ゴッドファーザー〈最終章〉:マイケル・コルレオーネの最期は、1990年公開のアメリカ合衆国の映画。公開当時の題名はゴッドファーザー PART III(原題: The Godfather Part III)。1972年に公開された『ゴッドファーザー』および1974年に公開された『ゴッドファーザー PART II』の続編であり、三部作「ゴッドファーザー・シリーズ」の第3弾。2020年に再編集版が製作され、タイトルは『ゴッドファーザー〈最終章〉:マイケル・コルレオーネの最期』(原題: The Godfather Coda: The Death of Michael Corleone)に改められた。前作から16年の歳月を経て、かつての主要スタッフ・キャスト陣が再結集して作り上げた、一大叙事詩のエピローグである。主人公マイケル・コルレオーネの最晩年の物語であり、彼のこれまでの所業に対する懺悔と苦悩を描きながら、その悲劇的な人生を壮大なコーダで締めくくる。
ゴッドファーザー PART III 映画批評・評価・考察
ゴッドファーザー〈最終章〉:マイケル・コルレオーネの最期(原題: The Godfather Coda: The Death of Michael Corleone)
脚本:32点
演技・演出:17点
撮影・美術:18点
編集:7点
音響・音楽:9点
合計83点
1990年に大きく期待された「ゴッドファーザー PART III」ですが、初公開時、反響は賛否両論分かれる結果となりました。そこでコッポラ監督のもと、オリジナルのネガフィルムを4Kスキャンして映像をリストアし、音楽の入れ方を変えるなどしたのが「ゴッドファーザー〈最終章〉:マイケル・コルレオーネの最期」になります。初公開から30周年となる2020年に米国で限定公開されました。大まかな物語に違いはありませんが、上映時間は約4分短くなり、冒頭の場面とエンディングが変わったのは要注目です。米国では好評で、キャストのアル・パチーノ、ダイアン・キートンも初公開版より良くなったと語っています。
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ゴッドファーザー PART III あらすじ(ネタバレ)
父ビトーからコルレオーネ・ファミリーのドンの地位を継承したマイケル(アル・パチーノ)が、ファミリーの存続のため兄フレドを殺してから20年を経た1979年。マイケルはバチカンのギルディ大司教(ドナル・ドネリー)と手を結び、ファミリーの永続的な繁栄を図ろうとする。しかしオペラ歌手をめざす息子アンソニー(フランク・ダンブロージョ)はそんな父と反目し合っていた。
マイケルのカトリック教会からの叙勲を祝うパーティーの席上で、マイケルは10年前に別れた妻ケイ(ダイアン・キートン)と再会する。そしてそこにはマイケルの妹、コニー(タリア・シャイア)がファミリーの後継者にと思って連れてきた長兄の故ソニーの息子ヴィンセント(アンディ・ガルシア)の姿もあった。マイケルの娘メリーは従兄ヴィンセントに運命的な愛の予感を覚えてゆく…。
かつてのコルレオーネ家の縄張りはジョーイ・ザザ(ジョー・マンティーニャ)によって牛耳られていた。ファミリーが犯罪から手を引き、合法的な仕事に移ることを宣言したマイケルはザザの配下にいたヴィンセントを自分のもとに置き、後継者として育てようとするが、そのことを契機にザザとヴィンセントの抗争が表面化し、暴力沙汰が起こってしまう。そんなヴィンセントにファミリーの記事を書くことを目的とした女性ジャーナリスト、グレイス(ブリジット・フォンダ)が接近する。一方、マイケルはB・J・ハリソン(ジョージ・ハミルトン)を新たな片腕として大司教との契約にこぎつけようとしていたが、法王の突然の発病で危機に直面する。
