マッドマックスは、1979年公開のオーストラリア映画。ショットガンとマグナム拳銃で武装し、インターセプターを駆る警察官マックスを中心に暴走族と追跡専門の警察との戦いを描くアクション映画。監督のジョージ・ミラーと主演を務めたメル・ギブソンの出世作品であり、後にシリーズ化された。特殊撮影や舞台設定など、国内外の多くの作品に影響を与えた。
マッドマックス 映画批評・評価・考察
マッドマックス(原題: Mad Max)
脚本:35点
演技・演出:16点
撮影・美術:17点
編集:9点
音響・音楽:7点
合計84点
1960年後半~70年代に流行りはじめたバイオレンス系の勧善懲悪映画で善悪の立ち位置がはっきりしていて悪人がいかにも悪人の姿をしていて卑怯者がいかにも卑怯な行動をします。目に目を歯に歯を~的な殺人動機がはっきりしています。敵が過激なので主人公の復讐もより過激なものになります。また、同僚のグースや署長が個性的で主人公に負けず劣らずの人気キャラになったりしました。敵のサブボス的なババ・ダネッティも魅力のあるヴィランでした。これはこのシリーズに特徴的に踏襲されていき、魅力的な敵(悪役)が登場します。この当時、核戦争が起こるかもしれないという緊張が高まっていた時代であり、その時代を感じさせるニュースや陰鬱な余韻のある空気感は次作への布石でもあるし、明日はどうなるか分からない世界を現したものでした。
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マッドマックス あらすじ(ネタバレ)
黒皮の上下を着込み、マグナム拳銃とショットガンで完全武装した警察官マックス(メル・ギブソン)。彼は、追跡専門のパトカー、インターセプターに乗り、同僚のグース(スティーヴ・ビズレー)からの無線連絡を受け、ナイトライダーを追跡していた。ナイトライダーは警官を殺し、パトカーを奪い、追跡車を次々に転倒させて逃走中の凶悪犯だ。やがて、追い詰められたナイトライダーは運転を誤り、そのまま工事現場に突っこんで死んだ。
家を守る妻のジェシー(ジョアン・サミュエル)は、マックスの仕事が不安でたまらない。ナイトライダーの死で、集まってきた彼の仲間の暴走族たちは、狂暴さをむき出しに町の者を脅かしていた。トーカッター(ヒュー・キース・バーン)を筆頭にした暴走族の無法な行為はエスカレートし、遂に親友のグースが殺される。翌日、上司フィフィ(ロジャー・ワード)に辞表を出し、家族と車で旅に出たマックス。
しかし、行先の伯母の牧場で思いがけない襲撃を受ける。暴走族がここにも来ていたのだ。必死の思いで彼らを納屋に閉じこめ、車で逃げるマックス。ジェシーは息子を抱いて逃げる。しかし、2人は追跡してきた暴走族にひき殺されてしまう。愛する者を奪われたマックスの怒りが爆発、インターセプターに乗り込んだマックスは暴走族に立ち向かう。
怒りに駆られるマックスは、報復を行うべく、スーパーチャージャー付きV8エンジンを搭載し600馬力にまでチューンナップされたもう1台の漆黒の特殊追跡車「V8インターセプター(ブラック・パーシュート・スペシャル)」をM.F.P.本部から無断で持ち出し、互いの復讐を賭けトーカッター一味と激突する。
インターセプターの馬力と速度によって、凶悪な暴走チームは壊滅。逃げおおせたかに見えたジョニーも捕えて私刑に処し、インターセプターのハンドルを握るマックスは暗雲立ち込める地平線へと続く一本道を疾駆する。
マッドマックス スタッフ
監督:ジョージ・ミラー
脚本:ジェームズ・マッカウスランド,ジョージ・ミラー
製作:バイロン・ケネディ
音楽:ブライアン・メイ
撮影:デヴィッド・エグビー
編集:クリフ・ヘイズ,トニー・パターソン
製作会社:ケネディ=ミラー・プロダクションズ
配給:ロードショー・フィルム・ディストリビューターズ,アメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ,ワーナー・ブラザース映画
マッドマックス キャスト
マックス・ロカタンスキー:メル・ギブソン
M.F.P.迎撃担当官の警察官で、本作の主人公。搭乗する車両のコールサインは『01』で、高度なドライビングテクニックと戦闘技術を持ち合わせたフィフィからも一目置かれる生え抜きの敏腕隊員。
妻にジェシーがおり、1児(スプローグ)の父親。ややクールながら、明るい一面やナイーブな一面も見せる人間味溢れる好漢で、家族へは深い愛情を抱いていた。しかし、親友・グースの命を奪われた事で、前日まで普通に生きていた彼が死に、自分だけは生きている事に罪悪感を覚えるようになる。更に暴走族の追跡に快楽を感じ始めている自身にも恐怖し、フィフィの引き止めにも耳を貸さずM.F.P.を辞職しようとするが、彼からしばしの休暇を与えられ、家族とのんびりとした時間を過ごすことになる。しかし、そんな休息の時も束の間にトーカッター一味によって、妻は傷付けられ、我が子は殺されてしまう。親友だけでは飽きたらず、何よりも大切な家族すら奪ったトーカッター一味への怒りから、遂に狂気(Mad)に取り憑かれる。そして、水平二連式のソードオフ・ショットガンと無断で持ち出したインターセプターで武装し、復讐に走り出す。最終的に左膝と右腕に深手を負いながら、辛くも復讐を遂げる。
