今そこにある危機は、1994年公開のアメリカ合衆国の映画。トム・クランシーが1989年に発表した小説『いま、そこにある危機』を原作とし、1992年の映画『パトリオット・ゲーム』に続き、ハリソン・フォードが主人公のジャック・ライアンを演じる2作目である。
今そこにある危機 映画批評・評価・考察
今そこにある危機(原題:Clear and Present Danger)
脚本:37点
演技・演出:19点
撮影・美術:18点
編集:9点
音響・音楽:9点
合計92点
ハリソン・フォードが「パトリオット・ゲーム」に続いてジャック・ライアン役に扮したサスペンスアクション。大統領の親友が殺された事件を追うライアンは、真の危機と遭遇する。ハリソン・フォードが前作に続いて主人公ライアン役を再度演じました。タイトルは米国の軍事用語で、合衆国に対するA級の脅威のこと。本作では南米の麻薬王がそれに該当しますが、ライアンにとって本当の“危機”は別にあった……。大統領にまで反旗を翻すライアン役をハリソン・フォードが前作以上にカッコよく好演しています。最新兵器がふんだんに登場し、前2作からスケールアップした戦闘場面も見ものです。
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今そこにある危機 あらすじ(ネタバレ)
CIA情報担当官のジャック・ライアン(ハリソン・フォード)はベネット大統領(ドナルド・モファット)に、彼の親しい友人のハーディン一家が惨殺されているのが沿岸警備隊に発見され、逮捕された犯人2人がコロンビアの麻薬組織カリ・カルテルの人間であることを報告する。
麻薬撲滅を公約してきた大統領は怒りをこらえ、「麻薬カルテルはアメリカにとり、今そこにある危機だ」と直ちに対処措置を厳命した。ライアンはガンに倒れた上司のグリーア提督(ジェームズ・アール・ジョーンズ)の依頼でCIA副長官代行を引き受け、ハーディン事件の背後の捜査に当たった。その結果、実はハーディンがカリ・カルテルの資金洗浄係であったらしいことを突き止める。彼はカルテルの資金6億5千万ドルを着服し、それが判明したためにカルテルを率いるエルネスト・エスコベド(ミゲル・サンドバル)に殺害されたと推測したライアンは、大統領に報告する。
その頃、彼の知らないところでカルテル撲滅の秘密軍事作戦が開始されていた。大統領補佐官のジェームズ・カッター(ハリス・ユーリン)はCIA作戦担当副長官のロバート・リター(ヘンリー・ツァーニー)に、議会の承認なしに他国に軍隊を派遣する報復作戦の承認書を与える。一方、エスコベドの部下で、かつてキューバ活動の上層部にいたフェリックス・コルテズ(ジョアキム・デ・アルメイダ)は偽造旅券でアメリカに入国し、恋仲となったFBI長官の秘書モイラ(アン・マグヌソン)と連絡を取り、アメリカ側の動きを探る。パナマに渡ったリターはCIAの諜報員クラーク(ウィレム・デフォー)に会い、秘密作戦の指揮を取るように要請する。
クラークはラミレス大尉(ベンジャミン・ブラット)や狙撃の名手シャベス(レイモンド・クルーズ)ら選りすぐりの兵士12名で組織された軍団を率いて、闇に紛れてコロンビアに潜入する。その頃、強気に転じた大統領はハーディンの6億5千万ドルを政府が運用すれば、さらに価値を発揮すると主張。それはカルテルからの金だとのライアンの推測を確かめるために、彼にコロンビアに向かうよう命令した。ライアンは、愛する妻キャシー(アン・アーチャー)に見送られ、現地に渡る。彼が首都ボゴダに到着し、政府関係者から情報を聞き始めた頃、クラーク率いる秘密部隊はカルテル関係施設の攻撃に成功する。グリーアの助言でクラークと会ったライアンはハーディンとカルテルの関係を確認し、ホワイトハウスに報告する。大統領はそれを受けて直ちに記者会見を行い、麻薬収益金の洗浄用の6億5千万ドルの口座を差し押さえたことを発表した。
モイラから、ジェイコブスFBI長官が密かにボゴダ入りすることを知ったコルテズは襲撃を計画。それは大きな損害を受けて激怒したエスコベドの報復に見せかけようとして、コルテズが他のカルテルのロハスと組んだ巧妙な作戦だった。長官一行はロケット砲をはじめとする火器の猛攻を受け、同行していたライアンたちは必死に防戦するが、長官ほか幾多の犠牲を出してしまう。
