ロイ・リチャード・シャイダー (Roy Richard Scheider, 1932年11月10日 – 2008年2月10日) は、アメリカ合衆国の俳優。『ジョーズ』のブロディ署長、『オール・ザット・ジャズ』のジョー・ギデオン、『フレンチ・コネクション』のロッソ刑事役で良く知られる。最後の出演作は2010年に公開されたスリラー映画『Iron Cross』である。シャイダーは Allmovie において「全てのハリウッド俳優の中で最もユニークであり優れた俳優の一人」と評される。彼は2度のアカデミー賞、1度のゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞にノミネートされている。1984年には日本の「スーパーニッカ」のCMに出演した。
ニュージャージー州オレンジで自動車工のロイ・バーンハード・シャイダーとアンナ・シャイダー夫妻の息子として生まれる。母親のアンナはアイルランド系のカトリック教徒であり、父親はドイツ系のプロテスタントの移民であった。幼少時からスポーツに打ち込み、野球やボクシングでその才能を現した。ボクシングでの階級は140ポンドの体重からウェルター級であった。メイプルウッドのコロンビア高校に通い、1985年には同校の栄誉の殿堂入りしている。その後ボクシングから演劇に転向し、ラトガース大学およびフランクリン・アンド・マーシャルカレッジで演劇を学んだ。同校ではファイ・カッパ・サイのメンバーであった。卒業後、空軍に入隊し3年間管制業務を行った後、ニューヨーク・シェークスピア・フェスティバルに出演し、1968年にはオビー賞を受賞している。その後2つのCBS連続ホームドラマ「Love of Life」「The Secret Storm」に出演した。
映画初出演は1963年のホラー映画『Curse of the Living Corpse』で、『ロイ・R・シャイダー』とクレジットされた。1971年には『コールガール』と『フレンチ・コネクション』に出演し、『フレンチ・コネクション』ではアカデミー助演男優賞にノミネートされた。知的なキャラクターで名脇役、悪役として存在感を増していくが、1975年には『ジョーズ』で主演し、大ヒットによって一躍名を高めた。1978年には続編の『ジョーズ2』でも主演した。1979年にはボブ・フォッシーの自叙伝的映画『オール・ザット・ジャズ』でミュージカル舞台監督のジョー・ギデオン役を演じ、イメージとして定着していたタフ・ガイのステレオタイプを打ち破り、同作でアカデミー主演男優賞にノミネートされる。90年代以降はいわゆるサイコサスペンスやホラー作品に出演が集中するようになるが、スティーヴン・スピルバーグ制作のテレビシリーズ『シークエスト DSV』では主演を努めている。
2004年、多発性骨髄腫と診断され俳優業を休業して治療に専念、2005年6月に癌治療のため骨髄移植を経験するも、2008年2月10日、4年近くに亘る闘病の末、死去した。75歳没。