チャッピーは、2015年に公開されたアメリカ合衆国のSF・アクション映画。2004年にブロムカンプが製作した短編映画『Tetra Vaal 』を長編映画化したものである。「第9地区」「エリジウム」のニール・ブロムカンプ監督が、感情を持ったロボット“ チャッピー”の姿を描く近未来ハード・バイオレンスSFアクション映画。
チャッピー 映画批評・評価・考察
チャッピー(原題: CHAPPiE )
脚本:35点
演技・演出:16点
撮影・美術:17点
編集:8点
音響・音楽:7点
合計83点
ブロムカンプ監督作品ってはずれがなくて、どれも挑戦的で哲学的で過激な要素が必ずあって面白い。また、ヒュー・ジャックマンが悪役で実に嫌な奴を演じているし、シガニー・ウィーバーも脇役ながら存在感があるのはさすが。往年のヒロインが地味な役どころを演じるのを見ると自分も歳を取ったなぁ~と感じてしまいます。ブロムカンプのSF作品は、手塚治虫のSF作品のような”怖さ”をクライマックスで表現し、その後どうなったんだろう。。。という余韻の持たせ方が上手いなぁと思います。
チャッピー あらすじ(ネタバレ)
近未来。ヨハネスブルグの高い犯罪発生率を減らすため、南アフリカ政府は、大手兵器メーカーTetravaal社から、高性能の人工知能を半分取り入れた最先端の攻撃ロボットを購入した。
同社のヨハネスブルグ工場では、ロボットの設計者、ディオン・ウィルソンが、オーストラリアのエンジニア、ヴィンセント・ムーアからの激しい妬みに悩まされていた。ムーアは自分の開発した人間の脳波コントロールで動く攻撃ロボット「ムース」の売り込みに失敗。プレゼンの機会を設けられてもそのあまりの攻撃力の高さから警察組織から導入を拒まれており、開発予算を減らされてディオンを逆恨みしていたのである。そんな中ディオンは、感情を持ったり、意見を表す事の出来る、人間の知性を模倣した新たな人工知能ソフトウェアを開発した。しかし、彼の上司、ミシェル・ブラッドリーは、そのロボットを試作することを許可しなかった。 ディオンは、どうしてもあきらめられず、ロケット砲の攻撃を受けてバッテリーを損傷したために廃棄される寸前だったロボットとロボットのソフトウエアをアップデートするために必要なUSBドングルとともに家へ持ち帰ろうとした。だが、帰宅途中、強盗を手伝わせるためプログラムされたロボットを欲しがっているギャンググループのニンジャ、ヨーランディ、アメリカらにディオンは誘拐されてしまう。銃で脅され、ディオンは、壊れたロボットに新しいソフトウエアをインストールする。
3人は、7日以内に借金を返済するために強盗をしようとしていた。ロボットの知能はまだ何も情報を持っておらず、見た目は攻撃ロボット、しかし中身は純真無垢でまるで赤ん坊のようである。ディオンは、ロボット「チャッピー」に教育するために、職場に戻り、3人のもとへと再び戻ってくる。その折、アップデートのためのUSBドングルが持ち去られたことに気付いたムーアは、ディオンの後をつけ、チャッピーの存在を知る。一方、ヨーランディは「ママ」として、ニンジャは「パパ」として教育に成功するが、アメリカとニンジャの2人は、借金返済の期限が迫っているので、急いでチャッピーを「最強兵器」にしようと試み、ニンジャはチャッピーにヨハネスブルグの状況を学ばせるためにスラムに彼を放置するという暴挙に出る。チャッピーはスラムのギャングから攻撃を受けながらもなんとかヨーランディの元に帰ろうとするが、そこにムーアが警備兵と共に現れ、チャッピーの片腕を切断した挙句、チャッピーに搭載されていたままになっていたディオンのUSBドングルを強奪する。
ニンジャらはなんとかムーアらの手から逃れて戻ってきたチャッピーに驚愕しながらもディオンが用意していた余剰パーツを組み付けて切断された修理を行う。チャッピーの学習速度は驚異的であり、言葉からニンジャらの教える武器の扱いまで学習を進めていく。ディオンの命令で殺人を行ってはいけないという枷があったチャッピーであったがアメリカはそれを逆手に取り「脅すだけなら問題ない」「ナイフで刺すのは眠らせるだけで死にはしない」とチャッピーを騙して戦闘能力を持たせることに成功。チャッピーはわずかな時間で資金稼ぎの車泥棒の手伝いまで行えるようになっていた。
