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狼よさらば|妻子が凶悪犯罪に巻き込まれた男が夜な夜な犯罪者たちを拳銃で処刑していくヴィジランテ・アクション映画

狼よさらば
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狼よさらばは、1974年製作のアメリカ合衆国の映画。妻子が凶悪犯罪に巻き込まれた男が夜な夜な犯罪者たちを拳銃で処刑していくヴィジランテ・アクション映画。監督はマイケル・ウィナー、脚本をウェンデル・メイズ、主演をチャールズ・ブロンソンが務めた。本作から『ロサンゼルス』『スーパー・マグナム』『バトルガンM‐16』『狼よさらば 地獄のリベンジャー』と続くDeath Wishシリーズ全五作の一作目にあたる。

狼よさらば 映画批評・評価・考察


狼よさらば(原題:Death Wish)

脚本:28点
演技・演出:13点
撮影・美術:12点
編集:8点
音響・音楽:6点
合計67点

チャールズ・ブロンソンのこのシリーズは、勧善懲悪の復讐劇で古臭いイメージがあるものの、今見てもそこそこ面白い映画なのは、味がある証拠。家族が襲われた事件後を機に、ブロンソン演じるカージーの復讐が始まるわけですが、妻を殺害し、娘を凌辱した犯人に復讐するのではなく、全ての悪人に対してカージーが復讐していく物語になっています。私刑をテーマとしたさきがけの作品で、悪人に対して正義の鉄槌(殺人)を行うカージーの行為は法的には許されなくても、市民には支持されていく。そういうジレンマで悩む警察の姿も描かれています。シリーズを重ねるごとに悪役がはっきり悪役と分かる描写が増えるのは、今作では微妙な小悪党な感じがする相手まで容赦なくぶっ殺していくので改善したのかもしれません。

このシリーズの悪役を演じると出世する俳優も多く、今作はジェフ・ゴールドブラム、次作はローレンス・フィッシュバーン、3作目はギャヴァン・オハーリー、5作目はロバート・ジョイなどがいます。また、2018年にブルース・ウィリス主演のリメイク作『デス・ウィッシュ』が公開されました。
※主人公の自宅に押し入った三人組の強盗の一人が、ジェフ・ゴールドブラムであり、本作が彼の映画デビュー作です。
街のチンピラ役で、無名時代のデンゼル・ワシントンが、一瞬だけ出演しています。本人はこれを否定しいるようですが、まだはっきりしていません。

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狼よさらば あらすじ(ネタバレ)

成功した建築家で、模範的な市民である中年男性ポール・カージーは最愛の妻ジョアンナとニューヨーク・マンハッタンに住み、仕事も家庭も順風満帆に過ごしていた。ある日のこと、ポールが不在の自宅にて、ジョアンナと婚家から帰省していた娘キャロルは配達員を装ってマンションに侵入した3人組の不良少年に襲われる。家には7ドルしか無かったことに腹を立てた少年たちはキャロルをレイプし、抵抗するジョアンナを激しく殴打して逃亡した。娘婿のジャックからの連絡で病院に急行したポールであったが、ジョアンナは息を引き取り、肉体的には無事であったキャロルもまた事件のショックで重度の精神障害を患う。意気消沈するポールは妻の葬儀後に警察に捜査状況を聞きに行くが、容疑者特定の目処すら立っておらず、担当刑事は凶悪事件が多発するニューヨークでは警察の手が足りていないと弁明する。

夜、自宅で窓の外を眺めたポールは不良少年らが通りの車の窓を割り騒いでる様子を目撃する。翌日、靴下と小銭で作ったブラックジャックをポケットに忍ばせたポールは夜道を歩いていたところ、自分を襲いに来た強盗を不意打ちで返り討ちにし昏倒させる。帰宅したポールはウィスキーで動揺する精神を落ち着けつつも、奇妙な高揚感を覚えていた。

やがて上司の図らいにより、ポールはアリゾナ州ツーソンへ長期出張に赴く。現地の住宅開発プロジェクトのクライアントで地元の名士であるエイムス・ジェインチルはガンマニアで、かつての西部開拓時代のように自分の家族や財産は自分たちで守るべきだと語り、ポールは感銘を受ける。その後、エイムスに誘われガン・クラブを訪れたポールは見事な射撃の腕前を披露し、彼を驚かせる。ポールは徴兵された朝鮮戦争でも良心的兵役拒否者として衛生部隊に配属されたほどの反戦平和主義者であったが、実は幼少時、猟師であった父親から銃器の扱いの訓練を受けていた。しかし、猟場での事故で父が亡くなると母はポールに2度と銃を使わないと約束させ、それまで武器とは無縁の生活を送っていた。やがて開発交渉は成立し、帰途に就いたポールは空港でエイムスから餞別として包みを手渡された。

