ザ・ウォーカーは、2010年公開のアメリカ合衆国の映画。世界が崩壊した近未来を舞台に、この世に一冊だけ残った本を運び、ひたすら西へと孤独に旅する男の姿を描くサスペンス・アクション。邦題は劇中で町で文明的な生活を送っていると自慢するカーネギー一味の人間が、主人公イーライが町に定住せず旅を続けていることに対して侮蔑的に「旅人(ウォーカー)」と呼んでいるのに由来する。
ザ・ウォーカー 映画批評・評価・考察
ザ・ウォーカー(原題:The Book of Eli)
脚本:32点
演技・演出:15点
撮影・美術:13点
編集:7点
音響・音楽:7点
合計74点
原題はThe Book of Eli 直訳すると『イーライの本』なんですが、邦題は主人公のあだ名をとってザ・ウォーカーとしています。海外ゾンビドラマ、ウォーキングデッドのウォーカーと被るようにあえてしているようにも思えます。ということで、デンゼル・ワシントン主演でゾンビ映画とは珍しいと思い今作を見始めたのですが、まったく違う内容でしたね。
宗教色が強く荒廃した世界と西部劇を融合させていて、イーライの本の謎を追うサスペンスアクション映画。アメリカ人というかキリスト教徒には胸が熱くなる作品なのかな?と思いつつ、個人的には宗教的なバックボーンがないことや、興味深い作品だったものの、オチがすぐに分かったことから、それほど楽しめませんでした。
ザ・ウォーカー あらすじ(ネタバレ)
最終戦争によって国家も文明も滅びた世界。イーライは「本を西へ運べ」という心の声に導かれ、目的地も分からぬまま30年間もアメリカを西に歩き続けている。
ある日、イーライが辿り着いたのはカーネギーという男が牛耳る街だった。とある本を探し続けているカーネギーは、バーで自分の手下を返り討ちにしたイーライを気に入って仲間に勧誘する。イーライは断るが、強制的にカーネギーの屋敷で一泊することになり、ソラーラという少女を宛がわれる。追い返されれば母と共にカーネギーに責められるというソラーラに、イーライは口裏を合わせる事を約束し仕方なく部屋に留めおく。
翌朝、カーネギーのもとに戻ったソラーラは母クローディアに朝食をすすめられ、イーライがやっていた「食前の祈り」を見様見真似でやってみせる。目当ての本をイーライが持っていることに気付いたカーネギーは、イーライにその本を差し出すように要求するが、頑なに拒否されてしまう。容赦なくイーライを撃ち殺すよう手下に命じるカーネギーだが、銃撃戦はイーライが圧倒的優勢のまま終わり、カーネギーも足を負傷してしまう。
街を出たイーライは、追ってきたソラーラから「水のある場所を教えるから旅に連れて行ってほしい」と提案される。案内されて水のある場所へ辿り着いたイーライだが、水を汲んだ後はソラーラを騙して洞窟に閉じ込め去っていく。なんとか脱出したソラーラは、イーライを追う道中で盗賊団に襲われ強姦されかかるが、イーライに助けられて意図せず合流に成功する。イーライは同行するソラーラに、自分の持っている本が2つと存在しないことや、それを発見した際の不思議な体験を明かした。
2人は道中、孤立した老夫婦の家で歓待されるが、車で追ってきたカーネギーたちに見つかって銃撃戦となり、捕らわれの身となってしまう。ソラーラを人質に取られたイーライは本を差し出すが、カーネギーはイーライの腹に銃弾を1発撃ち込むと、ソラーラを連れて去っていく。ソラーラは隙を見て運転手の首を絞めて車を奪った後、戻ってきた別の一台を手榴弾で吹き飛ばす。ソラーラは奪った車でイーライを助けに戻り、カーネギーは燃料の関係でソラーラを諦めて街へと戻っていく。
ソラーラの運転でさらに西へ進んだ2人は海岸に行き当たり、ボートに乗ってアルカトラズに辿り着くと、欽定訳聖書を持っていると明かして中に入れてもらう。そこには戦前の物品を保全する住人達がおり、印刷機も発見されていた。イーライはそこで本の内容を伝える事を決意する。一方、街に戻ったカーネギーは本に掛けられた鍵を開けさせて中身を確認するが、そこに並ぶ文字は全て点字だった。盲目であり点字が分かるクローディアに読ませようとするが、彼女は従わずにカーネギーのもとから去っていく。既に街はカーネギーの支配下になく、無秩序で暴力に溢れていた。
負傷していたイーライは、暗記していた本の中身を休むことなく語り続けると、やがて天に召されてしまう。ソラーラは本の完成を見届けた後、イーライの装備を身につけ街へと戻っていった。
ザ・ウォーカー スタッフ
監督:アルバート・ヒューズ,アレン・ヒューズ
脚本:ゲイリー・ウィッター
製作:ジョエル・シルバー,アンドリュー・ A・コソーブブロデリック・ジョンソン,デンゼル・ワシントン,デビット・バルデス
製作総指揮:エリック・オルセン,スティーブ・リチャーズ,スーザン・ダウニー
音楽:アッティカス・ロス
撮影:ドン・バージェス
編集:シンディ・モロ
製作会社:Alcon Entertainment,シルバー・ピクチャーズ
配給:ワーナー・ブラザース,角川映画,松竹,サミット・エンターテインメント
ザ・ウォーカー キャスト
イーライ:デンゼル・ワシントン
ビリー・カーネギー:ゲイリー・オールドマン
ソラーラ:ミラ・クニス
クローディア:ジェニファー・ビールス
レッドリッジ:レイ・スティーヴンソン
ジョージ:マイケル・ガンボン
マーサ:フランシス・デ・ラ・トゥーア
エンジニア:トム・ウェイツ
ロンバルディ:マルコム・マクダウェル