ものすごくうるさくて、ありえないほど近いは、2011年公開のアメリカ合衆国の映画。最愛の父が遺した最後のメッセージを探す旅を描く、希望と感動のヒューマンドラマ。世界的ベストセラーとなっている9.11文学の金字塔、ジョナサン・サフラン・フォアの小説「EXTREMELY LOUD AND INCREDIBLY CLOSE」を、『リトル・ダンサー』『めぐり合う時間たち』のスティーブン・ダルドリー監督とトム・ハンクス×サンドラ・ブロックというアカデミー賞(R)受賞コンビで待望の映画化。
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い 映画批評・評価・考察
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(原題: Extremely Loud & Incredibly Close)
脚本:36点
演技・演出:18点
撮影・美術:17点
編集:8点
音響・音楽:7点
合計86点
ジョナサン・サフラン・フォアの原作を、「愛を読むひと」のスティーブン・ダルドリー監督が映画化。第84回アカデミー賞で作品賞と助演男優賞(マックス・フォン・シドーに対する)にノミネートされたことも話題になりました。演技派たちが共演しているが、実質的主役はオスカー役の子役、トーマス・ホーン。演技経験が小学校の寸劇だけという彼が、ベテラン相手にまったくひけを取らない、名演を披露しています。その純真無垢な姿が泣かせます。オスカーが鍵穴を探しながら、さまざまな人と交流していくのも心温まりますし、彼を見守る謎の間借り人を演じたマックス・フォン・シドーの存在感も圧巻です。
作品の序盤から中盤にかけて観ていて苦しい。でもそれは、少年の苦しみ、彼を理解するまでの準備時間のようなものです。彼を理解した時、彼の苦しみを理解した時、涙腺崩壊することでしょう。
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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い あらすじ(ネタバレ)
宝石店を営むトーマスは、アスペルガー症候群を抱える11歳の息子のオスカーと一緒に「調査探検」という遊びをやり、オスカーに人と関わることを経験させていた。ある日、今まで以上に大規模な調査探検として、ニューヨークに幻の第6区があったとオスカーに話し、オスカーは手がかりの捜索を始めた。
しかし、トーマスはアメリカ同時多発テロ事件により亡くなり、ショックを受けたオスカーは調査探検を中断する。父の死から1年後、オスカーはクローゼットの棚から落ちた青い花瓶の中からひとつの鍵を見つけ、その秘密を探るべく、母のリンダと衝突しながらも、鍵が入っていた封筒に書かれた「ブラック」という苗字の人物を探すため、ニューヨーク5区をまたぐ472人のブラックの調査探検を再開した。はじめにアビー・ブラックという女性を訪ねるが、夫が去っていくという大変な瞬間だったため、彼女から手がかりを得ることはできなかった。その後、何人ものブラックという人物を訪ねて回ったが、一向に進展しない。
そのことで度々パニックに陥るオスカーだが、発声障害を抱える、祖母の家の間借り人と知り合う。オスカーの話を聞き、彼も探検に加わることになった。今まで怖くて乗れなかった地下鉄なども彼のおかげで使えるようになるが、調査は遅々として進まない。彼も戦争で両親を亡くしたトラウマがあり、子どもが好きになれなかったという。オスカーは間借り人と一緒に探検をしているうちに、肩をすくめる彼の仕草が父と似ていることに気づき、祖父であると確信する。間借り人に、父の最期の電話記録を聞かせるオスカーだったが、彼は「君を助けたかったが、傷つけただけだった」という手紙を残してオスカーの元を去ってしまう。
封筒にあった新聞の切れ端から「遺品セール」という言葉を見つけ、最初に会いに行ったアビー・ブラックに連絡して彼女の元夫の会社に行く。元夫は2年前に険悪な仲だった父親が余命2カ月と宣言された時に遺品セールを開いたが、そのとき青い花瓶を妻の誕生日祝にもらっていった人がいたという。元夫は父親の遺言に「花瓶の中に貸金庫の鍵を入れた。お前に渡したいものが入っている」と書いてあったため、セールで花瓶を渡した男を探していたが、「人探し」の貼り紙をしても9・11直後でビラが町中にあふれていて効果がなかったとうなだれた。オスカーは父からの最後の電話に出られず後悔していることを今まで誰にも話さないでいたが、彼に初めて打ち明ける。
鍵について徒労に終わり、オスカーは自暴自棄になる。見かねた母のリンダが「普通にならなくて今のままでいい」「私があなたから目を離すと思う?」といい、計画を見抜き、どの家にも先回りしていたことを告白し、初めて悲しみが共有される。訪ねた「大勢の人が大切な何かを失っていた」という。訪れたブラックさんたちに感謝の手紙を書いて感動を与え、祖父にも帰ってきてと頼む。父が小さい頃遊んでいたというセントラルパークのブランコから「ようやく見つけたね」という父からのメモが発見される。そこには「おめでとう、第6区の存在と自分のすばらしさを証明した」とあった。
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い スタッフ
監督:スティーブン・ダルドリー
脚本:エリック・ロス
原作:ジョナサン・サフラン・フォア
製作:スコット・ルーディン
製作総指揮:セリア・D・コスタス,マーク・ロイバル,ノーラ・スキナー
音楽:アレクサンドル・デスプラ
撮影:クリス・メンゲス
編集:クレア・シンプソン
製作会社:スコット・ルーディン・プロダクションズ
配給:ワーナー・ブラザース
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い キャスト
トーマス・シェル:トム・ハンクス
リンダ・シェル:サンドラ・ブロック
オスカー・シェル:トーマス・ホーン
間借り人:マックス・フォン・シドー
アビー・ブラック:ヴィオラ・デイヴィス
スタン:ジョン・グッドマン
ウィリアム・ブラック:ジェフリー・ライト
オスカーの祖母:ゾーイ・コールドウェル
鍵屋:スティーヴン・ヘンダーソン
ハゼル・ブラック:ヘイゼル・グッドマン
牧師:デニス・ハーン
マリス・ブラック:ライカ・ドッタヴィオ
アストリッド・ブラック:ブルック・ブルーム
馬屋の少女:クロエ・ローイ
少女:ベイリー・グレイ
バーテンダー:ウィリアム・ユーマンズ
先生:スティーヴン・クンケン
警備員:エヴァ・カミンスキー
ロン:ジェームズ・ガンドルフィーニ(カメオ出演)