宇宙人ポールは、2011年公開の英米仏合作映画。『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』などで絶大な人気を誇る迷コンビ、サイモン・ペッグとニック・フロストが主演と脚本を務めたSFコメディー。陽気な宇宙人とオタクの青年2人が繰り広げる珍道中を、『未知との遭遇』『E.T.』など過去の傑作SFへのオマージュをちりばめて描く。
宇宙人ポール 映画批評・評価・考察
宇宙人ポール(原題:Paul)
脚本:34点
演技・演出:17点
撮影・美術:15点
編集:9点
音響・音楽:7点
合計82点
スピルバーグが太鼓判を押した、SFコメディの快作。ストーリーの大まかなプロットは『未知との遭遇』を意識していますが、今作の方が面白いんですよ。SF映画愛が冴えてるんです。サイモン・ペッグとニック・フロストのコンビ映画に外れ無し。笑わせてくれます。ET、MIB、エイリアン、スタートレックなどなどSF映画のマニアックな小ネタをかましてくるんですが、それが分からない人でも雰囲気で楽しめる映画です。今作以降シガニー・ウィーバーがネタ(ラスボス)女優になっているような気がします。『キャビン』『チャッピー』などがいい例です。『アバター』以降、ラスボス役も含めて途中で死亡する役を好んでいるように思えるほどよく死んでます。
宇宙人ポール あらすじ(ネタバレ)
コミックオタクのイギリス人のグレアム・ウィリー(サイモン・ペッグ)とクライヴ・ゴリングス(ニック・フロスト)の二人はコミコン・インターナショナルを訪れるためにキャンピングカーでアメリカ旅行をしていた。
クライヴは自分の SF 本を書こうとしていて、グレアムはクライブの本の挿絵を描いています。大会に出席することに加えて、彼らは米国南西部を通るロードトリップに乗り出し、夜の人里離れた砂漠の高速道路にある UFOの現場を訪れます。
ダイナーで同性愛嫌悪の田舎者たちと口論になった後、彼らは車が暴走して衝突するのを目撃する。運転手を助けようと車を止めたところ、彼は異星人ポールであることが判明した。グレアムは、クライヴが彼を見て失神してズボンを濡らしてしまったにも関わらず、車に乗せることに同意する。
その後、シークレットサービスの特別捜査官ゾイルが自動車事故現場に到着し、「ビッグガイ」として知られる姿の見えない女性上司にポールに迫っていることを知らせた。彼女は新人のハガードとオライリーをアシストに送り込む。クライブはポールの意図に対して偏執的な態度をとり、彼の出現は陰謀の証拠であると考えている。次にポールは、誰かが彼の人種に遭遇した場合にパニックに陥らないように、政府が彼の画像を国民に流したと説明した。
その後、グレアム、クライヴ、ポールは、キリスト教原理主義者、隻眼のルース・バグズとその父親モーゼスが運営するRVパークでキャンプをする。翌日、ルースはポールを見ると気を失ったので、彼らは彼女を連れて行きます。口論の最中、ポールはルースに彼女の信念に疑問を抱くよう説得し、彼の治癒力を使って彼女の盲目を治す。
バーに立ち寄り、ルースは父親に電話するが、ゾイルが電話を傍受する。彼女は田舎者たちに呼び掛けられ、バーでの喧嘩が起こる。ポールが彼らを驚かせて気絶させると、彼らは逃げます。その後、別のRVパークでルースはゾイル捜査官に尋問されるが、ふざけたふりをして逃走する。一方、ハガードとオライリーはポールのことを把握していた。ゾイルと対峙した彼は基地に戻るよう命令するが、彼らはゾイルの裏に回り、独自にエイリアンを捕まえようとする。
