文書を手に入れるよう、彼女に進言する。だが、友人を追い詰めたくないとキャサリンから拒否され、ベンが仕方なく別の情報源を探り始めたとき、デスクに謎の女性から文書の一部が持ち込まれる。至急記事にしようと躍起になるベン達だったが、この文書もタイムズ紙から先にスクープされてしまう。しかし、2回も政府の機密文書をスクープしたことで、タイムズ紙は政府から記事の差し止めを要請される。それを知ったキャサリンはベンにその旨を伝え、差し止め命令が下されれば記事にすると法律違反となり、ポスト紙での掲載もできないと警告するが、これをチャンスと見たベンは、彼女の注意をよそに文書の入手を部下に命じる。

かつてランド研究所に勤めていたポスト紙の編集局次長 ベン・バグディキアンは、リークした人物が自分の知人ではないかと推測し、エルズバーグと接触することに成功する。そして、彼から残りの文書を入手してベンの自宅に運び、ページ番号が切り取られ順番がバラバラになった文書を、ベンが呼び集めた記者数人で繋ぎ合わせ、法律顧問からも法律上の問題について話し合おうとする。だが、記事掲載を役員と法律顧問から反対され、記者達は彼らと舌戦を繰り広げる。文書を記事にすると自社を潰すことになるのではと危惧し、選択に苦悩するキャサリンはマクナマラ長官にアドバイスを求め、その夜、電話でベン達から決断を迫られる。側近のフリッツ・ビーブが「自分なら掲載しない」との発言を受け、記事の掲載を決断する。そしてニューヨーク・タイムズと時に争いながらも連携し、「戦争中における政府の機密漏洩」という事態そのものを問題視し、記事を差し止めようとする政府と裁判を通じて戦う。

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 スタッフ

監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:リズ・ハンナ,ジョシュ・シンガー
製作:エイミー・パスカル,スティーヴン・スピルバーグ,クリスティ・マコスコ・クリーガー
音楽:ジョン・ウィリアムズ
撮影:ヤヌス・カミンスキー
編集:マイケル・カーン
製作会社:ドリームワークス,アンブリン・パートナーズ,アンブリン・エンターテインメント,パスカル・ピクチャーズ,スター・スローワ・エンターテインメント,20世紀フォックス,パーティシパント・メディア
配給:20世紀フォックス,ユニバーサル・ピクチャーズ,東宝東和

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 キャスト

キャサリン・グラハム:メリル・ストリープ
ワシントン・ポスト社主・発行人。自殺した夫フィリップ・グラハムからポスト社の経営を引き継いだ。家族が築いてきた会社のことを考え行動しているが、役員会からは彼女が発行人であることに対して否定的な意見が上がっている。立場上重要人物と交流する機会が多く、友人のマクナマラ長官らと交流する中でペンタゴン・ペーパーズの存在を知り、部下のベンと連携して情報を探るが、マクナマラから直接文書を入手することについては犯罪行為として頑なに拒む。ベンとは信頼関係を築いているが、文書の記事掲載については株主公開を控えた会社のことも考え、ぶつかり合う。

ベン・ブラッドリー:トム・ハンクス
ワシントン・ポスト編集主幹。キャサリンがやめさせたアルフレッド・フレンドリーの後任として、ニューズウィークから引き抜かれた。役員からは取材費用が掛かり過ぎるとして、海賊と呼ばれ評判が悪い。ライバル紙のニューヨーク・タイムズが大スクープをつかんだことにいち早く気付き、タイムズがペンタゴン・ペーパーズをスクープしてからはキャサリンやバグディキアンらと連携し、残りの文書の入手を試みる。地方紙であるポスト紙をタイムズ紙と並ぶ一流紙にのし上げることともに、報道の自由を守るためキャサリンを説得し、文書の記事掲載に反対する役員や、圧力をかけてくる政府に屈せず記事掲載を目指す。かつてはジョン・F・ケネディと友人関係で、たびたびパーティ等に招待されていた。

