アイアンマン3は、2013年公開のアメリカ合衆国の映画。アベンジャーズの戦いから1年、人類の危機はヒーローではなく政府が守る時代が訪れようとしていた。「マーベル・コミック」のアメリカン・コミックヒーロー『アイアンマン』の実写映画化作品の第3作品目。また、様々な「マーベル・コミック」の実写映画を、同一の世界観のクロスオーバー作品として扱う『マーベル・シネマティック・ユニバース』(MCU)の作品としては『アベンジャーズ』に続いて第7作品目の映画となる。また、「フェイズ2(第2シーズン)」の第1作目でもある。
アイアンマン3 映画批評・評価・考察
アイアンマン3(Iron Man 3)
脚本:38点
演技・演出:18点
撮影・美術:20点
編集:10点
音響・音楽:10点
合計96点
アベジャーズ(2012年)の影響下にある映画なので、まずこちらの映画を視聴してから見た方がより楽しめる作品になっています。個人的には完全にアベンジャーズと切り離していた方が脚本的により面白かったようにも思えます。限りになく満点に近い作品でした。序盤、中盤、クライマックスと見所が多く、実質120分の上映時間で内容が詰まった素晴らしい作品でしたし、大人から子供まで楽しめるスーパーヒーロー映画でした。
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アイアンマン3 あらすじ(ネタバレ)
トニー・スタークは、1999年の大晦日にスイスのパーティーに訪れていた。パーティーで知り合った植物学者のマヤ・ハンセンに興味を持って彼女の部屋に向かうが、“アドバンスド・アイデア・メカニックス(A.I.M.)”の創設者である若き科学者、アルドリッチ・キリアンの熱烈な交渉を受ける。トニーはキリアンに屋上で商談する約束をするが、それを反故にして「生物の遺伝子の未使用領域を活用して能力を向上させる」という研究についてマヤと一夜を過ごしながら話し合った。キリアンは寒空の下で一晩中トニーを待ち続けたが結局現れず、屈辱を与えられる。
2012年12月。ニューヨークにおけるアベンジャーズとロキ率いるチタウリ軍団の戦いから7ヶ月後。トニーはスターク・インダストリーズを恋人ペッパーに任せ、アーマーを次々と開発していた。遠隔操作と自動装着を可能にする新型アーマー“マーク42”まで開発したものの、かつての戦いで不眠症やパニック障害を患ったトニーは、悪夢や発作に悩まされ、どこに行くにもアーマーを持ち歩く“アーマー依存症”とも言うべき状態に陥っていた。
その頃アメリカ国内では、爆破テロを行っては電波ジャックによる犯行声明を出す“マンダリン”率いるテロリスト組織“テン・リングス”の活動が問題視されていた。トニーの親友であるジェームズ・“ローディ”・ローズ大佐は大統領の命を受け、“ウォーマシン”を改良した新型アーマー“アイアン・パトリオット”を着て捜査を行っていたが、周囲に全く爆弾の痕跡を残さないことから、実行犯を特定できずにいた。
そんなある日、ペッパーの元にキリアンが現れる。かつては小さな研究所だったA.I.Mは、今や政府に認可されるほどの大きなシンクタンクとなっていた。キリアンはペッパーに、人間の脳の未使用領域を利用して人の能力を向上させる細胞“エクストリミス”の研究を行っていることを打ち明け、その研究開発を共同で行おうと提案するが、研究結果が軍事利用されるかもしれないと考えたペッパーは断る。一方、警備主任となっていたハッピーはキリアンとその同行者を不審に思い、彼らを尾行して、チャイニーズ・シアターで同行者が謎のスーツケースを浮浪者に渡す現場を押さえる。が、そのスーツケースに入っていた薬品を浮浪者が摂取した直後、高熱を発しながら爆発を起こす。周囲の民間人数名が犠牲になり、ハッピーも重傷を負って昏睡状態となってしまった。
