ダーティハリー4は、1983年公開のアメリカ合衆国の映画。悪に対して法律すれすれの荒っぽい手段で敢然と挑む、サンフランシスコ警察の孤独な一匹狼ダーティハリーことハリー・キャラハン刑事の活躍を描くシリーズ第4弾。イーストウッドが自ら監督を担当しシリーズ最大のヒット作。本作の決め台詞「Go ahead, Make my day」は当時ロナルド・レーガン大統領が引用して話題になった。この台詞は2005年選定のAFIアメリカ映画の名セリフベスト100でも6位に選ばれている。
ダーティハリー4 映画批評・評価・考察
ダーティハリー4(原題:Sudden Impact)
脚本:30点
演技・演出:16点
撮影・美術:16点
編集:8点
音響・音楽:7点
合計77点
公開当時は“12大見せ場”(なぜか第2作と同じだった)が売りとされた本作。全編にハリーの活躍がふんだんで、7年のブランクを吹き飛ばすサービスぶりです。中でも序盤、人質に銃を突きつける犯人にハリーが拳銃を向けて言うキメ台詞“ゴー・アヘッド、メイク・マイ・デイ(撃ってみろ、楽しませてくれ)”は、最も有名なハリー語録のひとつとなりました。クライマックスで使われる大型拳銃オートマグも大迫力です。製作当時のイーストウッドの恋人ソンドラ・ロックの役柄に、イーストウッド流フェミニズムが読み取れる新趣向も感じられます。
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ダーティハリー4 あらすじ(ネタバレ)
サンフランシスコのゴールデン・ゲートを望む丘の上で、カーセックスの最中、女(ソンドラ・ロック)が突然、男の急所を射ち抜いた。現場検証に来たハリー・キャラハン刑事(クリント・イーストウッド)は、手掛かりをつかめぬまま、以前に挙げた殺人犯の判決が下る州裁判所へ向かう。裁判で、犯人は無罪釈放となった上、逆にハリーの捜査の行き過ぎに警告を発するという結果になった。釈然としない気持ちで行きつけのコーヒー・ショップに立ち寄ったハリーは、強盗団に遭遇、激しい銃撃戦の末、事件を片づけた。
その夜、ハリーは同僚たちが張り込んでいたマフィアのボスの孫娘の結婚式場に単身のり込み、ニセの証拠をつきつけて脅すと、ボスは心臓麻痺で倒れた。重ね重ねのハリーの無謀な捜査に批難の声が上がったため、北カリフォルニア沿岸の町サン・パウロヘ彼は出張を命じられる。シスコの連続殺人事件の犠牲者の1人がサン・パウロ出身だったからというのが表向きの理由だった。
到着早々、銀行強盗の事件を片づけたハリーは、この街でもシスコの連続殺人事件と同じ手口で殺人が行なわれていることを知る。そんな時、彼は画家であるジェニファーと知り合い心引かれていく。ハリーが連続殺人事件を追ううちに意外な事実が浮かんできた。一連の事件は数年前のレイプ事件に端を発しており、その被害者がジェニファーと妹で、襲った犯人たちが次々に殺されているというのだ。
レイプ事件の主謀者であるミック(ポール・ドレーク)はジェニファーと事件を追うハリーを片づけようと、仲間のクルーガー等と共にハリーを襲い、海に突き落とす。一命をとりとめたハリーが常宿としていたモーテルに戻ると、彼を尋ねてきた同僚のホレース刑事が殺され、彼が以前にくれた愛犬も傷つけられていた。
怒りに燃えたハリーは新型の44オートマグナムを持って、ミックらがジェニファーを殺そうとしている遊園地に向かった。ハリーの銃弾に、またたく間に2人の仲間を失ったミックは、ジェニファーを人質にして逃げようとする。ジェットコースターの軌道の上を逃げようとするミックが、ジェニファーの手を離した瞬間、ハリーのマグナムが炸裂し、ミックは息絶えた。涙ながらに罪の許しを乞い哀訴するジェニファーにハリーは事件の犯人を彼女にすることなく解決することを優しく約束するのだった。