トニー・ブラッドリー:サラ・ポールソン
ベン・ブラッドリーの妻。同じ女性の立場から、決断を下したキャサリンの覚悟がどれほど大きいものなのかをベンに伝える。

ベン・バグディキアン:ボブ・オデンカーク
ワシントン・ポスト編集局次長・記者。以前はシンクタンクのランド研究所に勤務しており、ペンタゴン・ペーパーズをリークしたエルズバーグとは元同僚で、彼に接触して文書を手に入れようと奔走する。

フリッツ・ビーブ:トレイシー・レッツ
ワシントン・ポスト取締役会長。経営に携わったばかりのキャサリンをそばで支え、彼女からも全幅の信頼を寄せられている。

アーサー・パーソンズ:ブラッドリー・ウィットフォード
ワシントン・ポスト取締役。女性が社主であることに批判的で、キャサリンの経営手腕を疑問視している。
映画のために創作された架空の人物。彼の考え方は当時のワシントン・ポスト役員たちのそれを投影している。

ロバート・マクナマラ:ブルース・グリーンウッド
第8代アメリカ合衆国国防長官。表向きは政府の公表通りにメディア対応するが、内心は政府がベトナム戦争の実情を隠ぺいしていることに憤りを感じており、エルズバーグらにベトナム戦争の報告書を作成させる。

ダニエル・エルズバーグ:マシュー・リース
元アメリカ合衆国軍事アナリスト。報告書作成のため戦地を訪れ、そこで知ったベトナム戦争の実情を国民に知らせるため、勤務先の研究所から文書を持ち出し、同僚のアンソニー・ルッソと共に実業家 リンダ・シネイの協力を得て文書を複製する。

ラリー・グラハム・ウェイマウス:アリソン・ブリー
キャサリン・グラハムの娘。

メグ・グリーンフィールド:キャリー・クーン
ワシントン・ポスト社説編集。

ロジャー・クラーク:ジェシー・プレモンス
ワシントン・ポスト上級法律顧問弁護士。ベンから、ペンタゴン・ペーパーズ掲載に際しての法的リスクについて相談を受ける。
アンソニー・エッセイ:ザック・ウッズ
ワシントン・ポスト顧問弁護士。ロジャーと同じく、ベンからアドバイスを求められる。

ハワード・サイモンズ:デヴィッド・クロス
ワシントン・ポスト編集局次長。

フィル・ジェイリン:パット・ヒーリー
ワシントン・ポスト記者・社説編集。

ジーン・パターソン:ジョン・ルー
ワシントン・ポスト編集局長。

マレー・マーダー:リック・ホームズ
ワシントン・ポスト記者。

チャルマーズ・ロバーツ:フィリップ・キャズノフ
ワシントン・ポスト外交特派員主任。まもなく定年を迎える。

ジュディス・マーティン:ジェシー・ミューラー
ワシントン・ポスト記者・コラムニスト。ニクソン大統領の娘の結婚式を皮肉を込めて評論したため、今後予定されている結婚式への出席を拒否される。

エイブ・ローゼンタール:マイケル・スタールバーグ
ニューヨーク・タイムズ編集局長。ペンタゴン・ペーパーズのスクープを意気揚々とキャサリンに語るが、政府から訴訟されることを知らされトーンダウンする。

アン・マリー・ローゼンタール:デボラ・グリーン
エイブ・ローゼンタールの妻。

ドナルド・E・グラハム:スターク・サンズ
ワシントン・ポスト記者。キャサリンの息子。

マイケル:ウィル・デントン
インターンのワシントン・ポスト記者。ベンからニューヨーク・タイムズに潜入を命じられ、翌日の朝刊の割付けを盗み見る。

リズ・ハイルトン:ジェニファー・ダンダス
キャサリンの個人秘書。

ジェームズ・グリーンフィールド:クリストファー・インヴァー
ニューヨーク・タイムズ編集人。

ニール・シーハン:ジャスティン・スウェイン
ニューヨーク・タイムズ記者。エルズバーグからペンタゴン・ペーパーズのコピーを入手し、最初に文書をスクープする。

リチャード・ニクソン:カーゾン・ドベル
第37代アメリカ合衆国大統領。ペンタゴン・ペーパーズをリークされたことに激怒し、新聞社を訴訟する。

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