グループはすぐにタラの家に到着します。タラは、60年前にポールが地球に墜落したときにポールを救出し、事故で誤って彼女の犬(ポールの名前の由来です)を殺しました(オープニングシーン)。彼女の話を誰も信じなかったため、彼女はのけ者として人生を送ってきました。最初は怒っていましたが、彼女はポールを許し、訪問者にお茶を入れる準備をします。ハガード、オライリー、ゾイルが到着し、家を取り囲む。グループは逃げるが、オライリーが彼らに向かって発砲し、タラのストーブからガスに引火し、中にいたタラの家を破壊した。ハガードはRVを追いかけて追いつきますが、コントロールを失い崖から転落します。ゾイルは一時間以内にポールを連れてくると大男を安心させるが、待ちくたびれて「軍事的対応」を命じる。
ポール、グレアム、クライヴ、ルース、タラはデビルズタワー国定公園に到着し、そこでポールの母船を知らせるために花火を打ち上げます。エージェントとビッグガイを乗せたヘリコプターが突然到着します。ゾイルが現れてにらみ合いを開始し、予期せずエージェントを撃ち、負傷する前に。彼はポールの友人であり、彼を捕まえるという名目で彼の逃亡を手助けしようとしていることが明らかになりました。戦いの間、タラはビッグガイをノックアウトします。モーセは予期せず到着し、ポールに発砲しますが、代わりにグレアムを攻撃します。パウロは再び治癒の力を使い、自分自身に危険が及ぶにもかかわらずグレアムを復活させ、モーセにパウロが救世主であると信じさせます。
グレアムとルースはお互いの気持ちを認めてキスをするが、大物が意識を取り戻し、グループに銃を突きつける。彼らを殺そうとしたその瞬間、彼女は上陸中の輸送船に押しつぶされてしまう。ポールは友人たちに別れを告げ、タラに一緒に行くチャンスを与え、子供時代を台無しにし、誤って飼っていた犬を殺してしまったタラに新しい人生を与えることを約束する。残った人類が手を振りながら、エイリアンたちは家に帰っていきます。2年後、グレアム、クライヴ、ルースは別のコミコンに出席し、そこでグレアムとクライヴは新しいベストセラー小説「ポール」を宣伝しています。
宇宙人ポール スタッフ
監督:グレッグ・モットーラ
脚本:サイモン・ペッグ,ニック・フロスト
製作:ニラ・パーク,ティム・ビーヴァン,エリック・フェルナー
製作総指揮:ナターシャ・ワートン,デブラ・ヘイワード,ロバート・グラフ,ライザ・チェイシン
音楽:デヴィッド・アーノルド
撮影:ローレンス・シャー
編集:クリス・ディケンズ
製作会社:レラティビティ・メディア,ワーキング・タイトル・フィルムズ,ビッグ・トーク・プロダクションズ
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ
宇宙人ポール キャスト
グレアム・ウィリー
演 – サイモン・ペッグ
本作の主人公。イギリス人。小説家のクライヴの作品の挿絵を描いているイラストレーター。クライヴとは幼いころからの親友で、同じSFオタク。クライヴが時々話すクリンゴン語を話せないものの理解できる。初めてポールと会ったときにクライヴは気絶してしまったが、グレアムは平気だった。物語の終盤、ムーアクロフトで追いかけてきたモーゼの流れ弾を受け、絶命してしまうが、ポールの能力で生き返った。その後、クライヴとポールを主役にした小説を出版、売れっ子の仲間入りを果たした。
クライヴ・ゴリングス
演 – ニック・フロスト
もうひとりの主人公。イギリス人。SF小説家。グレアムとは幼いころからの親友で 同じ趣味。いつも一緒にいるため、ゲイとよく間違われる。のちに旅仲間になるポールとルースを最初は快く思っていなかったが、それはグレアムが自分より先に仲良くなっていることに腹を立てているだけであり、嫌っているわけではない。冒頭では、小説家としての知名度は低かったが、終盤では、グレアムとともに売れっ子作家になった。SF好きが高じてか、スタートレックに登場する架空言語「クリンゴン語」を話せる。
ポール
声 – セス・ローゲン
