クリフハンガーは、1993年公開のアメリカ合衆国の映画。ロッキー山脈に不時着した武装強盗団と山岳救助隊員の戦いを描いたアクション・サスペンス映画。日本での配給収入は40億円を超え、1994年の年間1位となった。なお、全世界での興行収入は2億5500万ドルを超えた。第66回(1993年度)アカデミー賞では視覚効果・音響編集・録音の3部門にノミネートされた。また、「最低」映画を表彰する第14回(1993年度)ゴールデンラズベリー賞でも4部門にノミネートされた。
なお、題名の「クリフハンガー」とは、「崖に宙づりになるもの」のことであるが、本来の語義である手に汗握る連続活劇(クリフハンガー(プロット))の意味と掛けてある(例えるなら、「時代劇」や「ラブロマンス」というタイトルの映画があるのと同じである)。
クリフハンガー 映画批評・評価・考察
クリフハンガー(原題:Cliffhanger)
脚本:32点
演技・演出:17点
撮影・美術:16点
編集:8点
音響・音楽:8点
合計81点
俳優として方向性が定まらずにいたスタローンが、見事に復活したアクション映画で、スタローン主演映画で活躍していた名プロデューサーマリオ・カサールとカッコよくダイナミックな表現のレニー・ハーリンがタッグを組んだ快作。物語のオープニングの印象が強く出落ち映画として有名になってしまったものの、悪役を演じたジョン・リスゴーやマイケル・ルーカーも味のある演技を披露している。個人的にはスタローン・ベスト映画トップ10に入る作品。音楽のトレヴァー・ジョーンズや編集のフランク・J・ユリオステも素晴らしい。
クリフハンガー あらすじ(ネタバレ)
ゲイブ(シルヴェスター・スタローン)はロッキー山脈の仕事に就いていた。ある時、ゲイブの同僚で親友のハルとハルの恋人・サラが山でデートをしている最中にハルが怪我をし、ゲイブが救助に向かう。しかし、サラの救出に失敗し、ハルの目の前でサラを死なせてしまう。以後ゲイブはハルに憎まれてしまい、同僚の恋人・ジェシーとも別れ、仕事もやめた。 その後、国際犯罪組織が財務省の紙幣輸送の飛行機を乗っ取り、使用済みの紙幣を強奪を図った。だが、手違いから紙幣の入ったスーツケースを雪のロッキー山脈に落としてしまう。犯罪組織のボス、クウェイランは悩んだ末、山岳救助隊に救難信号を出す。そのころ、ゲイブはジェシーに会いに元職場を尋ねに来た。救難信号を受けたため救助隊員は助けに行く。一方、財務省の捜査官たちは様々な理由からクウェイランの犯行であることを突き止める。救助に向かったハルとゲイブは、墜落した飛行機を見つける。そこで待っていたクウェイランたちは1億ドルの回収のために救助隊員を脅迫して強引に現金の入った三個のスーツケースを探させようとするのであった。ゲイブは追ってきたジェシーと協力して厳寒の山岳地帯で一味に戦いを挑み、壮絶な死闘の果てに、ついにクエイルンを倒すのだった。
クリフハンガー スタッフ
監督:レニー・ハーリン
脚本:マイケル・フランス,シルヴェスター・スタローン
原案:ジョン・ロング
製作:レニー・ハーリン,アラン・マーシャル
製作総指揮:マリオ・カサール
音楽:トレヴァー・ジョーンズ
撮影:アレックス・トムソン,ノーマン・ケント
編集:フランク・J・ユリオステ
製作会社:カロルコ・ピクチャーズ,カナルプラス,パイオニアLDC
配給:トライスター・ピクチャーズ,東宝東和
クリフハンガー キャスト
ゲイブ・ウォーカー:シルヴェスター・スタローン
