運び屋は、2018年公開のアメリカ合衆国の映画。前代未聞の実話!巨大麻薬組織から一目置かれ、全米の警察が必死で捜す。一度に13億円のドラッグを運ぶ“伝説の運び屋”の正体は…90歳の老人だった。90歳で孤独な生活を送る男アール・ストーンは、クルマの運転さえすればいいという仕事を持ちかけられる。だがそれは、メキシコの麻薬カルテルの運び屋だった。「グラン・トリノ」以来、10年ぶりにクリント・イーストウッドが監督・主演を兼任した作品。
運び屋 映画批評・評価・考察
運び屋(原題: The Mule)
脚本:33点
演技・演出:17点
撮影・美術:17点
編集:8点
音響・音楽:7点
合計82点
タイトル通りの話でも、イーストウッドが演じれば、深いヒューマンドラマとなるのがすごいです。もう、お年寄りと言っていいと思うのですが、そのかつてとは違う自分を客観的に描くところがまたすごい。この映画の内容はクライム(犯罪)ドラマですが、その本質は人生とは?家族とは?を考えさせられるヒューマンドラマになっています。
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運び屋 あらすじ(ネタバレ)
2017年。かつては名を馳せた園芸家だったアール・ストーンは、現在では仕事が上手くいかないばかりか、妻と娘との関係も最悪の状態だった。そんな中、「車を走らせるだけで稼げる仕事」を持ち掛けられ、そうとは知らずに麻薬の運び屋を引き受けてしまう。報酬の高額さに驚嘆したアールは、差し押さえられた家を取り戻すためにもう1回、火事にあった友人を救うためにもう1回と仕事を引き受け、ついに荷物が麻薬であると気付くことになる。その頃、麻薬取締局のコリン・ベイツ捜査官は手柄を挙げるため、麻薬カルテルの男を脅して捜査に協力させ始めていた。
アールが5回目の仕事を無事に終えると、麻薬カルテルのボスであるラトンは彼に大口の仕事を任せるように指示し、次回からは運ぶ麻薬の量が格段に増えていく。それに伴って監視として幹部のフリオが付くようになるが、アールは普段と変わらず気ままに仕事をこなし、ラトンもそれを認めていた。保安官を難なくやり過ごして9回目の仕事も完遂したアールをラトンが屋敷に招いた頃、コリン捜査官は成果を求める上層部に急かされ、麻薬カルテルの隠れ家を急襲することになる。
隠れ家を1つ潰されたことで危機感を覚えた麻薬カルテルの幹部グスタボは、ラトンを殺して新たなボスの座に着くや否や厳格なスケジュール管理を指示し、「従わない者は殺す」とアールに脅しを掛けてきた。アールは渋々従うことにし、やがて12回目の仕事を始めると、道中で一泊するモーテルには「運び屋が泊まる」という情報を得たコリン捜査官が張り込んでいたが、その場は特に疑われず事なきを得る。迎えた翌朝にモーテルから出発すると、道中で孫のジニーから電話が掛かってきて、妻のメアリーが重病で明日をも知れない命だと知らされる。アールは「外せない予定がある」と答えるが、家庭を顧みなかった過去を後悔し家族との関係修復を望んでいたアールは、メアリーのもとへ駆けつけて彼女の最後を看取り、家族との確執を解消する。
一方で、麻薬を持って姿を消したアールをグスタボの部下は血眼になって探していた。メアリーの葬式を終えたアールは彼らに捕まるが、事情を話すと痛めつけられるだけで済まされ、仕事へと復帰させられる。しかし、道路の先には情報提供と盗聴によって事態を把握したコリン捜査官たちの部隊が待ち構えていた。
逮捕されたアールは裁判の最中に有罪となることを受け入れ、刑務所へと収監される。刑務所の花壇にはアールが育てた美しい花が咲いていた。
運び屋 スタッフ
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ニック・シェンク
原案:サム・ドルニック『The Sinaloa Cartel’s 90-Year-Old Drug Mule』
製作:クリント・イーストウッド,ティム・ムーア,クリスティーナ・リベラ,ジェシカ・マイヤー,ダン・フリードキン,ブラッドリー・トーマス
製作総指揮:アーロン・L・ギルバート
音楽:アルトゥロ・サンドバル
撮影:イブ・ベランジェ
編集:ジョエル・コックス
製作会社:インペラティブ・エンターテイメント,BRONクリエイティブ,マルパソ
配給:ワーナー・ブラザース
運び屋 キャスト
アール・ストーン:クリント・イーストウッド
園芸家の老人。2005年には品評会で賞を取るなど名声を得ていたが、現在(2017年)は凋落し見る影もない。仕事最優先で家庭を顧みず、一人娘の結婚式にすら現れなかったため、妻と娘からは忌み嫌われている。
ジョークを好むこともあって言葉遣いこそ悪いものの、すすんで人助けを行う善人であり、友人たちとの関係は良好。老いてなお精力旺盛らしく、若い女性とも広く交友関係を持っている。
ドライバーとしては長年運転を行いながら無事故無違反を守っており、麻薬の運び屋だと疑われにくい。運び屋としての愛称は“タタ”。
コリン・ベイツ捜査官:ブラッドリー・クーパー
麻薬取引を追う捜査官。麻薬カルテルの男を利用して取引の情報を得る内に、大量の麻薬を運ぶカルテル一番の運び屋タタ(アール)を追うようになる。
主任特別捜査官:ローレンス・フィッシュバーン
コリンの上司。
トレビノ捜査官:マイケル・ペーニャ
コリンの相棒。
メアリー:ダイアン・ウィースト
アールの妻。現在は娘夫婦のもとで暮らしている。アールに対して厳しい言葉を浴びせるが、心の底では今でも彼を愛しており、関係修復を望む彼と接する内に態度は軟化していく。
ラトン:アンディ・ガルシア
麻薬カルテルのボス。疑われにくいアールの素性を気に入り、大口の麻薬取引の運び屋として彼を指名し、重用するようになる。
フリオ:イグナシオ・セリッチオ
麻薬カルテルの幹部。アールの監視役として彼に同行し、思い通りにならないアールに苛立つ。
ジニー:タイッサ・ファーミガ
アールの孫。アールに唯一好意的な家族で、メアリーやアイリスの嫌悪を知りながらも、結婚式や卒業式に招待し続ける。
アイリス:アリソン・イーストウッド
アールの娘。自身の結婚式よりも仕事を優先したアールを軽蔑しており、彼と同じ空間にいることすら拒むほど嫌っている。
グスタボ:クリフトン・コリンズ・Jr
麻薬カルテルの幹部。野心家であり、ラトンの方針に不満を持っている。