そんなある日、父と和解したアンソニーのオペラ・デビューが決まり、ファミリーはその発祥の地であるシシリーに集まった。今、オペラの幕が上がろうとしている。だが、敵の手もすぐ近くに忍び寄り、オペラの最中にボディ・ガードが殺される。そして上演後の拍手喝采のあと、外に出たマイケルに向けて銃が放たれた。だが狙いははずれ、撃たれたのはメリーだった。マイケルの叫び声が響く。
それから数年後、家の庭に腰かけていたマイケルに、静かな最期が訪れるのだった。
ゴッドファーザー PART III スタッフ
監督:フランシス・フォード・コッポラ
脚本:フランシス・フォード・コッポラ,マリオ・プーゾ
製作:フランシス・フォード・コッポラ
製作総指揮:フレッド・フックス,ニコラス・ゲージ
音楽:カーマイン・コッポラ,ニーノ・ロータ
撮影:ゴードン・ウィリス
編集:リサ・フラックマン,バリー・マルキン,ウォルター・マーチ
製作会社:アメリカン・ゾエトロープ
配給:パラマウント映画
ゴッドファーザー PART III キャスト
ドン・マイケル・コルレオーネ:アル・パチーノ
コルレオーネ家の現家長。組織を合法化させることに尽力し、1979年にパパル賞を授与される。しかし完全にマフィアから足を洗うことはできず、過去に犯した罪に強い罪悪感を抱き続けている。合法ビジネスへの全面的な転換を試みようとするが、裏切ったジョーイ・ザザの襲撃を予知できず、ヴィンセントに助けられたことで判断力が鈍ったことを自覚し、そこへ糖尿病で倒れて衰えを感じざるを得なくなる。父の生まれ故郷のシチリア島のコルレオーネ村で療養生活を過ごすうちに徐々に引退へと心が傾いていく。そして志半ばで甥のヴィンセントに後を継がせ、完全に引退を決意する。
ケイ・アダムス:ダイアン・キートン
前作で子供を中絶したことでマイケルと離婚。今は別の男性と再婚しているが、息子アンソニーの進路でマイケルに再度接近する。マイケルに対する愛情を未だ内に秘めている。
ヴィンセント・マンシーニ:アンディ・ガルシア
マイケルの兄ソニー・コルレオーネの愛人の息子。父親譲りの喧嘩早い性格で、かねてから対立していたザザとの和解を進めるマイケルに反発していたが、ゴッドファーザーとしての苦労や過去を知るにつれ心を開き、献身的に仕えるようになる。最終的にマイケルの後を継いで三代目の家長となり、ドン・ヴィンセント・コルレオーネと名乗る。
コニー・コルレオーネ:タリア・シャイア
マイケルの妹。一作目で夫をマイケルに粛清されてファミリーを離れたが、二作目で和解に至った。本作ではマイケルの辛い宿命を理解し、ファミリーの仕事にも従事している他、ヴィンセントの母親的立場を取る。長年の心労で弱ったマイケルに引退を勧める。
メアリー・コルレオーネ:ソフィア・コッポラ
マイケルの長女。マイケル率いるシシリー復興財団の表向きの代表者とされる。従兄弟であるヴィンセントと恋仲になりながらも、組織の抗争に翻弄される。
アンソニー・コルレオーネ:フランク・ダンブロシオ
マイケルの長男。愛称はトニー。かつてのマイケルのように心優しい好青年。親しかった伯父のフレドが前作で殺されたことをきっかけに父親の裏の顔を知り、家業を継ぐことを拒否してオペラ歌手の道に進む。しかし、父親への尊敬や愛情は変わらず、マイケルと和解した。
アル・ネリ:リチャード・ブライト
マイケルを身近で支える存在。後にバチカンへ赴き、マイケルを裏切ったギルディ大司教を射殺する。
アンドリュー・ヘイゲン:ジョン・サヴェージ
