福本 清三(ふくもと せいぞう、1943年2月3日 – 2021年1月1日)は、日本の俳優。兵庫県城崎郡香住町(現・美方郡香美町香住区)出身。血液型はB型。本名は橋本 清三(はしもと せいぞう)。東映剣会所属。
50年以上にわたり、時代劇・現代劇を問わず「斬られ役・殺され役」を演じてきたことから、「5万回斬られた男」の異名を持つ。愛称は「福ちゃん」「先生」。
6人兄弟の三男(5番目)として生まれる。中学校卒業後、親類の経営する米穀店の後継ぎに据えられたが、「まいど、おおきに」という挨拶をすることが恥ずかしく苦手であったことから、1959年に不動産屋を経営していた叔父の伝手で15歳で東映京都撮影所に入社し、いわゆる「大部屋俳優」となる。
20代後半頃から斬られ役専門となり、東映京都や関連会社が制作したほぼ全ての時代劇に出演した。当時は京都撮影所に所属していたため、東映東京撮影所制作の映画・テレビドラマへの出演は少ない。アクション映画やヤクザ映画にも多数出演しており、映画『仁義なき戦い 広島死闘篇』では、撃たれた瞬間に座った状態から跳ね上がって死ぬシーンを、監督・深作欣二が福本にゴムを装着させる予定をしていたものの、殺陣師が「体にバネがあるから必要ない」として止めさせ、身体能力だけで演じている。
1978年のテレビ時代劇『柳生一族の陰謀』の裏柳生衆の一人・キタノでセミレギュラーに、1982年公開の角川映画『伊賀忍法帖』では敵役・魔界五人衆の一人・虚空坊に配役される。この頃は、千葉真一率いるジャパンアクションクラブ (JAC) メンバーとの共演も多く、真田広之、志穂美悦子らの信頼も厚かった。
斬られ役のプロというべき存在感から、所属の東映以外に外部のプロダクションからの依頼も多数あり、杉良太郎主演の「同心暁蘭之介」(杉友プロダクション制作)、松方弘樹主演の「大江戸捜査網」(三船プロダクション制作)等にも出演している。「同心暁蘭之介」では杉が福本のために役を用意し、福本本人が初めての大きな役だったと自伝『おちおち死んでられまへん-斬られ役ハリウッドへ行く』で述べている。
定年直前の2002年、ハリウッド映画『ラスト サムライ』に出演し、主人公から何度話しかけられても返答しない寡黙なサムライに扮した。最後の戦いで戦死するシーンは、いままで培ってきた斬られ役としての演技力を生かし、迫力ある「死に方」を見せた。同作品の英語版公式サイトでは「kirareyaku(斬られ役)」として活動していることが明記されている。
2003年に東映を定年となったが、その後も嘱託という形で東映に籍を置いたまま俳優業を続けており、活動の幅もさらに拡げた。『ラスト サムライ』で共演したトム・クルーズからは、「定年で辞めるなんてもったいない、ぜひハリウッドにおいでよ」と声をかけられている。2006年にはNHK大河ドラマ『功名が辻』から出演のオファーを受け、ここでも斬られ役としての技量を披露した。
2010年には特撮テレビドラマ『仮面ライダーW』の劇中劇『風の左平次』に悪役として登場し、劇中劇を本格的時代劇に見せる演出に一役買っている。翌2011年の仮面ライダー生誕40周年記念映画『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』では、監督の金田治の推薦により、ショッカーの大幹部ブラック将軍を演じた。
2014年6月14日公開の映画『太秦ライムライト』では「斬られ役一筋のベテラン俳優」役で初主演を務め、第18回ファンタジア国際映画祭において日本人初となる主演男優賞を受賞し、同時に歴代最年長受賞記録を更新した。
2021年1月1日、肺がんのため、京都市の自宅で死去。77歳没。
2021年11月公開の映画『CHAIN チェイン』が最後の出演作となった。