RRR(アールアールアール)は、2022年公開のインド映画。物語は実在の独立運動指導者コムラム・ビームとアッルーリ・シータラーマ・ラージュを主人公としたフィクションであり、2人が歴史上に登場する以前の空白の時代を舞台にし、2人がイギリス領インド帝国に戦いを挑む姿を描いている。日本では2022年10月21日に公開され、興行収入は10億円を超えて日本で公開されたインド映画の中で最も高い興行収入を記録し、『ムトゥ 踊るマハラジャ』が保持していた記録を塗り替えた。
RRR 映画批評・評価・考察
RRR(原題: RRR)
脚本:40点
演技・演出:20点
撮影・美術:20点
編集:10点
音響・音楽:10点
合計100点(満点)
2018年3月に企画が正式発表され、仮タイトルはラージャマウリ(Rajamouli)、ラーム・チャラン(Ram Charan)、ラーマ・ラオ・ジュニア(Rama Rao)のイニシャルから「RRR」と名付けられました。後に「大規模な映画には全言語共通で理解できるタイトルが必要」と考えたラージャマウリ監督の判断により、「RRR」が正式なタイトルとして採用されました。ラージャマウリの父K・V・ヴィジャエーンドラ・プラサードが原案を書き、それを基にラージャマウリが6か月間かけて脚本を執筆しています。『RRR』の主人公アッルーリ・シータラーマ・ラージュとコムラム・ビームは、それぞれイギリス領インド帝国とニザームに対する抵抗運動を指揮した実在の革命指導者で、ラーム・チャランがラージュ役、ラーマ・ラオ・ジュニアがビーム役を演じています。ただし、物語自体は抵抗運動を始める前の2人を題材にしたフィクションであり、1920年代のデリーを舞台にしています。ラージャマウリは以下のように、2人の生涯の中には一致する事柄があったと語っています。
” アッルーリ・シータラーマ・ラージュとコムラム・ビームの伝記を読んだ時、2人の物語が似ていることに気付きとても興奮しました。2人は生涯出会うことがなかった。もし出会っていたら?互いに影響を与えていたら?『RRR』は、そういった映画です。完全なフィクションです。映画には非常に大きなスケールが詰まっています。私たちは多くのことを調べました。衣装や言語、生活様式など。そのため、これだけの長い時間がかかってしまったのです。 —S・S・ラージャマウリ ”
S・S・ラージャマウリ監督が、また傑作映画を撮りあげてくれました。『バーフバリ 伝説誕生』『バーフバリ 王の凱旋』も素晴らしい作品でしたが、今作も素晴らしいです。なんていえばいいのか、彼の映画は魂が震える、雄たけびをあげたくなるようなエネルギーがあります。劇中のダンスシーンなど唐突でありながらも受け入れられるし、いや圧倒されてしまうほど大迫力でノリがとても良く、観ていて楽しい、笑顔になるものです。ここまで心にパワーを与えてくれる作品はそうそうありません。
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RRR あらすじ(ネタバレ)
1920年のイギリス領インド帝国。圧政を敷くインド総督スコット・バクストンの一行はアーディラーバードの森にあるゴーンド族の村を訪れ、そこで芸術の才能を持つ少女マッリに出会う。マッリの才能を気に入ったキャサリン総督夫人は、強引に彼女を総督府のあるデリーに連れ去ってしまう。後日、ニザーム藩王国の特使アヴァダニが総督府を訪れ、マッリをゴーンド族に引き渡すように勧める。対応したスコットの側近エドワードが一蹴すると、アヴァダニは「引き渡さなければ、彼らの守護者がイギリス人に災いをもたらす」と忠告する。同じころ、マッリが連れ去られたことを知った部族の守護者ビームは、彼女を取り戻すため仲間(ジャング、ペッダイヤ、ラッチュ)を連れてデリーに向かい、ムスリムの「アクタル」に扮して行方を捜していた。
デリー近郊の警察署では、逮捕した独立運動家の釈放を求めるデモ隊が押しかけていた。警察官のラーマは単身デモ隊の中に飛び込み首謀者を逮捕する功績を上げたが、イギリス人署長は彼の功績を認めず、昇進させようとしなかった。そんな中、総督府ではビームの対策が協議され、ラーマが担当捜査官に名乗りを挙げる。ラーマは警察官の叔父ヴェンカテシュワルルと共にデリー市内の独立運動家の集会に潜入し、ビームの仲間ラッチュを発見する。
ラーマは独立運動家を装いラッチュに近付くが、途中で正体が露見して逃げられてしまう。ラッチュを見失ったラーマは列車事故の現場に遭遇し、その場に居合わせたビームと協力して事故に巻き込まれた少年を助け出し、互いの正体を知らぬまま交流を重ねていく。やがて2人は親友となり、ラーマはスコットの姪ジェニーに想いを寄せるビームを手助けする。ジェニーと親しくなったビームは総督公邸に招待され、そこでマッリと再会し、必ず助け出すことを約束して総督公邸を後にする。一方、ラーマはラッチュを拘束して尋問するが、隙を突かれて腕をマルオアマガサに噛まれてしまう。ラッチュから「英国人でも解毒できない」と告げられ、彼を解放した後にその場を立ち去る。