トム・ヘイゲンの息子で聖職者。マイケルにとって血縁はないが事実上の甥にあたり、常に目をかけている。マイケルとギルディ大司教の手引きの結果バチカンに赴任することになった。ラストのオペラシーンではマイケルの親族として列席する。
ドン・アルトベッロ:イーライ・ウォラック
マイケルの妹、コンスタンツィアの名付け親(ゴッドファーザー)。マイケルとは旧知の仲で、マイケルの財団に多額の寄付をするなど表向きは良い関係を保つが、ドン・ルケージと通じておりザザを使いマイケルの暗殺を試みるが失敗。その後マイケルの意を受け部下となったヴィンセントに裏切られ、劇場内でコニーから渡された毒入り菓子で毒殺される。
ジョーイ・ザザ:ジョー・マンテーニャ
コルレオーネ・ファミリーのアルトベッロの子飼いで、ヴィンセントと対立している。出世を拒まれマイケルら幹部会を恨んでいるが、当のマイケルからはチンピラ呼ばわりされている。アルトベッロの意を受けマイケルとファミリーのメンバーの暗殺を試みるがマイケルの暗殺に失敗し、その後騎馬警官に扮したヴィンセントに射殺される。
B・J・ハリソン:ジョージ・ハミルトン
トム・ヘイゲンが亡くなっているため、今作におけるマイケルの弁護士を務めている。常にマイケルと行動を共にし、インモビリアーレ買収で活躍する。
グレース・ハミルトン:ブリジット・フォンダ
ジャーナリストでヴィンセントのガールフレンドとなる。ヴィンセントを狙ったジョーイ・ザザの手先に人質にされたことがきっかけでヴィンセントと別れる。
ランベルト枢機卿:ラフ・ヴァローネ
ドン・トマシーノの紹介によりマイケルが頼ることになる革新派の枢機卿。その後教皇に選出され、ギルディ大司教とルケージらによるバチカン内の汚職の一掃を表明するも、粛清を恐れたギルディ大司教一派に毒殺される。モデルはヨハネ・パウロ1世とされる。
ギルディ大司教:ドナル・ドネリー
宗教事業協会(バチカン銀行)総裁で、バチカンの資金運営を掌るアメリカ地区担当の大司教。マイケルが組織を合法化させるために一番頼っていた人物。金融スキャンダルでバチカン銀行が7億ドルを超える巨額の負債を抱えたことで窮地に陥っている。マイケルにバチカンが実質的なオーナーとなっている国際的な投資会社「インモビリアーレ」の株式を6億ドルで買い取る取引を持ちかけた。マフィア関係の事業を清算する事を引き換えにマイケルに資金洗浄を要求するが、その後ルケージやカインジックと裏で繋がっていることが明らかになりネリにバチカン内で暗殺される。モデルはポール・マルチンクスとされる。
ドン・リシオ・ルケージ:エンツォ・ロブッティ
インモビリアーレ社の取締役会長で、外出時にはカラビニエリの警護を受けるイタリア政財界の有力者。アルトベッロの友人でギルディ大司教を通じバチカン内部にも影響力を持つ人物。マイケルの意を受けたカロにより自宅内で暗殺される。モデルは、リーチオ・ジェッリ(イタリア社会運動幹部、ロッジP2代表)もしくはジュリオ・アンドレオッティ(元イタリア首相)とされる。
ドミニク・アッバンダンド:ドン・ノヴェロ
フレデリック・カインジック:ヘルムート・バーガー
カロ:フランコ・チッティ
モスカ:マリオ・ドナトーネ
ドン・トマシーノ:ヴィットリオ・デューズ
ジョニー・フォンテーン:アル・マルティーノ
ルー・ペニーノ:ロバート・チッチーニ
アンソニー:ビト・アンツォフェルモ
レオ・クーネオ:アル・ラッシオ
マルティ・パリシ:ミッキー・ノックス
ルーシー:ジニー・リネロ
テレサ:テレ・リヴラノ
フレド・コルレオーネ(回想シーン):ジョン・カザール(クレジットなし)
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