シェルブールの雨傘は、1964年公開のフランス映画。互いに愛し合っていた傘屋の少女と修理工の若者が、戦争に引き裂かれ、別々の人生を歩くまでを描くミュージカル。フランス北西部の港町シェルブールで、ささやかだけれど美しい恋を育む自動車修理工の若者ギイと傘屋の少女ジュヌヴィエーヴ。恋に恋する年頃のジュヌヴィエーヴに未亡人の母エムリー夫人は心配顔。出かけるたびに嘘をつきながらもジュヌヴィエーヴはギイと出会う時間が嬉しかった。だがある日、アルジェリア戦争の徴集礼状がギィに届き、二人は離れ離れとなってしまい ―。ジャック・ドゥミーがシナリオを執筆、自ら演出したミュージカル。第17回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した。
シェルブールの雨傘 映画批評・評価・考察
シェルブールの雨傘(原題:Les Parapluies de Cherbourg 英題:The Umbrellas of Cherbourg)
フランスの名匠ジャック・ドゥミ監督は語り調のセリフを排除。すべてを歌で表現する大胆な歌曲形式を採用して、観る者の心を強く揺さぶる感動ドラマを撮り上げました。ヒロインはフランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴ。作曲家ミシェル・ルグランのポップな楽曲と、歌って踊るドヌーヴの魅力が全開の悲恋物語に心酔しています。
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シェルブールの雨傘 あらすじ(ネタバレ)
1957年11月。ジェヌビエーブ(カトリーヌ・ドヌーヴ)はシェルブールの雨傘屋の娘で、近くのガレージに勤める恋人ギイ(ニーノ・カステルヌオーボ)を、深く愛していた。
ある日ギイに召集令状が来て、二年間の義務兵役に発つことになった。その夜、二人は求めあった。五七年十二月。雨傘屋の不況で、エムリー夫人(アンヌ・ヴェルノン)は自分の宝石を売ることにした。高級宝石商カサール氏がそれを買いとったのは娘のジェヌビエーブの美しさに魅せられたからだった。
1958年1月。ギイからの便りはなかった。そしてジェヌビエーブの体には愛の果実が宿った。彼女がギイを待つ心には、少しの曇りもなかった。そんなとき、カサールはエムリー夫人に、ジェヌビエーブとの結婚を申し込んだ。
3月。ジェヌビエーブの心の中に、カサールの姿が少しずつ刻みこまれていった。ギイからは何の音沙汰もないのだ。それにカサールはお腹の子までひきとろうというのだ。6月。カサールとジェヌビエーブは結婚した。
1959年3月。ギイが帰って来た。戦闘で負傷した足をひきずって。恋人の結婚を知り、深く悲しんだ。足が不自由な彼は、仕事のミスから失職した。街を歩いても思い出の傘屋もいまは閉じられたまま。孤独が身にしみた……。4月。ギイの育ての母が死んだ。その母の娘マドレーヌとギイは結婚した。いくばくかの遺産で、彼等はガソリン・スタンドを買った。
1962年12月。雪のイヴ。ギイとマドレーヌは子供も出来て幸せだった。その日の暮れ方、ギイ一人が店にいるとき、ベンツが停った。運転している女性がかつての恋人であることをさとった。懐しかった。エムリー夫人は亡くなったという。彼女が車に乗せている女の子を「あなたに似てるわ……」それ以上の言葉は交さなかった。さりげない別れ……いまはギイもジェヌビエーブもそれぞれ幸福なのだ。
シェルブールの雨傘 スタッフ
監督:ジャック・ドゥミ
脚本:ジャック・ドゥミ
製作:マグ・ボダール
音楽:ミシェル・ルグラン
撮影:ジャン・ラビエ
編集:アン=マリー・コトレ,モニーク・テッセール
配給:東和
シェルブールの雨傘 キャスト
ジュヌヴィエーヴ・エムリ (Genevieve Emery)
演技:カトリーヌ・ドヌーヴ
歌:ダニエル・リカーリ
ギイ・フーシェ (Guy Foucher)
演技:ニーノ・カステルヌオーヴォ
歌:ジョゼ・バルテル (Jose Bartel)
エムリ夫人 (Madame Emery)
演技:アンヌ・ヴェルノン (Anne Vernon)
歌:クリスチアーヌ・ルグラン (Christiane Legrand)
エリーズおば (Tante Elise)
演技:ミレーユ・ペレー (Mireille Perrey)
歌:クレール・レクレール (Claire Leclerc)
ローラン・カサール (Roland Cassard)
演技:マルク・ミシェル (Marc Michel)
歌:ジョルジュ・ブランヌ (Georges Blanes)
マドレーヌ (Madeleine)
演技:エレン・ファルナー (Ellen Farner)
歌:クローディヌ・ムニエル (Claudine Meunier)