高慢と偏見とゾンビ(こうまんとへんけんとぞんび)は、2016年公開のアメリカ合衆国・イギリス合作映画。セス・グレアム=スミスがジェーン・オースティンの『高慢と偏見』(1813年)を下敷きにして書いた同名小説(2009年)を原案としている。日本でのキャッチコピーは、『不朽の恋愛小説、感染。』
高慢と偏見とゾンビ 映画批評・評価・考察
高慢と偏見とゾンビ(原題:Pride and Prejudice and Zombies)
脚本:29点
演技・演出:12点
撮影・美術:15点
編集:5点
音響・音楽:7点
合計68点
前半があまりにもダルすぎるというか、高慢と偏見要素が文学的過ぎてゾンビ映画の恐怖感が皆無で、そのわりにコメディというには格式高い。主演のエリザベス役リリー・ジェームズが魅力的に演出されているのはとても良いんですが、物語に躍動感が出てくるのは後半に入ってから、それまでが長かったです。
クライマックスはとても面白いです。『ゲームオブスローンズ』のサーセイ役で一躍トップスターになったレナ・ヘディもハマリ役で、強い女性像が非常に似合ってます。
※プロデューサーにナタリー・ポートマンがいますが出演はしていません。
高慢と偏見とゾンビ あらすじ(ネタバレ)
19世紀初頭のイングランド・ハートフォードシャーに、父の命令により中国で武道を修めたジェーン(演:ベラ・ヒースコート)、エリザベス(リジー、演:リリー・ジェームズ)、メアリー(演:ミリー・ブレイディ)、キティ(演:スキ・ウォーターハウス)、リディア(演:エリー・バンバー)のベネット5姉妹が住んでおり、日夜稽古と周囲にはびこるゾンビ退治に明け暮れていた。娘たちに武術を学ばせたベネット氏(演:チャールズ・ダンス)の思いとは裏腹に、母であるベネット夫人(演:サリー・フィリップス)は、娘たちを裕福な求婚者と妻合わせることしか考えていない。ある日ベネット姉妹は、近くのネザーフィールドへ引っ越してきたビングリー家の舞踏会に招かれ、この席でジェーンは10万ポンドを相続したという噂がある当主のチャールズ・ビングリー(演:ダグラス・ブース)に見初められる。ビングリーと共にネザーフィールドへやって来たダーシー大佐(演:サム・ライリー)は、エリザベスは自分との交際に値しないと切り捨て、エリザベスを苛立たせる。舞踏会をゾンビが襲い、ベネット姉妹とダーシーは武術でこれを追い払うが、エリザベスの戦姿にダーシーは魅力を感じるようになる。数日後、ジェーンはビングリー邸へ向かう途中でゾンビと遭遇し、その上雨に降られてネザーフィールドで熱を出す。エリザベスは姉の看病に駆けつけるが、ジェーンがゾンビ感染したのではと訝るダーシーに反感を覚える。
ベネット家に、ロングボーンの限嗣相続人であるコリンズ牧師(演:マット・スミス)が訪れる。姉妹から妻を選ぼうとしたコリンズはエリザベスへ求婚するが、戦士の道を諦めるよう求められ彼女は拒絶する。ベネット姉妹はコリンズと共にメリトンを訪れ、エリザベスは見目良い士官のウィカム(演:ジャック・ヒューストン)と出会って舞踏会の約束をする。ウィカムはエリザベスを連れて荒廃したロンドンことインビトウィン(英: In-Between)へ向かい、豚の脳を食べることで完全なゾンビ化を食い止めている感染者が集う聖ラザロ教会を見せる。ウィカムは信仰と高い教養を持つゾンビは、非感染者と平和に共存できるはずだと述べる。ウィカムはエリザベスとの駆け落ちを申し入れ断られる。家へ戻ったエリザベスは、ダーシーがビングリー家を説得してネザーフィールドを離れ、ジェーンとビングリーが引き裂かれたことを知る。コリンズと結婚するシャーロットの付き添いとしてロージングズへ向かったエリザベスは、ここでダーシーに求婚されるが、彼女は姉を不幸にしたダーシーへ怒りをぶつけ取っ組み合いとなる。
数日後、ダーシーはこれまでの経緯を述べた謝罪文をエリザベスへ送る。
舞踏会で酔っ払ったベネット夫人が、資産目当てにジェーンとビングリーの結婚を望んでいると知ったダーシーは、ビングリーの不幸を予見してふたりを引き離した。また、ウィカムはダーシーの幼馴染みだったが、与えられた金をすぐに浪費し、ダーシー家の持つ聖職禄や資産を目当てに付きまとっていた。金の無心を断ると、ダーシーの父は謎のゾンビ感染を起こし、ウィカムは財産目当てにダーシーの妹ジョージアナと駆け落ち未遂を起こした。