事件を知ったトニーは、マスコミを通じて「お前の命はここまでと思え。いつでも受けて立つ」と、自宅の住所を公表してマンダリンに宣戦布告。情報収集を行い、テネシー州のある町で酷似した爆発事件が起きていたことを知る。その直後、マヤがエクストリミスの件で相談があると言ってトニーの家を訪れるが、マスコミのヘリに偽装したテロリストのヘリが襲撃してくる。まだ武装の配備や調整が万全でない“マーク42”の最新機能を何とか使いこなし、自宅を破壊されながらもペッパーとマヤの2人を逃し、自身も空を飛んで危機を脱するが、テネシー州に不時着したところでスーツは故障してしまう。トニーは現地で偶然出会った科学好きの少年・ハーレーの協力を得ながら爆発事件の現場や関係者を調べるうちに、爆発を起こした人間がキリアンの属しているA.I.Mに関わっていることを知る。
ローディの協力を得ながらマンダリンのアジトを突き止めたトニーは、マンダリン本人を尋問するが、マンダリンという人物は実在せず、本人とされていたのは金で雇われた売れない俳優のトレヴァー・スラッタリーであり、裏で糸を引いていたのはキリアンであるという事実を知る。キリアンはテン・リングスの紋章を利用すると共にマンダリンという架空のテロリストを作り上げてテロを起こさせ、それに乗じて各国の政府や軍に武器を売るというマッチポンプを行い、世界を裏で操ろうと画策していたのだ。その直後にトニーはローディと共にキリアンに囚われ、マヤと再会し、彼女がキリアンの手先だったことを知る。トニーはそこで、マヤはエクストリミスを平和利用の目的で広めるために止む無くキリアンに接触したこと、ペッパーもキリアンに捕まり、エクストリミスを投与されて拷問されていることを知らされる。トニーの説得でマヤはキリアンから離反するが彼の手で殺されてしまい、トニーもまた命の危機に瀕するが、J.A.R.V.I.S.とハーレーが修理したマーク42が飛来、これを装着したトニーはローディと共に反撃に転ずる。
クリスマスの夜、ペッパーが囚われた巨大タンカーに潜入したトニーとローディは、これまで開発したアーマーを全機召喚して“エクストリミス・ソルジャー”群に総攻撃をかけ、現場に捕らわれていた大統領を救出。続いてペッパーを発見するが、投薬で自らもエクストリミス・ソルジャーとなったキリアンの妨害にあい、トニーの奮闘むなしくペッパーは火災の炎の中に転落してしまう。怒りに燃えるトニーはキリアンとの一騎討ちの末、マーク42をキリアンに着せて自爆させるという奇策で重傷を負わせる。それでもなお立ち上がるキリアンだったが、同じくエクストリミスの作用で超人と化し、炎の中でも生き延びていたペッパーの反撃で死亡した。こうして一連の事件は決着し、ペッパーとトニーはお互いの愛を確かめ合うと、アーマー依存症の克服を宣言し、総攻撃で破壊されなかったアーマーを全てクリスマスの花火代わりに自爆させる。その後、ペッパーはトニーの開発した解毒剤で常人に戻り、トニーもアーク・リアクターを胸から外して心臓手術を受け、ミサイルの破片を胸から除去されて普通の人間に戻った。こうしてヒーローではなくなったトニーだが、「アーマーは私にとって繭だった。それを破って私は生まれ変わった」と述懐、新たな人生を歩むことを決意する。
(エンドロール後)全てを語り終えたトニーは傍らで聞いていたブルーズ・バナーに感想を求めるが、ブルースは話のほとんどを居眠りをしていて聞いていなかった。仕方なく、さらに幼少期に遡って語り始めたトニーにブルースが閉口する場面で物語は終わる。
アイアンマン3 スタッフ
監督:シェーン・ブラック
脚本:ドリュー・ピアース,シェーン・ブラック
原作:スタン・リー,ラリー・リーバー,ドン・ヘック,ジャック・カービー,『アイアンマン』
