ジョンQ -最後の決断-は、2002年公開のアメリカ合衆国の映画。最愛の息子を救うため、父親はやむなく救急病院を占拠する。オスカー俳優デンゼル・ワシントン主演。米国の矛盾した医療保険制度に警鐘を鳴らしたヒューマンサスペンスの話題作。
ジョンQ -最後の決断- 映画批評・評価・考察
ジョンQ -最後の決断-(原題: John Q)
脚本:33点
演技・演出:17点
撮影・美術:16点
編集:7点
音響・音楽:7点
合計80点
貧しい者に冷酷な医療保険の実情に鋭くメスを入れつつ、映画は社会派に走らず、主人公の強い父性を軸にした感動ストーリーになっています。息子を助けるために病院に立てこもる主人公の行動は、一見無謀に思えますが、あらゆる手をつくしてもどうにもならず、人命救助よりも営利を取った病院側に闘いを挑んだジョンに共感できるのは、デンゼル・ワシントンの説得力のある熱演あってこそのものです。
監督はジョン・カサヴェテスとジーナ・ローランズの息子で、本作の後も映画監督として活躍するニック・カサヴェテス。
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ジョンQ -最後の決断- あらすじ(ネタバレ)
舞台はイリノイ州シカゴ郊外。ある朝ベッドでテレビの討論番組を見ていたジョン(デンゼル・ワシントン)は表でがちゃがちゃと何かの機械が動く音に気付き、血相を変えて飛び出すとローンの不払いで妻デニーズ(キンバリー・エリス)の車が差し押さえられ回収されようとしているところだった。ジョンは妻が仕事に行けなくなる、と訴えるが差し押さえ人はそれならローンを払え、と冷たく言い放ち、妻の車は無情にも回収された。ジョンはつい最近会社のリストラの対象となり、フルタイム(正社員)からパートタイム(バイト)に格下げされ、給料が目減りして生活が苦しかったのだ。朝食の席でも眉間にしわを寄せて新聞の求人広告欄をにらみ新しい収入源を見つけようと必死になった。パートタイムに格下げされたため仕事は半日で終わり、工場勤務のため不慣れなネクタイを締めて副業を手に入れようと面接を受けるが「資格過剰」を理由に落とされ続けた。
経済的に苦しい生活でも救いは息子マイクの明るい笑顔を見られることだったのだが…。週末、少年野球に所属しているマイクの試合を見ていると、走っている最中にマイクはいきなり苦しそうに胸を押さえて倒れ、その場でがくがくと痙攣をはじめ昏睡状態に陥った。血相変えて地元の救急病院に運び、別室で心臓外科部長のレイモンド・ターナー医師(ジェームズ・ウッズ)と病院院長のレベッカ・ペイン(アン・ヘッシュ)が、マイクは重度の心臓病で、一刻も早い心臓移植手術が必要だと告げた。ジョンは即座に移植者待機リストにマイクの名前を載せるように頼むが、手術費用は高額で、移植待ちのリストへ載せるだけでも高額の費用を前払いしなければならない。レベッカは「あなたが入っている保険は、移植手術には適用されない」と告げた。愕然としてジョンが働いている会社に問い合わせると、ジョンがフルタイムからパートタイムに格下げされた時、無断で、会社の都合で保険のランクも下げられたため高額な移植手術には適用されないうえに、両親ともに健在で職がある事から国からの補助も受けられない。
ジョンとデニーズは家財道具を売り払い、カンパを集めるなど金策に走ったが、病院からは支払いが足りないために退院勧告が出される。我慢の限界に達したジョンは、医師や患者を人質に救急病棟を占拠。マイクを移植待ちリストへ載せることを要求するのだった。
