ピースメーカーは、1997年公開のアメリカ合衆国の映画。ロシアにおいて解体されるはずの核兵器がテロリストにより奪われ、それを取り返す米軍人と原子力科学者の活躍を描いた作品。スティーヴン・スピルバーグ監督らが設立した映画会社ドリームワークスの第1回作品。題名の「ピースメーカー」は「Peace Keeper」という言葉でもう一人の主人公であるデューサン・ガブリックにとっては、「平和を気取る偽善者」と言う意味合い(IFOR宛てのビデオメッセージ)で皮肉なレトリックとして米国自身や西側諸国を描いている。
ピースメーカー 映画批評・評価・考察
ピースメーカー(原題:The Peacemaker)
脚本:34点
演技・演出:17点
撮影・美術:16点
編集:8点
音響・音楽:10点
合計85点
ドリーム・ワークスの映画にしては珍しいタイプの作品ですが、映像、音楽、キャストどれも素晴らしい作品になります。監督は敏腕女性監督のミミ・レダーで、この映画の手腕が見事だったことからスピルバーグに『ディープ・インパクト』の監督を託されました。また、『ペイ・フォワード』ではハートフルドラマに死にそうになるくらいの悲劇をぶっこんでくる印象に残る演出をしていました。辛すぎて嗚咽しました。そういう監督ですので、この映画でも感情移入してしまう演出が随所に散りばめられています。それは敵側にあるのですが、味方側のドライな感じは皮肉めいたところがあります。
今作のジョージ・クルーニーの魅力、大人の魅力、できた男の魅力、フェロモンが漂っています。男から見てもかっこいいし、それだけの役作りができていますし、演出も彼の魅力が引き出されているように思えました。
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ピースメーカー あらすじ(ネタバレ)
STARTに基づきロシアから解体される予定の核弾頭10発が盗み出され、そのうちの1発が爆発した。核爆発を確認したアメリカは、ケリー博士(ニコール・キッドマン)ら専門家を招集、統合参謀本部第2部ロシア担当情報参謀のデヴォー中佐(ジョージ・クルーニー)はウィーンで輸送に使ったトラックの足取りを掴む。目的地はコンピュータに記載された謎の記号「44E」。
その頃、ボスニアでは外交官のデューサン(マーセル・ユーレス)が国連に派遣されることが決定された。一方、監視衛星でトラックを捉えたデヴォーは核弾頭8発の回収に成功する。残りの1発はデューサンの手に渡り、外交官の荷物として無審査でニューヨークに持ち込まれた。犯行後に公表されるはずのIFOR宛てのビデオを観たケリーは、デューサンの言葉や背景から記号「44E」が緯度44度線上のサラエボではなく国連ビルのある東44丁目(マンハッタン)のことであると断定し、大統領から与えられた権限により、ニューヨークを厳戒態勢に指定、大都市ニューヨークを舞台に「核爆弾を背負ったバックパッカーを探す」と呼ばれる大捕り物を行うことに。
放射線探知機を便りにその行方を追うデヴォーとケリーは、ついにデューサンを発見する。ユーゴ紛争で故郷を破壊した「ピースメーカー」への怒りと悲しみに満ちた復讐を誓うデューサン、そしてデヴォーとケリーはニューヨークを破壊する核弾頭を持込に成功したデューサンを探し出し追い詰めるが、逮捕寸前に自殺されてしまう。
しかし、核爆弾の時限式起爆装置は作動されており、爆縮機能の一部を解除し核兵器としての機能は発揮できないようにしたが結果的に爆発させ汚い爆弾として放射性物質を拡散させてしまうことになる。しかしながら、ストーリーにおいては被爆の後遺症等の問題は描写されることなく、二人の健康な姿を映し出してハッピーエンドになっている。
ピースメーカー スタッフ
監督:ミミ・レダー
脚本:マイケル・シファー
製作:ウォルター・F・パークス,ブランコ・ラスティグ
製作総指揮:マイケル・グリロ,ローリー・マクドナルド
音楽:ハンス・ジマー
撮影:ディートリッヒ・ローマン
編集:デヴィッド・ローゼンブルーム
配給:ドリームワークス,UIP
ピースメーカー キャスト
トム・デヴォー(米陸軍中佐):ジョージ・クルーニー
ジュリア・ケリー(原子力科学者):ニコール・キッドマン
デューサン・ガブリック:マーセル・ユーレス
アレクサンドル・コドロフ(ロシア軍将軍):アレクサンダー・バルエフ
ブラド・ミリック:レネ・メドヴェセク
テリー・ハミルトン:ゲイリー・ワーンツ
ケン:ランダル・バティンコフ
ガーネット(米軍将軍):ジム・ヘイニー
マーク・アップルトン:ホルト・マッキャラニー
ビーチ(米軍特殊部隊中尉):マイケル・ボートマン
ディミトリ・ヴァーティコフ(SVR幹部):アーミン・ミューラー=スタール
ハンス(ドイツ人バックパッカー):セバスチャン・ロッシェ
ロシア軍の軍曹:ゴラン・ヴィシュニック