製作:ケヴィン・ファイギ
製作総指揮:ルイス・デスポジート,スタン・リー,チャールズ・ニューワース,ラルス・P・ウィンザー,ジョン・ファヴロー,ダン・ミンツ,ヴィクトリア・アロンソ,スティーブン・ブルサール
音楽:ブライアン・タイラー
撮影:ジョン・トール
編集:ジェフリー・フォード,ピーター・S・エリオット
製作会社:マーベル・スタジオ,DMGエンターテインメント,フェアビュー・エンターテインメント
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ
アイアンマン3 キャスト
トニー・スターク / アイアンマン:ロバート・ダウニー・Jr
パワードスーツを身に纏ったヒーロー“アイアンマン”である、大富豪の天才発明家にして慈善家。“アベンジャーズ”の中心的メンバーでもある。本作では、2012年5月のニューヨーク決戦の際の経験で、当時の戦いに関連する単語を聞くとパニック発作を発症するほど深刻なPTSDと不眠症を抱え込み、その不安を払拭するためにアイアンマン・アーマーの増産に没頭し、外出時にもアーマーを持参するなど“アーマー依存症”といっても過言でない状態にまで陥ってしまった。そんな悩みを引きずったまま新たな幾多の受難に襲われ、孤立無援の戦いに赴くこととなる。
ヴァージニア・“ペッパー”・ポッツ:グウィネス・パルトロー
スターク・インダストリーズCEOにして、トニーの恋人。本作では、トニーと寝室を共にするほどの関係となったが、アーマーに依存する彼に危惧を抱き、互いの距離を不安に思うと共に、元同僚のキリアンから仕事を持ちかけられたことがきっかけで、これまで以上の危機に瀕してしまう。
ジェームズ・“ローディ”・ローズ / アイアン・パトリオット:ドン・チードル
トニーの親友であるアメリカ空軍所属の軍人。以前は中佐だったが、本作では昇進して大佐となり、新たなアーマーの“アイアン・パトリオット”を装着して上層部の指示により紛争地域の鎮圧に出動する任務を請け負っている。
J.A.R.V.I.S. :ポール・ベタニー(声)
ハロルド・“ハッピー”・ホーガン:ジョン・ファヴロー
トニーやペッパーの親友でスターク社の警備部長。前作まではトニーの運転手だった。スターク社を訪ねたキリアンとサヴィンに不審感を覚え、彼らを尾行してサヴィンとタガートの取引を目撃した後、タガートの自爆に巻き込まれ、意識不明で瀕死の重傷を負ってしまう。
A.I.M.
アルドリッチ・キリアン:ガイ・ピアース
A.I.M.の創設者にして社長。1999年の大晦日に、ベルンの技術会議の会場でトニーのファンとして彼に声を掛けるが、結局取り付けた待ち合わせの約束を破られて1時間以上も待ちぼうけを食らい、投身自殺まで考えかけた過去がある。その後トニーへの復讐心と世の中への憎悪が芽生え、エクストリミスの効果で強化人間“エクストリミス・ソルジャー”となり、A.I.M.を拡大しつつエクストリミスの研究開発と人体実験を行っていた。そして、西側諸国最高権力者とテロリストを手中に収め、反テロ戦争を引き起こして世界市場を得ることを最終目的として暗躍する。
マヤ・ハンセン:レベッカ・ホール
エクストリミスを発明した植物学者兼DNA解析者。トニーとは、1999年の大晦日にベルンの技術会議に参加した際に、一夜だけを共に過ごした関係で、それっきり会っていなかった。しかし現在では、A.I.M.にエクストリミスを提供したことで、キリアンに従ってしまっている。
エレン・ブラント:ステファニー・ショスタク
エクストリミス・ソルジャー。元は左前腕を欠損した身体障害者だったが、A.I.M.の実験で投与されたエクストリミスに適応し、キリアンの手先となった。エクストリミスの不適合者の母親であるデイヴィス夫人を始末する目的でローズヒルに現れ、トニーと激闘を繰り広げる。
