クライマーズ・ハイは、2008年公開の日本映画。地方の新聞社を舞台に、大事件(日航機墜落事故)が起こって興奮状態に陥った人々の姿を生々しく描いた群像ドラマ。原作は、元新聞記者として自身の体験も踏まえて書いた横山秀夫のベストセラー小説。
クライマーズ・ハイ 映画批評・評価・考察
クライマーズ・ハイ(英題:The Climber’s High)
脚本:35点
演技・演出:17点
撮影・美術:16点
編集:8点
音響・音楽:6点
合計82点
実際に地方紙の記者だった横山秀夫が自身の体験をもとにしたという原作を、「日本のいちばん長い日」の原田眞人監督が映画化。記者たちの知られざる苦悩や葛藤を描く、迫真の力作です。多彩な登場人物を高いテンションでさばく社会派群像劇に定評がある同監督は、本作でも膨大なカット数を速いテンポでつなぎ、特ダネをめぐって社内でぶつかりあう新聞社社員たちを熱いタッチで描き切る。“クライマーズ・ハイ”とは登山者が岩登りに夢中になるうち恐怖を感じなくなる状態のことで、本作の登場人物たちの心境と重なります。
今作品はAmazonプライムで見ました。
クライマーズ・ハイ あらすじ(ネタバレ)
1985年8月12日、群馬県御巣鷹山で死者520人という世界最大の航空機事故が起こった。地元の地方紙「北関東新聞」の遊軍記者である悠木(堤真一)は、社長の白河(山崎努)から事故の全権デスクを任される。そんな悠木の母は白河のかつての愛人であり、その縁故で入社したという関係に二人はあった。
編集局の戦争が始まった。県警キャップの佐山(堺雅人)らは現地へと飛ぶ。しかし、白河がすべての権限を握る社内には複雑な人間関係が渦巻き、編集局と販売局の対立もあって、佐山の現場レポートは握りつぶされてしまった。熱くなった悠木は、この状況が登山における「クライマーズ・ハイ」に近いとを感じる。興奮状態が極限まで達した時こそが、最もミスを犯しやすいのだ。そして、それを悠木に諭してくれた登山仲間であり親友の安西(高嶋政宏)がクモ膜下出血で倒れた。
一方、編集局部長である等々力(遠藤憲一)と悠木の対立も、日に日に深まっていく。「北関東新聞」の社員には、誰もが地方新聞社ならではのコンプレックスがあり、かつてはチームを組んでいた等々力と悠木の人間関係も捩じれてしまったのだ。女性記者の玉置(尾野真千子)は、墜落の原因に関するスクープのネタを得る。そんな玉置に佐山をつけて、確実なウラを取るよう悠木は命じた。しかし、完璧なウラは取れなかった。チェック、ダブルチェック。自身がクライマーズ・ハイに陥っていることを自覚している悠木は、その掲載を見送る。翌日、別の新聞がその特ダネを抜いた。退社を決意した悠木は、白河の罵声を浴びながら社を去る。
それから、22年。安西の息子である燐太郎(小澤征悦)とクライミングに挑んだ悠木は、そこで離別した息子の話を聞く。若き日の悠木は、家族を犠牲にしてまで記者の仕事にのめり込んでいたのだ。悠木は、息子が暮らすニュージーランドを訪れる。そこには、成長した息子の姿があった。
クライマーズ・ハイ スタッフ
監督:原田眞人
脚本:加藤正人,成島出,原田眞人
製作:若杉正明,竹内成和
音楽:村松崇継
主題歌:元ちとせ「蛍星」(イメージソング)
撮影:小林元
編集:須永弘志,原田遊人
配給:東映,ギャガ
クライマーズ・ハイ キャスト
悠木和雅(遊軍・日航機事故担当全権デスク):堤真一
佐山達哉(社会部・県警キャップ):堺雅人
玉置千鶴子(地域報道班):尾野真千子
等々力庸平(社会部長):遠藤憲一
岸円治(政経部デスク):田口トモロヲ
田沢善吉(社会部デスク):堀部圭亮
山田厳(地方部デスク):金子和
吉井弁次郎(整理部):マギー
神沢周作(地域報道班):滝藤賢一
伊東康男(販売局長):皆川猿時
亀嶋正雄(整理部長):でんでん
守屋政志(政経部長):矢島健一
暮坂直樹(広告部長):樋渡真司
稲岡信也(投稿欄担当):山田明郷
森脇時彦(地域報道班):矢柴俊博
藤浪鼎(事故調査委員長):大鷹明良
黒田美波(元・社長秘書)野波麻帆
安西小百合(安西耿一郎の妻):西田尚美
粕谷隆明(編集局長):中村育二
追村穣(編集局次長):螢雪次朗
安西燐太郎(安西耿一郎の息子・成長後):小澤征悦
安西耿一郎(販売部):髙嶋政宏
白河頼三(社長):山﨑努
露木茂,内浦純一,滝直希,若松力,大西武志,浜近高徳,山口あゆみ,野元学二,植村喜八郎,神尾佑,筒井巧,若林久弥,村岡希美,水上竜士,田村泰二郎,山崎清介 ほか