マスク・オブ・ゾロは、1998年公開のアメリカ合衆国の映画。ジョンストン・マッカリーの大衆小説の主人公ゾロを映画化したアクション作品。かつてダグラス・フェアバンクス・シニアやアラン・ドロンが演じた伝説のヒーローを『怪傑ゾロ』映画として初めて、スペイン人であるアントニオ・バンデラスがゾロを演じた。2005年には引き続きキャンベル監督、バンデラス、ゼタ・ジョーンズ出演による続編『レジェンド・オブ・ゾロ』が制作されている。
マスク・オブ・ゾロ 映画批評・評価・考察
マスク・オブ・ゾロ(原題:The Mask of Zorro)
脚本:36点
演技・演出:18点
撮影・美術:16点
編集:9点
音響・音楽:8点
合計87点
子供時代に憧れを抱いたヒーロー像があり、素晴らしいアクション活劇とユーモアに溢れた素晴らしい映画。ヒロインのキャサリン・ゼタ=ジョーンズは、美しさと強さを兼ね備えた振る舞いも映像映えしていて、観客が思い描くヒロインの理想像を忠実に表現できている。ゾロがゾロであるための全ての要素が備わっているアントニオ・バンデラスの好演と初代ゾロ役のアンソニー・ホプキンスの経験値の豊富さから生まれる貫禄であったり、ユーモアであったりとセリフ、表情ひとつとってもそれが感じられる。
マスク・オブ・ゾロ あらすじ(ネタバレ)
1821年、ラス・カリフォルニアスの最後のアルタ・カリフォルニア総督であったラファエル・モンテロは民衆の不満が高まりサンタ・アナ率いる革命軍の侵攻が迫る中、農民の処刑を餌に覆面の剣士怪傑ゾロを捕らえようとしたが、その策謀は、ゾロを英雄視する農民たちによって妨げられる。その中にはホアキンとアレハンドロのムリエッタ兄弟の姿があった。モンテロと対峙したゾロはその首筋に「Z」の字を刻み、愛馬トルネードに跨って朝日に剣を閃かせ、歓声を上げる観衆の前を走り去る。その夜、予てからスペイン貴族ディエゴ・デラ・ベガがゾロの正体ではないかと目を付けていたモンテロはディエゴ邸を襲う。ディエゴは捕らえられ、闘いの際にディエゴの妻が殺され、幼い娘エレナはモンテロに奪われてしまう。
20年後、モンテロがカリフォルニアに戻ってきたことを知ったディエゴは、隙を見て脱獄し海岸で雪辱の機会を狙うが、そこでモンテロの娘として美しく成長したエレナを引き連れているのを目にして思いとどまる。間もなくディエゴは、つまらないお尋ね者に身を落としたアレハンドロに出くわす。アレハンドロは兄ホアキンと徒党を組み、旅行者から金銭を騙し盗っていたが、アメリカ人の軍人ハリソン・ラブに兄を殺され、酒に溺れていた。ディエゴはアレハンドロに剣術をたたき込み、民衆の奉仕者たる品格を説き、ゾロの後継者に鍛え上げる。
スペイン貴族を装ってモンテロのパーティーに紛れ込みエレナと情熱的なダンスを交わしたアレハンドロは、さらにモンテロが地主達を抱き込んでサンタ・アナの領地から密かに金鉱山を開発し、メキシコからカリフォルニアを買い取って再び統治者におさまろうとしていることを知る。ディエゴはアレハンドロにゾロの覆面 (mask of Zorro) を譲り、モンテロの邸に忍び込ませる。モンテロやラブを退けて鉱山のありかを記した地図を盗み出したゾロことアレハンドロはエレナとも対決し、ドレスを破って打ち負かす。
金鉱山の所在が公になるのを恐れたモンテロは鉱夫ら共々爆破して証拠の隠滅を目論むが、ゾロはモンテロの野望を挫くため鉱山へ行き、ディエゴはエレナに自分が本当の父親であることを告げ、2人してゾロを助けに向かう。ゾロとディエゴはそれぞれの仇敵・ラブとモンテロとの決闘となり、エレナは囚われていた鉱夫たちの解放に奔走する。ついにラブはゾロが手にした自らの剣で刺し貫かれ、黄金を積んだトロッコと共に墜落してきたモンテロに巻き込まれる。鉱山は大爆発するもゾロとエレナは鉱夫達の救出に成功、銃弾を受けたディエゴはアレハンドロにあとを託して死んでゆく。やがてアレハンドロとエレナは結婚して息子にも恵まれ、カリフォルニアには怪傑・ゾロが返り咲いたのだった。
マスク・オブ・ゾロ スタッフ
監督:マーティン・キャンベル
脚本:ジョン・エスコー,テッド・エリオット,テリー・ロッシオ
製作:ダグ・クレイボーン,デイヴィッド・フォスター
製作総指揮:ローリー・マクドナルド,ウォルター・パークス,スティーヴン・スピルバーグ
音楽:ジェームズ・ホーナー
撮影:フィル・メヒュー
編集:トム・ノーブル