元ロッキー山脈の救助隊員で天才的なクライマー。しかし、友人であるハルの恋人のサラを死なせてしまった責任から町を離れてしまう。職業柄、身体能力や運動神経が優れており、サバイバル能力も高い。また、強盗団を出し抜く奇策にも長ける。
ジェシー・ディーガン:ジャニアン・ターナー
ゲイブの恋人。しかし、サラの死が切っ掛けでゲイブから関係を断たれて、疎遠となるが離れ離れになっても「自分が唯一の理解者」とゲイブに語るほどにゲイブを愛している。ただし、郷土愛も強く、ゲイブと一緒になって遠くへ行くよりも地元に残ることを選んだ。
ハル・タッカー:マイケル・ルーカー
ゲイブの元同僚であり親友。しかしゲイブとは恋人のサラが亡くなったのはゲイブのせいだと思い込み疎遠となる。ただしジェシーが言うには素人でありながら無茶な登山をさせたハルにも問題があると言っている。もっとも、殺したいほどに憎んではおらず、ゲイブに「殺したければ殺せ」と言われた時には「生きて苦しめ」と諭していた。強盗団に捕まったときも囮になってゲイブに逃げるように促すなど本心では根強い友情を抱いている。強盗団をわざと遠回りさせるなどゲイブたちが有利になるように助力する。また、フランクが理不尽に殺害されたことで泣きながら強盗団を糾弾するなど、このことからも本質は善良な人物であることもわかる。
サラ:ミッチェル・ジョイナー
ハルの恋人。物語冒頭の事故で亡くなる。出番は少ないが彼女の死が本作のゲイブたちのその後の人間関係に様々な影響を与えたキーパーソンでもある。
フランク:ラルフ・ウェイト
序盤でジェシーと一緒にヘリコプターに同乗していた男。能力はあり、ジェシーからも頼りにされている。遭難者を助けに行き、遭難者と偽った強盗団を発見するが演技に騙され撃たれて殺害される。しかし、死の間際に近づいたハルにナイフを託す。そのナイフは後にデルマーと戦ったハルが使ったことで活躍し、ハルが助かる一因となった。
エリック・クウェイラン:ジョン・リスゴー
強盗団のボス。元軍人で諜報部員だった経歴を持ち、そのころから仕事で得た情報を悪用して犯罪に手を染めていた。
クリステル:キャロライン・グッドール
強盗団の一人。紅一点。無駄な殺生を好まず、フランクを撃ち殺した仲間を非難していた。最後は計画の一環として見捨てられる形で裏切られて殺害される。
デルマー:クレイグ・フェアブラス
強盗団の一人。気性が荒い。真偽は不明だがサッカー部でストライカーをしていたと言っており、蹴り技の強さを自負している。ハルと戦い、いたぶるように圧倒して崖から落とそうとするが、ハルがフランクに託されたナイフで刺されてしまい、怯んだすきに自分のショットガンを奪われて撃たれてしまい、自分が崖から転落して死亡する。
キネット:レオン
強盗団の一人。ゲイブを見つけ、取引するが出し抜かれ負傷するが、それでも圧倒する腕っぷしの強さを見せるものの、一瞬のスキをつかれ周囲にあった尖った岩に突き刺されて死亡する。
ヘルドン:デニス・フォレスト
ライアン:グレゴリー・スコット・カミンズ
エヴァン:マックス・パーリック
スチュアート:ドン・S・デイヴィス
デイヴィス:ザック・グルニエ
マービン:ジェフ・ブリン
パイロット:ジェフ・マッカーシー
リチャード・トラヴァース:レックス・リン
財務省に努めている。強盗団の仲間。
ウォルター・ライト:ポール・ウィンフィールド
デンバー造幣局の部長。
財務省のエージェント:ブルース・マッギル
マセスンFBI捜査官:ヴィト・ルギニス
ヘイズ捜査官:デレク・ホクスビー
マイケルズ捜査官:ジョン・フィン
財務省秘書:ローズマリー・ダンズモア
財務省のジェット機の操縦士:キム・ロビラード