ジェシー・ロカタンスキー:ジョアン・サミュエル
マックスの妻。サックス演奏を特技としており、『貴方に夢中』という意味のハンドサインを示す等、夫・マックスとの関係は良好で、彼の事を常に気に掛けていた。しかし、休暇中での道中、美人だという事で絡んできたトーカッター一味に対し、金的蹴りで逃れるが、逃げる際に追い掛けようと彼女の走る車に鎖を巻き付けた一味の一人の右手が千切れてしまった事から付け回され、彼ら一味の襲撃を受ける。どうにか逃げようとするが、スプローグ諸共轢かれ、一命は取り留めたものの、脾臓、肝臓、肺、腎臓を損傷し、胸部打撲、左大腿骨骨折等の重傷を負う。
ジム・グース:スティーヴ・ビズレー
M.F.P.一番の荒くれ隊員で、別名「不死身のグース」。S&W M13を武器として装備しており、1976年製カワサキ・Z250、1977年製カワサキ・Z1000に搭乗。車両のコールサインは『ゴスリング1』。マックスの親友で、ややクールな彼とは対照的に大仰な言動が目立つ激情家。しかし、犯罪者を許さない確かな正義感も持ち合わせている。単独行動中にトーカッター一味の急襲を受け、生きたまま火を付けられてしまい、搬送先の聖ジョージ病院で死亡。
トーカッター:ヒュー・キース・バーン
カワサキ・Z1000に乗り、流浪の暴走二輪チームを統率する蓬髪の男で、顔の周りは蠅が飛び回っている。犯罪行為で方々を荒らしまわっていた最中、友人であったナイトライダーの死の報を聞きつけウィー・エルサレムに現れ、M.F.P.への報復へと動き出す。グース達に一度逮捕される失態を犯したジョニーにグースを襲わせ、挙げ句の果てに嫌がる彼にグースを殺させようとする等、身内にも容赦ない性格。その後、ジェシーと出会い、彼女の美貌に惹かれ絡むが、金的蹴りを喰らった挙げ句、車で逃げられる。彼女を追っていたクンダリーニが走行車に鎖を巻き付けた結果、彼の右手が千切れてしまった事から、逆恨みをして執拗に彼女らを追い回し、スプローグを人質にその仲間の右手との交換を要求。メイからショットガンを向けられて納屋に仲間諸共閉じ込められるが脱出し、尚も執拗に彼女らを追い掛け、ジェシーとスプローグをバイクで轢き殺す。その後、マックスからの逆襲で仲間達がやられた事を受け、ババらと共に彼に対しての反撃を仕掛ける。最期はマックスから追い詰められてトレーラーと正面衝突し、バイクごと轢き潰されて死亡した。
ババ・ザネッティ:ジョフ・パリー
トーカッター部下。鋭い目つきで仏頂面、自メンバーの質の低下に不平を漏らす。終盤で怒りに燃えるマックスの逆襲で、仲間がやられた事を受け、トーカッターと共に反撃に動く。倒れた振りをしているジョニーを囮にマックスの左膝を撃ち抜き、右腕を轢いて深手を負わせ、トーカッターの忠告を無視し、彼を嬲り殺しにしようとバイクで突進するが、迎え撃つマックスに射殺される。
ジョニー・ザ・ボーイ:ティム・バーンズ
トーカッター配下。犯罪現場で酩酊していた所をM.F.P.に連行、留置される失態を犯すも証拠不十分で不起訴。自分を連行したグースを逆恨みし、トーカッターからケジメを付けるよう釘を刺された事もあり、彼の乗った車を転倒させる。しかし、それだけでは満足しないトーカッターから、転倒した車から漏れ出した燃料に着火して彼を殺すよう強要され、嫌がってトーカッターと揉み合いになった弾みでマッチを引火させてしまい、結果的に彼を殺害してしまう。
終盤では、トーカッター達と離れて一人逃げおおせるが、交通事故で死んだ遺体から追い剥ぎをしていた所をマックスに見つかり、遺体の物と見られる転倒して燃料が漏れ出した車に超合金製の手錠で足を括り付けられる。そして、引火した車と共に爆死するか足首を切って脱出するかの選択を鋸と共に突きつけられ、命乞いをしながら虚しく爆死する。
フィフィ・マカフィー:ロジャー・ワード
M.F.P.隊長。筋骨隆々の身体に禿頭でゴート髭の男。観葉植物を育てるのが趣味。マックスの腕を誰よりも見込んで必要としており、彼が辞職を申し込んできた時は、「誰もヒーローを信じてはいないが、今人々にはヒーローが必要だ。そして、お前こそがそのヒーローだ」と言いつつ、彼が戻ってきてくれる事を信じて考え直させようと休暇を与える。
ナイトライダー:ヴィンス・ギル
警官殺しの逃走犯。警察無線に向かって自分の名を笑いながら叫ぶ喚き声を挙げ続け盗難車両である1台目のV8インターセプターでサース達を振り切って尚も暴走するが、待ち構えていたマックスに追い立てられ、最後は運転を誤って転倒し、爆死する。
サース:スティーヴン・クラーク
右目上の絆創膏と髭がトレードマークのM.F.P.隊員で、追跡担当官。S&W M28を武器として装備しており、スカットルと共にフォードファルコンXAセダンに搭乗。車両のコールサインは『マーチヘア』である。
チャーリー:ジョン・リー
ループとバディを組む坊主頭のM.F.P.隊員。ループには振り回され気味で、ナイトライダー追跡中にもループの運転ミスが元による事故で声帯を失う怪我を負い、その後、電気式人工喉頭を使用。