警察の交渉人フランク・グライムズ(ロバート・デュヴァル)はジョンと接触し、ペインにマイクの名前を臓器移植のリストに載せるよう要求する。グライムズは上司のガス・モンロー(レイ・リオッタ)と衝突し、人質の多くはジョンの苦境に同情し、アメリカの医療制度の欠陥について考える。看護師の一人が、マイクの病状は定期検診でもっと早く発見できたはずなのに、医師は保険会社からボーナスを得るためにそれを無視し、利益を確保するために黙っていたことを明らかにする。患者の解放に同意したジョンは人質のミッチ・クイグリー(ショーン・ハトシー)に襲われ、DVを受けていたミッチの彼女ジュリー・バード(ヘザー・ウォールクィスト)はジョンがミッチを制圧し手錠をかけるのを手伝う。ジョンは、妊婦のスティーブ(トロイ・ウィンブッシュ)とミリアム(トロイ・ベイヤー)、移民のローザ(マーサ・チャブス)と幼い息子を解放し、解放した人質たちは外の報道陣にジョンへの支持を表明する。グライムスとペインはデニーズにジョンの行動を明かし、ペインはマイクを無償で手術を行うリストに加える。
モンローは、SWATの狙撃手をエアシャフトからERに侵入させ、デニーズからの電話でジョンを狙撃位置に誘い込む。ジョンは病状が悪化するマイクと話すが、その間に報道陣が警察の監視映像をハッキングし、ジョンと家族の会話を放送してしまう。スナイパーが発砲し、肩に傷を負った瞬間、ジョンはハッキングされたニュース映像を発見する。ジョンは狙撃手を制圧し、彼を人間の盾として、歓声を上げる群集の前で要求を繰り返す。夜が明け、マイクは狙撃手の解放と引き換えにERに運ばれ、デニーズは警察の指揮所で待機する。
ジョンは自分の心臓でマイクを救うために自殺する意思を明らかにし、さらに自分の銃が最初から空だったことを明かす。彼はターナーに手術を行うよう説得し、ジュリーと警備員のマックスがジョンの即席の遺言の証人となる。マイクに別れを告げ、唯一持ってきた弾丸で自らの命を絶とうとするジョンに、デニーズが最近亡くなった臓器提供者(映画冒頭の運転手)の心臓が届くという知らせを持ってくる。心臓が届くと、ジョンは患者のレスター・マシューズ(エディ・グリフィン)を含む人質を解放し、レスターはジョンに偽装して警察に投降する。ジョンは外科医に偽装してマイクを手術室に同行させ、偽装に気づいたグライムズはジョンを逮捕せずマイクの手術を見守るのを許可する。
3か月後、ジョンの行動は医療に関する国民的議論を呼び起こし、裁判では彼の家族、友人、そして人質全員が彼に代わって証言する。ジョンは最終的に、殺人未遂と武装犯罪行為については無罪となったが、誘拐と不法監禁については有罪判決を受ける。弁護士は、2年以下の懲役で済むと断言する。レスターはジョンを英雄として称え、健康になったマイクは父親と目を合わせ、「パパ!」「ありがとう」と言うのだった。
ジョンQ -最後の決断- スタッフ
監督:ニック・カサヴェテス
脚本:ジェームズ・カーンズ
製作:マーク・バーグ,オーレン・クールズ
製作総指揮:マイケル・デ・ルカ,アヴラム・ブッチ・カプラン,リチャード・サパースタイン
音楽:アーロン・ジグマン
撮影:ロジェ・ストファーズ
編集:デデ・アレン
配給:ニュー・ライン・シネマ,ギャガ
ジョンQ -最後の決断- キャスト
ジョン・クインシー・アーチボルド(通称:ジョンQ):デンゼル・ワシントン
デニーズ・アーチボルド:キンバリー・エリス
マイク・アーチボルド:ダニエル・E・スミス
フランク・グライムズ警部補:ロバート・デュヴァル
レイモンド・ターナー医師:ジェームズ・ウッズ
レベッカ・ペイン院長:アン・ヘッシュ
ガス・モンロー本部長:レイ・リオッタ
レスター・マシューズ:エディ・グリフィン
ミッチ・クイグリー:ショーン・ハトシー
ジュリー・バード:ヘザー・ウォールクィスト
マックス・コンリン警備員:イーサン・サプリー
ジミー・パランボ:デヴィッド・ソーントン
ジーナ・パランボ:ローラ・ハリング
ランプリー:ポール・ヨハンセン
ムーディー:オバ・ババタンデ
クライン:ラリッサ・ラスキン
レジー:ジェームズ・フィナーティー
マグワイア:ケビン・コノリー
スティーブ:トロイ・ウィンブッシュ
ミリアム:トロイ・ベイヤー
ローザ:マーサ・チャブス
デビー:ディナー・スパイビー
フレディー:ケラム・マリッキ=サンチェス
ナイジェル:ナイジェル・ショーン・ウィリアムズ