一方、ディオンのUSBドングルを強奪していたムーアはある陰謀をすすめていた。ディオンのUSBドングルを利用してデータにアクセスし、警察組織に配備されているディオンのロボットらをすべてコンピューターウイルスで破壊して治安を悪化させ、それを自分のムースを用いて沈静化させることでディオンを失脚させ、更に自身のムースの売り込みを図ろうとしていた。ムーアの放ったウイルスによってディオンのロボットはすべて機能停止し、狙い通りヨハネスブルグの町は暴徒であふれてしまう。
チャッピーもウイルスの被害にあうがディオンによって復旧。しかし、予想をはるかに超えて学習を進めるチャッピーはバッテリーの損傷で自分の「命」が残り少ないことを自覚する。ディオンになぜ壊れたボディを与えたのかと詰問するチャッピー。仕方のないことであったというディオンに対してチャッピーは激怒し、彼を拒絶する。ニンジャはチャッピーに「強盗に成功したら新しいボディを買ってやる」と嘯くがそれを真に受けたチャッピーは入手した電子部品で意識をコピーするソフトウェアを独自に開発してしまう。それはムースに使われている脳波コントロール装置を利用して人間の意識をコピーすることまでできる品物であり、チャッピーはテストでヨーランディの意識のコピーに成功し、更に自分の意識のコピーも行って意気揚々となる。
一方ウイルスの対応に追われるディオンらだがムーアの犯行を察知した直後、ニンジャらがチャッピーと共に強盗を行っているニュースが流れたことでブラッドリーはムースの出動を許可し、ムーアにチャッピーの破壊を指示。ディオンはチャッピーを救うべく、攻撃用の重火器を持ってチャッピーの元に赴くが、ちょうどギャングらがチャッピーの能力欲しさに彼を強奪するべく武装して現れ、更にムーアが駆るムースが襲来。三巴の戦いに発展する。
ムースによってアメリカは凄惨な死を迎え、更にギャングらはムースの高火力に次々と殺害されていく。チャッピーはディオンから与えられた重火器で応戦し、ムースにダメージを与え、更に爆薬をムースに取り付けるが起爆スイッチを押す寸前で銃撃で阻止されてしまう。ニンジャは襲ってきたギャングのボスを打倒してヨーランディらと逃げようとするがディオンが銃撃で致命傷を負ってしまう。空を飛行して襲ってくるムースに対してニンジャはヨーランディらを救うべく、自らおとりになるが我慢できずに応戦したヨーランディはムースの銃撃で死亡する。チャッピーは取り落とした起爆スイッチを再び手にしてムースを爆破、完全に破壊し、ディオンを救うべく意識のコピーを行うためにムースの操作場に赴く。そこで待ち構えていたムーアはディオンを殺害しようとするがそれによってムーアがこの惨状の主犯であるということに気づいたチャッピーは激怒し、ブラッドリーや他の社員の目の前でムーアを徹底的に叩きのめす。半死半生状態まで追い込まれたムーアを「なぜ人間同士で傷つけ合うのだ」と罵るチャッピーであったが、最後は「許す」とムーアを見逃す。そしてチャッピーはディオンの意識と自分の意識を他のロボットに移植することに成功させるのであった。
ヨハネスブルグ警察はTetravaal社のロボットの使用を取りやめて人間の警官の増員を行うことを決め、さらに姿を消したチャッピーを追う。チャッピーとロボットとなったディオンは死闘から生き残ったニンジャからチャッピーが以前テストでコピーを取っていたヨーランディの意識が入ったUSBを受け取り、ヨーランディを復活させようとする。物語はチャッピーがTetravaal社にハッキングをかけ、ヨーランディのためのロボット素体を組み立てるシーンで幕を下ろす。
チャッピー スタッフ
監督:ニール・ブロムカンプ
脚本:ニール・ブロムカンプ,テリー・タッチェル
原作:ニール・ブロムカンプ『Tetra Vaal 』
製作:サイモン・キンバーグ
製作総指揮:ベン・ウェイスブレン
音楽:ハンス・ジマー
撮影:トレント・オパロック
編集:ジュリアン・クラーク
製作会社:メディア・ライツ・キャピタル
配給:コロンビア映画,ソニー・ピクチャーズ
チャッピー キャスト
チャッピー(声とモーションキャプチャ:シャールト・コプリー
ディオン・ウィルソン: デーヴ・パテール
ニンジャ:ワトキン・チューダー・ジョーンズ
ヨーランディ:ヨ=ランディ・ヴィッサー
アメリカ:ホセ・パブロ・カンティージョ
ヴィンセント・ムーア:ヒュー・ジャックマン
ミシェル・ブラッドリー:シガニー・ウィーバー
ヒッポ:ブランドン・オーレット
ピットブル:ジョニー・K・セレマ
本人役:アンダーソン・クーパー