ダーティハリー4 スタッフ
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ジョゼフ・スティンスン
原案:アール・E・スミス,チャールズ・E・ピアース
製作:クリント・イーストウッド
製作総指揮:フリッツ・メイニーズ
音楽:ラロ・シフリン
撮影:ブルース・サーティース
編集:ジョエル・コックス
配給:ワーナー・ブラザース
ダーティハリー4 キャスト
ハリー・キャラハン:クリント・イーストウッド
主人公。サンフランシスコ市警の刑事。変わらず時代遅れの強引な捜査で疎まれている。更に逆恨みで命を狙われ、銃撃戦などの揉め事を起こすために、殺人事件の捜査という名目でサンフランシスコから離れた田舎町サンパウロに派遣される。
ジェニファー・スペンサー:ソンドラ・ロック
女性画家。ハリーが追う連続殺人の犯人。10年前、女子大生の時に妹と共に3人組にレイプされる。この為、妹が廃人となってしまった上に、犯人達は何の制裁もされなかったために復讐を誓い、コルト・ディテクティブスペシャルで標的の股間を撃って殺害していく。このような過去から被害者よりも加害者の人権が守られる世の中に憤りを持っており、ハリーに理解を示す。
ジャニングス署長:パット・ヒングル
サンパウロ署の署長。面倒事を引き起こすよそ者のハリーを苦々しく思う。ところが、実は息子アルビーがレイプ犯の仲間であり、それをネタにミックらに脅迫されていたことが明かされる。最後、ジェニファーに懺悔し、ミックに法的な制裁を加えることを約束するが、その矢先にミックにジェニファーの銃を使って殺害されてしまう。
ブリッグズ:ブラッドフォード・ディルマン
市警殺人課の警部でハリーの上司、字幕では課長となっている。前作で市警殺人課の警部(吹替えでは本部長)、マッケイを演じたブラッドフォード・ディルマンが演じている。前作からの続投で同じような役柄だが、役名は異なる。エンドクレジットの序列は4番目だが、出演シーンは開始20分後のわずか数分に留まっている。
ミック・パーキンズ:ポール・ドレイク
レイ・パーキンズ:オードリー・J・ニーナン
クルーガー:ジャック・チボー
ジェニファーたちをレイプした犯人。襲ってくる彼女はおろか、真相に気付いたハリーやホレースまでも殺害しようとする。最後はハリーの44オートマグによって全員射殺される。
ドネリー警部補:マイケル・キュリー
市警殺人課の警部補でハリーの上司。字幕では係長となっている。ハリーの度重なるトラブルからサンパウロへの出張を命ずる。ことあるごとにハリーにやかましく小言をぶつけるが、本心では信頼している。
ホレース・キング:アルバート・ポップウェル
サンフランシスコ市警におけるハリーの同僚刑事であり親友。世話好きな性格で、ハリーの出張先のモーテルにペットのブルドッグを贈る。その後、サンパウロのハリーの部屋を訪問した際に、ハリーを殺そうと待ち構えていたミックに襲撃され刺殺されたことから、ハリーの怒りは頂点に達することになる。演じたアルバート・ポップウェルは第1作からそれぞれ異なる役で出演している。
ベネット巡査:マーク・キールーン
タイロン:ウェンデル・ウェルマン
スレルキス:マイケル・V・ガッツォ
サンフランシスコ市内を拠点とするギャング組織の幹部。とある殺人に関与していたが、娘婿の結婚式に乗り込んできたハリーとのやり取りの最中に心臓発作を起こして死亡する。このことが上司のブリッグスを激怒させ、ハリーが組織に再三にわたり命を狙われることになる。演者はマイケル・V・ガッツォであるが、エンディングのクレジットには明記されていない。