製作会社:アンブリン・エンターテインメント,トライスター・ピクチャーズ
配給:SPE,コロンビア映画
マスク・オブ・ゾロ キャスト
アレハンドロ・ムリエッタ / 二代目ゾロ:アントニオ・バンデラス
ホアキンの弟。幼い頃に両親を失い、兄と共に教会で世話になっていた。その頃にゾロ(ディエゴ)に出会い、彼のピンチを助けている。大人になってからは、兄と2人合わせて200ペソの賞金首「ムリエッタ兄弟」として指名手配されていた。ガルシアを騙してお宝を馬車ごと手にした直後、ラブ率いる部隊と遭遇。ラブにホアキンを殺されてしまう。ホアキンを失った後、酒場で自暴自棄になっていた時にディエゴと出会い、剣術や心得など様々な教えを受ける。これを機に精神的にも肉体的にも成長していき、さらにはエレナとも恋に落ちる。
ホアキン・ムリエッタ:ビクター・リバース
アレハンドロの兄。幼少期にアレハンドロと共にゾロを助け、そのお礼に銀のメダルを贈られる。大人になってからは、弟と2人合わせて200ペソの賞金首「ムリエッタ兄弟」として指名手配されていた。ラブに撃たれて負傷し、自らは逃げ切れないと判断、アレハンドロを逃がした直後、追っ手に取り囲まれた際に銃で自決した。その首はラブに斬りおとされ、酒を飲む為のコレクションにされた。ゾロからもらった銀のメダルをずっと持ち続けていたが、死後は形見としてアレハンドロの手に渡る。
ドン・ディエゴ・デ・ラ・ベガ / 初代ゾロ:アンソニー・ホプキンス
カリフォルニアの名士であるスペイン貴族。かつて民衆を守る英雄「ゾロ」として活躍していたが、ゾロとしての仕事を終えたその日に正体を見破っていたラファエルによって捕らえられ、妻は死亡、娘のエレナとは引き裂かれることになる。それから20年後、ラファエルがカリフォルニアに帰還したその日に海岸で大衆に紛れて復讐を果たそうとするが、何も知らずにラファエルにより育てられていたエレナの姿を見て思いとどまる。後継者としてアレハンドロを鍛え、育てる。
エスペランザ・デ・ラ・ベガ:フリエタ・ローゼン
ディエゴの妻。美しく貞淑な女性で、夫のディエゴのみならず、ラファエルからも思いを寄せられていた(ラファエル曰く、本来は自分の妻にする予定であった)。ゾロとして活躍するディエゴを心配していた矢先、その不安が的中。敵の銃弾からディエゴを庇い、犠牲となる(ちなみに彼女を撃った兵士は直後、ラファエルに刺殺された)。
エレナ・モンテロ:キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
ディエゴとエスペランザの娘。幼児の折母エスペランザを失い、父ディエゴと引き離された末、ラファエルの娘として育てられる。一見美しい貴族の娘だが、父親譲りの強い気性の持ち主。また、4歳の頃から剣の指導を受けており、アレハンドロと互角に渡り合うほどの剣の腕前を持つ。
ドン・ラファエル・モンテロ:スチュアート・ウィルソン
スペイン領カリフォルニア最後の総督。ゾロことディエゴに敵愾心を抱く一方、エスペランザに思いを寄せていた。彼女が自分とディエゴの戦いの巻き添えになって死亡した直後、ディエゴを捕らえて牢獄へ送り、エレナを自分とエスペランザの娘として育てた。それから20年後、ある野望を胸に抱えてカリフォルニアへと戻る。
ハリソン・ラブ:マット・レツシャー
アメリカ人の軍人で階級は大尉。ラファエルがカリフォルニアに帰国後、私兵部隊の隊長として雇われていた。剣術と拳銃の使いに手慣れている。勇敢な軍人だが、自ら手にかけたホアキンの首とジャックの手首を瓶詰めにするなど冷徹な一面を持つ。
三本指のジャック:L・Q・ジョーンズ
左手の指が3本の中年のならず者。かなりのベテランだが仲間のアレハンドロやホアキンと違い、賞金を掛けられていない。お宝を手にした直後、ラブに撃たれ死んだかと思われていたが、金鉱山で働かされていた。地主たちが鉱山を訪れた際に、ラブに銃殺された。
ドン・ルイス:トニー・アメンドーラ
ラファエルと深い繋がりのある有力地主。彼のおかげで他の地主共々、サンタ・アナに土地や財産を没収されること無く生き長らえることが出来た。それから20年後、カリフォルニアに戻ってきたラファエルの野望達成に、重要な役割を果たす。
ドン・ペドロ:ペドロ・アルメンダリス・Jr
フレイ・フェリペ:ウィリアム・マルケス
刑務所長:モーリー・チェイキン
刑務官:ポール・ゲイナス