ビームは仲間と共に総督公邸に乗り込む準備を進めるが、そこに満身創痍のラーマが現れる。彼はラーマを解毒して介抱するが、ラーマはラッチュと同じ装飾を身に着けたビームに疑念を抱く。そんな中、ビームは自分の正体を明かし、マッリを助け出すために総督公邸に乗り込むことを告げ、ラーマを残して総督公邸に向かう。その夜、総督公邸ではスコットのナイト叙任を祝うパーティーが催されていたが、そこにビームが野生動物を満載したトラックで乗り込んできたため、会場はパニック状態になる。ビームはマッリを捜すが、そこにラーマが駆け付け、自分の正体が警察官であることを明かし、格闘の末にラーマはビームを逮捕する。
ラーマはビームを逮捕した功績を認められて武器庫の管理権限を持つ特別捜査官に昇進するが、親友を裏切ったことや過去を思い出して罪悪感に苛まれていた。
ラーマの父ヴェンカタは警察官だったが、スコットの圧政に耐えかねて脱走し、独立運動家として村人たちに戦闘訓練を施していた。ある日、イギリス軍が村を襲撃し、ヴェンカタとラーマは村人たちを逃がすために戦いを挑むが、その中でラーマの母サロージニと弟チンマが殺され、ヴェンカタも重傷を負わされる。ヴェンカタはイギリス軍に投降し、自身が隠し持っていた爆弾をラーマに狙撃させ、イギリス軍を巻き込んで爆死する。数年後、成長したラーマは警察官となり、独立闘争に必要な武器を手に入れるため、父の指示で警察官になっていた叔父ヴェンカテシュワルルと行動を共にして警察組織での出世を目指していた。
逮捕されたビームは、見せしめのためスコット夫妻や民衆の前でラーマの手によって鞭打ちの刑に処せられるが、ビームは屈することなく民衆を鼓舞し続け、彼に触発された民衆が暴動を起こしたため刑の執行が中止される。その姿を見たラーマは、自分の行動が間違っていたことを知り、ビームを助け出そうと決意する。ラーマはスコットを説得し、ビームをデリー郊外に連れ出し、マッリの目前で処刑することを認めさせ、その途中で彼を逃がそうとする。しかし、マッリの救出には成功したものの、スコットに銃撃されたラーマは重傷を負い、事情を知らないビームに殴られてしまう。ビームはマッリを連れて逃走し、ラーマは2人を逃がすためにイギリス兵の追跡を妨害する。
数か月後、ハトラスに潜伏していたビームたちは警察の捜査網にかかり発見されそうになるが、居合わせたラーマの婚約者シータの機転で難を逃れる。彼女はラーマの行方を捜すため同地を訪れており、ビームに対して、ラーマが反英闘争のために活動していたこと、反逆罪で処刑されようとしていることを伝える。ラーマの本当の目的を知ったビームは自身の行動を恥じ、ラーマの救出を決意する。
ビームはジェニーの協力を得て、ラーマが収監されたバラックを突き止める。バラックに潜入したビームはラーマの救出に成功して森の中に逃げ込むが、スコットに命じられたエドワードが特殊部隊を率いて追跡を始める。ラーマは森の中にあるラーマ神の祠にあった長弓を手にしてビームと共に反撃し、特殊部隊は全滅してエドワードも戦死する。2人はそのまま総督府に向かい、火をつけたバイクを突入させ、武器庫に突入したバイクは爆発し、弾薬が誘爆したことで総督府は崩壊する。キャサリンたちは崩壊に巻き込まれて命を落とし、追い詰められたスコットはビームに射殺される。スコットを倒した2人は総督府の武器を持ち出してデリーを後にしてシータ、ジェニーと合流する。ラーマは、「お礼に、君の願いを叶えさせて欲しい」とビームに語りかけ、ビームは「読み書きを教えて欲しい」と返答する。その後、マッリは村に戻り母ロキと再会し、ラーマは故郷の人々に武器を送り届ける。
RRR スタッフ
監督:S・S・ラージャマウリ
脚本:S・S・ラージャマウリ,サーイ・マーダヴ・ブッラー
原案:K・V・ヴィジャエーンドラ・プラサード
製作:D・V・V・ダナイヤー
音楽:M・M・キーラヴァーニ
撮影:K・K・センティル・クマール
編集:A・スリーカル・プラサード
製作会社:DVVエンターテインメント
配給:KVNプロダクション,ツイン
RRR キャスト
コムラム・ビーム:N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア
A・ラーマ・ラージュ:ラーム・チャラン
幼少期のラーマ:ヴァルン・ブッダデーヴ
ヴェンカタ・ラーマ・ラージュ:アジャイ・デーヴガン
シータ:アーリヤー・バット
幼少期のシータ:スパンダン・チャトゥルヴェーディー
サロージニ:シュリヤ・サラン
ヴェンカテシュワルル:サムドラカニ
スコット・バクストン総督:レイ・スティーヴンソン
キャサリン・バクストン総督夫人:アリソン・ドゥーディ
ジェニファー(ジェニー):オリヴィア・モリス
ジャング:チャトラパティ・セーカル
ペッダイヤ:マカランド・デシュパンデ
ヴェンカット・アヴァダニ:ラジーヴ・カナカーラ
ラッチュ:ラーフル・ラーマクリシュナ
エドワード:エドワード・ソネンブリック
ロキ:アーマリーン・アンジュム
マッリ:トゥインクル・シャルマ
チンナ:チャクリー
ジェイク:エドゥアルド・ブハク
「Etthara Jenda」シーン登場:S・S・ラージャマウリ(特別出演)