エリック・サヴィン:ジェームズ・バッジ・デール
エクストリミス・ソルジャー。かつて爆発に巻き込まれて脚を失った過去があり、被験者としてエクストリミスを投与されたことで脚が再生し、現在に至る。キリアンの腹心として、彼のボディガードから、エクストリミスの被験者への接触、トニーとの戦闘までさまざまな活動にあたる。
トレヴァー・スラッタリー / マンダリン:ベン・キングズレー
テロリスト“マンダリン”を名乗る謎の男。エクストリミスの爆破事件が発生すると、電波ジャックで犯行声明の映像を送る。しかしその正体は、仰々しい演技を見込まれてキリアンに誘われ、鬼気迫るマンダリン役を演じることとなった舞台俳優である。後に『マーベル・ワンショット』の『王は俺だ』では、主役として登場する。
その他の登場人物
ハーレー・キーナー:タイ・シンプキンス
ローズヒルに住む小学生の少年で、憧れのヒーローはアイアンマン。機械いじりが趣味らしく、プログラミングの素養も少々持っている。そのためぞんざいに扱われることもあったが、孤立無援状態となったトニーから頼りにされると同時に、彼を立ち直らせ、一歩前に進ませるきっかけも作ることになる。
マシュー・エリス:ウィリアム・サドラー
アメリカ合衆国大統領。一国の首相として相次ぐマンダリンのテロ活動に立ち向かおうとするも、窮地に陥ってしまう。
後に『エージェント・オブ・シールド』のシーズン3にも、数回登場する。
ロドリゲス:ミゲル・フェラー
アメリカ合衆国副大統領。裏でキリアンと内通している。
ジャック・タガート:アシュレイ・ハミルトン
アメリカ陸軍の兵士。被験者としてエクストリミスを投与され、体調に異変を来たした結果、エクストリミスに適合してなかった身体が限界を迎えて、居合わせたハッピーやサヴィンを巻き込んで爆死する。
チャド・デイヴィス:ジェームス・ラックリー
アメリカ陸軍の軍曹。被験者として志願し、エクストリミスを投与されたが、身体に適応しなかったため、故郷のローズヒルで爆死事件を起こす。
デイヴィス夫人:デイル・ディッキー
テネシー州のローズヒルに住む、壮年の女性。息子のチャドをエクストリミスで失っており、トニーに息子が所持していた機密ファイルを託す。
トーマス・リチャーズ:トム・ヴァーチュー
ロクソン・オイル社の会計士。マンダリンに捕まり、その様子を電波ジャックで生中継されてしまう。
ゲイリー:アダム・パリー
ミスコン会場で働いていたカメラ・オペレーター。トニーの大ファンで、彼から無線LANを使用するために協力してほしいと頼まれ、引き受ける。
ウー:ワン・シュエチー
心臓外科専門の中国人医師。ベルンの技術会議でインセンがトニーに紹介した。本作のラストでトニーの心臓からミサイルの破片を取り除く。通常バージョンでは小登場している。中国バージョンでは出演箇所が増やされ、また彼の助手の1人としてファン・ビンビンも出演している。
ホー・インセン:ショーン・トーブ
嘗て『アイアンマン』でトニーの命の恩人となった外科医兼物理学者。本作で1999年のベルンの技術会議の模様が描かれる。そこでトニーにドクター・ウーを紹介する。
ノンクレジット・カメオ出演
審査員:スタン・リー
トニーが立ち寄ったミスコン会場で、コンテストの審査員を務めていた老人。
ブルース・バナー / ハルク:マーク・ラファロ
スーパーソルジャー計画の再現実験中に、ガンマ線を大量に浴びたことで、緑色の大男“ハルク”へと変身してしまう体質となってしまった天才生物学者で、トニーの戦友でもあるアベンジャーズの中心的メンバー。
本作ではエンドロール後に登場し、トニーから本作の一部始終を聞かされている。