マンハッタンに戻ってきたポールであったが、到着早々ジャックからキャロルの精神障害が悪化し、精神病院に入院したことを伝えられる。帰宅したポールは失意のままエイムスからの餞別を開封すると、中にはニッケルメッキされた32口径の回転式拳銃(Colt Police Positive)と弾薬(.32S&Wロング弾)が入っていた。拳銃を懐に忍ばせ夜道を歩くポールは、自分を襲ってきた拳銃強盗を射殺してしまう。自宅へ逃げ帰ったポールはショックの余り激しく嘔吐するが、やがて彼は夜な夜な街を散策し、裕福で無防備に見える自分に襲い掛かる強盗や暴漢たちを次々に拳銃で処刑していく。それに応じてポールの日常生活もかつてのような明るいものへと戻っていく。

ニューヨーク市警のベテラン刑事フランク・オチョア警部は、この連続殺人が復讐目的の自警主義的な犯行であるとすぐに気づく。警察は謎の処刑人を糾弾するが、メディアや市民たちは「幻の狩人」と異名し称賛した。やがてオチョアはポールに辿り着き証拠も見つけるが、検察と署長は彼の活動によって街頭犯罪が約半分にまで減っていることや警察への市民感情の悪化を怖れ、ポールの逮捕状請求を棄却し処刑行為を自主的に引退させるよう命令する。憤慨するオチョアは、匿名の電話でポールに犯行がバレていることを伝え、処刑行為を止めるよう警告するが、その程度では彼が収まらないことも予期していた。

ポールは自宅前で張り込むオチョアを出し抜き、3人組の強盗のうち2人をいつものように鮮やかに返り討ちにするも、1人には逃げられてしまう。追走の末に早撃ち勝負を挑もうとするが、失血により失神している間に強盗を取り逃がす。現場に到着したオチョアはポールと彼の拳銃を発見した若いライリー巡査に見たことをすべて忘れるよう命令し、ポールを病院へと移送する。病室でオチョアは敗北感に苛まれながらも彼の罪を見逃し、ニューヨークから去るよう命じる。「幻の狩人」が捕まったかと病院に駆けつけた報道陣にオチョアは、彼は強盗事件の被害者であると説明した。

後日、ポールは転職してニューヨークを離れ、シカゴ・ユニオン駅に到着した。新しい会社の代表者が出迎える中、ポールは駅構内で若い女性に嫌がらせをするチンピラの集団に遭遇する。女性に手をさしのべるポールを挑発するチンピラたちに、ポールは指鉄砲を向けて不気味な笑顔を投げ掛けるのだった。

狼よさらば スタッフ

監督:マイケル・ウィナー
脚本:ウェンデル・メイズ
原作:ブライアン・ガーフィールド
製作:ハル・ランダース,ボビー・ロバーツ
製作総指揮:ディノ・デ・ラウレンティス
音楽:ハービー・ハンコック
撮影:アーサー・J・オニッツ
編集:バーナード・グリブル
製作会社:ディノ・デ・ラウレンティス・カンパニー
配給:パラマウント映画,コロンビア映画

狼よさらば キャスト

ポール・カージー:チャールズ・ブロンソン
フランク・オチョア警部:ヴィンセント・ガーディニア
ジョアンナ・カージー:ホープ・ラング
キャロル・トビー:キャスリーン・トラン
ジャック・トビー:スティーブン・キーツ
エイムス・ジェインチル:スチュアート・マーゴリン
サム・クロイツェル:ウィリアム・レッドフィールド
ハンク:ジャック・ウォーレス
ドライヤー:ステファン・エリオット
ブリッグス:エドワード・グローバー
オトメイ:フレッド・J・スコレイ
ジャクソン・レイリー:クリストファー・ゲスト
住宅強盗:ジェフ・ゴールドブラム
公園の強盗:ローレンス・ヒルトン・ジェイコブス
病院の警官:ポール・ドゥーリイ
グローシー・クラーク:ソニア・マンザーノ
電車強盗:ソウル・ルビネック

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