ピーター・シェイマス・オトゥール(Peter Seamus O’Toole, 1932年8月2日 – 2013年12月14日)は、アイルランドの俳優。シリアスで濃厚なドラマから軽妙なコメディまでこなす演技派として知られる。
舞台
リーズで地元の新聞社に勤めていたが、アマチュア劇団に参加して1949年に初舞台を踏む。イギリス海軍を除隊後、奨学金を得て王立演劇学校に入学する。1955年にプロ・デビューし、当初は舞台俳優としてシェイクスピア劇を中心に活動した。
映画
1962年に『アラビアのロレンス』で監督デヴィッド・リーンに抜擢され、主役を演じる。188cmの長身と緑青色の眼が印象的なロレンスが話題を呼び、英国アカデミー賞 主演男優賞を受賞。アカデミー主演男優賞に初ノミネートされる。
1968年には大女優キャサリン・ヘップバーンと共演した『冬のライオン』でヘップバーン相手にヘンリー2世を堂々と演じ、ゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ドラマ部門)を受賞。その一年後にも『チップス先生さようなら』でゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門)を受賞。しかし、両作品でもアカデミー主演男優賞はノミネート止まりに終わった。
その後も1987年のアカデミー作品賞受賞作品『ラストエンペラー』など数々の名作に出演し、計8回もアカデミー賞にノミネートされながら一度も受賞していなかったが、2003年にアカデミー名誉賞を受賞した。
権力者を演じることが多く、独裁者や王役を多く演じた。『ベケット』と『冬のライオン』では、どちらともヘンリー2世を演じている。
2012年7月10日に俳優業からの引退を表明した。
私生活
1959年に舞台女優のシアン・フィリップスと結婚、ケイトとパトリシアの2人の娘をもうけるが、1979年に離婚した。長女ケイトは女優になった。1975年に腹部の悪性腫瘍のため余命幾ばくもないと告知を受けたが、手術を受けて奇跡的に回復した。1983年には交際していた女性との間に息子が1人生まれている。
死去
長い闘病生活を送っていたが、2013年12月14日、ロンドン市内の病院で死去した。81歳没。死去の直前に完成した映画『Diamond Cartel』が、2017年に全米公開され、本作がピーターの遺作となった。