物語のキーパーソン。何十年も政府に幽閉されていたグレイ(宇宙人)で、姿を消したり、絶命した生物、病気を抱えた生物の患部を自分に移し、再生する能力を持つ。地球暮らしが長いのもあってか、汚い言葉と嗜好品に寛容な陽気なおっさんのような性格で、サンダルに半ズボンのみのラフな格好をしている。長年政府に協力、「Xファイル」や「E.T.」などのポップカルチャーにも貢献してきたが、ポールの能力を得るために殺されることになったため、内通者の協力を得て脱出を図る。もともと地球へは科学的調査でやってきたが、「ポール」という名前は、UFOの墜落に巻き込まれたタラの飼い犬からもらったもの。ちなみに車の運転は、下手である。終盤、無事に帰ることができたが、グレアムとクライヴがポールを主役にした小説を出版、出世作となった。
ゾイル捜査官
演 – ジェイソン・ベイトマン
政府のエージェント。上司のビッグ・ガイや、部下のオライリーとハガードに振り回されながらもポールたちを執拗に追いかけるが、じつは彼こそがポールの内通者で、ポールから後の妻となる女性を紹介してくれたことから恩を感じている。事件後はエージェントをやめ、警備員になった。
ルース・バグス
演 – クリステン・ウィグ
家族経営のRVパークで受付嬢をしている女性。誘拐される形で旅仲間になる。キリスト教徒である父親の影響で、当初は進化論や宇宙人の存在を否定しており、ポールのことを最初は「悪魔」と思っていた。病気で左目を失明しており、片方にサングラスのレンズを入れた眼鏡をかけていたが、ポールの能力で左目を直してくれたことをきっかけに、考えを改め、宇宙人の存在を認め、今まで口にしてこなかった卑語(汚い言葉)を言うようになる。その後、グレアムと付き合い始める。
ハガード捜査官
演 – ビル・ヘイダー
ビッグ・ガイからオライリーとともにゾイルの下で動けと指示される捜査官。
タラ・ウォルトン
演 – ブライス・ダナー
ポールが最初に接触した人間(接触当時は少女)。深手を負ったポールを手当し、墜落に巻き込まれた犬の名前をポールにつけた名付け親でもある。その後、周りから変人扱いされ、老人になった今は家にこもり、自分用のマリファナ(アメリカでは州によって嗜好用、医療用で吸えるところがある)を育てながら日々を過ごしている。
オライリー捜査官
演 – ジョー・ロー・トルグリオ
ビッグ・ガイからハガードとともにゾイルの下で動けと指示される捜査官。グレアムやクライヴと同じSFオタクだが、ハガード同様、ポールの存在を知るや否や、血相を変えてポールを殺そうとする。
モーゼ・バグス
演 – ジョン・キャロル・リンチ
ルースの父親。厳しい性格でグレアムたちと話に花を咲かせるルースに「喋りすぎだ」と苦言を呈している。キリスト教徒でポールを「悪魔」とみなしている。 ルースが誘拐された後、当初はゾイル達に娘の捜索を任せるが、無線を傍受してゾイルがモーゼの陰口(本意じゃない)をたたいていたことから、ショットガンと聖書を持ち、娘を取り返さんと執拗に追いかける。終盤、追いついたモーゼはポールに銃を撃つが、その弾はグレアムに当たり、死なせてしまうが、ポールが能力でグレアムが生き返らせるとポールに対する今までの態度を翻した。
パット・スティーヴンソン
演 – ジェーン・リンチ
グレアムたちが立ち寄るダイナーの女主人。
ガス
演 – デヴィッド・ケックナー
グレアムとクライヴに難癖をつける不良。
ジェイク
演 – ジェシー・プレモンス
グレアムとクライヴに難癖をつける不良。ガスと行動を共にしている。
ビッグ・ガイ
演 – シガニー・ウィーバー
逃げたポールをゾイルを使って連れ戻そうとする政府の人間。ポールのことを「モーク」と呼ぶ(ポールはその呼び名を嫌っている)。
アダム・シャドウチャイルド
演 – ジェフリー・タンバー
グレアムとクライヴが夢中になっている大物SF作家、二人曰くかなり強烈な性格。
カメオ出演
本人の声 – スティーヴン・スピルバーグ
コーリー・ウォーカー
ロバート・カークマン
ライアン・オットレー