ウィカムの正体を知ったエリザベスは、末妹リディアがウィカムと駆け落ちし、ゾンビが跋扈するインビトウィンへ向かったことを知らされる。救出に向かったジェーンとエリザベスから顛末を聞いたダーシーは、リディアが閉じ込められた聖ラザロ教会へ向かう。そこでダーシーは、ウィカムが教会のゾンビで軍隊を組織し、末は英国を乗っ取ろうとしていることを知るが、教会の感染者に人間の脳を食べさせることで凶暴化させ、リディアを救出して逃げ出す。ウィカムはダーシーと戦いながら、自分がダーシーへの逆恨みでゾンビ化を食い止めている感染者だと明かすが、ダーシーが殺される寸前でエリザベスが救出に現れる。ふたりがインビトウィンから外へ向かう唯一の橋を馬で駆け抜ける途中で、軍隊はダーシーの命令通り橋を爆破する。爆発で傷付いたダーシーは気を失い、エリザベスは涙ながらに初対面から彼に惹かれていたと明かす。
暫く経って、ビングリーと回復したダーシーは、それぞれジェーンとエリザベスに求婚する。2組はコリンズの前で挙式するが、クレジットシーンの最中に、ウィカムやゾンビ黙示録の四騎士が大量のゾンビを引き連れて会場に押し迫る様子が描かれる。
高慢と偏見とゾンビ スタッフ
監督:バー・スティアーズ
原作:セス・グレアム=スミス、ジェーン・オースティン(原案)『高慢と偏見とゾンビ』
製作:ショーン・マッキットリック,アリソン・シェアマー,ナタリー・ポートマン,アネッテ・サヴィッチブライアン・オリヴィエ,タイラー・トンプソン,マーク・ブタン
音楽:フェルナンド・ベラスケス
撮影:レミ・アデファラシン
編集:パドレイク・マッキンリー
製作会社:クロス・クリーク・ピクチャーズ,シエラ・ピクチャーズマッドリヴァー・ピクチャーズQCエンターテインメントアリソン・シェアマー・プロダクションズ,ハンサムチャーリー・フィルムズヘッド・ギア・フィルムズ
配給:スクリーン・ジェムズ,ライオンズゲートギャガ
高慢と偏見とゾンビ キャスト
エリザベス・ベネット:リリー・ジェームズ
ベネット家の次女で本作の主人公。舞踏会でダーシーに惹かれるも、自分に対する高慢さと偏見に幻滅する。その後ウィカムと親しくなるが、ダーシーからウィカムの過去を知らされ距離を置く。インビトウィンへ乗り込みダーシーを救出した後、ダーシーと結ばれる。
フィッツウィリアム・ダーシー:サム・ライリー
ゾンビ退治に従事する英国陸軍大佐で、ビングリーの友人。ウィカムとは幼馴染みだったが、金の無心を邪険にしたところ、父が謎のゾンビ感染を起こした上、妹ジョージアナとウィカムとの駆け落ち未遂も露見し、険悪な仲に陥っている。レデイ・キャサリンの甥に当たり、自身もダービーシャーの半分を所有するという資産家。
ジョージ・ウィカム:ジャック・ヒューストン
ダーシーの幼馴染みで、メリトンに駐留する国民軍の一員。ゾンビ感染しているが、ダーシーに金の無心を拒否されたことを逆恨みし、この復讐の念をよすがに発症を抑えている。
ジェーン・ベネット:ベラ・ヒースコート
ベネット家の長女で、最も美しい。ビングリーに見初められ、ラストシーンで結婚する。
チャールズ・ビングリー:ダグラス・ブース
ベネット邸があるロングボーンの近所にあるネザーフィールドに引っ越してきた紳士。英国陸軍で働くほか、ダーシーの友人でもある
コリンズ牧師:マット・スミス
ベネット姉妹のいとこに当たる牧師で、レディ・キャサリンの持つ聖職禄を引き継いだ。ベネット氏の死後、ロングボーンを相続する権利を持つ限嗣相続人。当初はベネット姉妹から妻を選ぼうとしていたが、結局ロングボーンの近所に住むシャーロット・ルーカスを娶()る。お世辞・おべんちゃらが上手いだけの人物。
ベネット氏:チャールズ・ダンス
ベネット姉妹の父で、姉妹を中国に向かわせカンフー・少林寺拳法などの武術を学ばせた。
レディ・キャサリン・ド・バーグ:レナ・ヘディ
国1番の戦士と謳われる女性で、盲いた左目に眼帯を付けている。ダーシーのおばであり、自身もケントにある堅固な屋敷ロージングズを所有する資産家。ダーシーを身体の弱い娘アンの許嫁と考えている。コリンズ牧師の引き継いだ聖職禄の持ち主・後見人。