復讐の荒野は、1950年公開のアメリカ合衆国の映画。アンソニー・マン監督による心理西部劇。牧場主のジェフォーズは娘・ヴァンスとふたり暮らし。ある日、父が見知らぬ貴婦人を招いたことに苛立ったヴァンスは、彼女の顔を傷付けてしまい…。ジョン・ヒューストンの父、ウォルター・ヒューストンの遺作。
復讐の荒野 映画批評・評価・考察
復讐の荒野(原題:The Furies)
西部に生きる親子の葛藤と対立を描いたマンの見応えある心理西部劇で『ウインチェスター銃’73』と『流血の谷』の間に製作されました。
映画監督・脚本家・俳優で名声を得たジョン・ヒューストンの父、ウォルター・ヒューストン(ジェフォーズ役)の最後の出演映画としても知られています。
復讐の荒野 あらすじ(ネタバレ)
1870年、ニューメキシコ州。T・C・ジェフォーズはフューリーズ(The Furies)と呼ばれる広大な土地を所有する牧場主。独善的な男で、ドルでなくTCという個人の地域通貨で取引する。また、自分の土地に無許可で暮らす人間に対しても容赦なく家を焼き、時には縛り首にする。
その娘ヴァンスは父親にそっくりの勝ち気な娘。父親に物怖じせず、堂々と自分の意見を主張できる。たとえば、不法占拠者のメキシコ人エレラは幼馴染で、追い出したい父親に真っ向から反対する。
それでも娘が可愛い父親は、牧場を娘に継がせるつもりでいる。婿となる男も自分の気に入った人間にしたかったが、よりによってヴァンスが選んだ男は、過去にジェフォーズが土地を奪うために殺した男の息子で銀行家のリップ・ダローだった。
リップも結婚に同意して、ヴァンスは正式に父親にリップを紹介する。しかし、父親から「娘から手を引けば5万ドルやる」と言われたリップは、その金を受け取る。実は、結婚は復讐のためだったのだ。
傷ついたヴァンスだが、相続した牧場経営に打ち込むことでをその悲しみを紛らわせる。
牧場経営が順調にいっていたそんな時、長く家を留守にしていた父親が久しぶりに都会から帰ってくる。ひとりではなく、バーネット夫人が一緒である。バーネット夫人は牧場経営に口を出しはじめる。バーネット夫人が財産目当てだと知ったヴァンスは激昂し、鋏でバーネット夫人の顔を切り裂く。
怒った父親はヴァンスを家から追い出す。ヴァンスはエレラの家に立て籠もるが、エレラが捕まり絞首刑にされる。
ヴァンスは父親への復讐を胸に誓い、鉄道で西部を転々とする。行く先々でTC通貨を買い占め、その価値を暴落させる。そして自分を捨てたリップと組んで、父親を罠にかける。父親は破産し、ヴァンスは牧場を手に入れる。さらに父親は、息子の復讐に燃えるエレラの母親の銃に射たれて死ぬ。
復讐の荒野 スタッフ
監督:アンソニー・マン
脚本:チャールズ・シュニー
原作:ニーヴン・ブッシュ
製作:ハル・B・ウォリス
音楽:フランツ・ワックスマン
撮影:ヴィクター・ミルナー
編集:アーチー・マーシェク
製作会社:ハル・ウォリス・プロダクション
配給:パラマウント映画
復讐の荒野 キャスト
ヴァンス:バーバラ・スタンウィック
リップ・ダロー:ウェンデル・コーリイ
T・C・ジェフォーズ:ウォルター・ヒューストン
バーネット夫人:ジュディス・アンダーソン
エレラ:ギルバート・ローランド
エル・ティグレ:トーマス・ゴメス
アナハイム夫人:ビューラ・ボンディ
エレラの弟:ペペ・ハーン
レイノルズ氏:アルバート・デッカー
クレイ・ジェフォーズ:ジョン・ブロムフィールド
スコッティ:ウォーレス・フォード
エレラの母:ブランチ・ユーカ
ベイリー:ルイス・ジーン・ヘイト
グリーヴ医師:フランク・ファーガソン
ダラス・ハート:マーナ・デル
牛飼い:アーサー・ハニカット