一方、アメリカに飛んだコルテズは、役目を果たし終えたモイラを口封じに絞殺した。手段を選ばぬカルテルに激怒したカッターは実力を行使するよう指示。電話を盗聴してカルテルの代表者の集会があることを知ったリターはパナマ湾上空に戦闘機を出撃させ、高性能ミサイルで女性や子供もろとろ会場の家を爆破させる。だが、集会に遅れたエスコベドとコルテズは命拾いした。米国政府の不法攻撃の事実を突き止めたコルテズはカッターと取り引きし、麻薬摘発と供給網のリストラを実行する見返りとして、特殊部隊の現在位置を教え、彼らとの通信回線を切ることを約束させた。
その頃、モイラの電話録音と盗聴テープからようやくコルテズのことを突き止めたライアンは事件の輪郭を掴み、特殊部隊の存在を知る。ライアンはリターに迫るが、彼は大統領が始めから関与していたと言う。そんな時、グリーア提督が亡くなった。ライアンは彼が最後に残した、議会で米国民に誓った正義をまっとうするようにとの言葉を胸に、単身コロンビアへ飛ぶ。
そこで、見殺しにされようとしている部隊を救出しようと必死に行方を追うクラークと出会った彼は、カルテルの本拠に向かう。裏切りが明らかになったコルテズはエスコバドを殺す。ライアンとクラークは兵士たちの救出と脱出に成功し、コルテズも倒された。ホワイトハウスに戻った彼は大統領に向かい、彼らが行ったことを告発すると言う。議会に出席したライアンは、真実のみを語ると宣言した。
今そこにある危機 スタッフ
監督:フィリップ・ノイス
脚本:ドナルド・スチュワート,スティーヴン・ザイリアン,ジョン・ミリアス
原作:トム・クランシー『いま、そこにある危機』
製作:メイス・ニューフェルド,ロバート・レーメ
音楽:ジェームズ・ホーナー
撮影:ドナルド・M・マッカルパイン
編集:ニール・トラヴィス
製作会社:パラマウント映画,メイス・ニューフェルド・プロダクションズ
配給:パラマウント映画
今そこにある危機 キャスト
ジャック・ライアン:ハリソン・フォード
CIAの情報アナリスト。
ジョン・クラーク:ウィレム・デフォー
CIA工作員。海軍特殊部隊出身。
キャシー・ライアン:アン・アーチャー
ジャックの妻。ジョンズ・ホプキンス大学病院に勤める眼科医。
フェリックス・コルテズ:ジョアキム・デ・アルメイダ
麻薬組織「カリ・カルテル」の参謀。キューバ情報機関出身。モイラから「ラテン系のジャック」と形容される。原作ではライアンたちに捕らえられてキューバへ送還されるが、映画では終盤でシャベスの射弾を受けて倒れる。
ロバート・リター:ヘンリー・ツェニー
CIA作戦担当副長官。カッター補佐官の右腕として暗躍する。原作ではカッターの指示に面従腹背で対処し、ライアンやクラークと共に潜入部隊の救出に尽力。
ジェームズ・グリーア:ジェームズ・アール・ジョーンズ
提督、CIA副長官。ジャックの上司。物語の途中で病魔に倒れる。息を引き取る寸前、ジャックに使命を全うすることを伝えた。
ジェームズ・カッター:ハリス・ユーリン
大統領補佐官。大統領の意を受けてカルテル撲滅作戦を指揮する。
エドワード・ベネット:ドナルド・モファット
アメリカ合衆国大統領。
エルネスト・エスコベド:ミゲル・サンドバル
麻薬組織「カリ・カルテル」のボス(原作ではメデジン・カルテルだった。)。
ラミレス:ベンジャミン・ブラット
陸軍大尉。コロンビアへ潜入する特殊部隊の指揮官。原作では作戦中に重傷を負ってカルテルに捕まり、コルテズが安楽死させる。
ドミンゴ・シャベス:レイモンド・クルス
陸軍軍曹。優れた戦技を買われてコロンビア潜入作戦の一員となる。
モーレ:ディーン・ジョーンズ
サリー・ライアン:ソーラ・バーチ
ジャックの娘。
メイヨー:ホープ・ラング
下院議員。下院委員会に出席したライアンに、麻薬組織に対する軍事行動の有無を問い質す。
モイラ:アン・マグナソン
キャシーの親友。FBI長官の秘書。コルテズが素性を隠して接近する。映画ではコルテズに殺害されるが、原作ではコルテズの素性に気付いて服薬自殺を図るも一命を取り留める。
ダン・マレー:ティム・グリム
FBI。ジャックの友人。長官襲撃にジャックと共に遭遇する。原作シリーズではジャックの盟友として常連キャラクターとなる。