カジノは、1995年公開のアメリカ合衆国の映画。マーティン・スコセッシ監督がニコラス・ピレッジの原作を元に、ラスベガスに生きる男と女の野望と愛憎を描き出した犯罪ドラマ。主演ロバート・デ・ニーロ。ある天才賭博師を通じて、まだマフィアの支配下にあった1970年代から80年代のラスベガスを描いている。
カジノ 映画批評・評価・考察
カジノ(原題:Casino)
脚本:34点
演技・演出:18点
撮影・美術:17点
編集:8点
音響・音楽:7点
合計84点
この映画の後にマーティン・スコッセッシが監督した『ウルフ・オブ・ウォールストリート』に似て非なる作品ですが、進行具合はほぼ同じです。ウルフ・オブ・ウォールストリートはブラック・コメディとして見れるのですが、今作はコメディのようにも感じるけど、マフィアの抗争やクライム・ドラマにも見え、そのどちらでもあると思うのですが、コメディタッチな表現も多く、かなり中途半端な感じもします。スコセッシ監督なので脚本と編集のバランスが良いこともあり、3時間でも見てられる映画なのはすごいのですが・・・繰り返しみたい映画ではなさそうです。(個人的には)でも一見の価値は十分にある作品でした。
カジノ あらすじ(ネタバレ)
1970年代。予想屋のサム・ロススティーン(通称エース)はその極めて高い的中率によってシカゴマフィアのボス達からも信頼され、ボディガードとして暴力には自信があるニッキーを宛てがわれるほどであった。やがてマフィアのボスらは、影響力を持つ全米トラック運転手組合を迂回することで、ラスベガスの巨大カジノ「タンジール」を所有し、その利益を掠め取ることで多額の利益を得ることを決める。そこで、ギャンブルを知り尽くした男としてエースを、実質的な運営責任者に据えるのであった。エースはカジノ運営に必要な免許を持っていなかったが、法の穴をついて誤魔化した。そして見事に才覚を発揮してカジノで多大な運営益を挙げてボスらを満足させ、またエース自身も地元の名士として知られた存在になっていく。
エースは高級娼婦のジンジャーに一目惚れし、プロポーズするが、彼女は昔馴染みのポン引きなどの小悪党であるレスターに惚れていた。だがエースは、結婚生活を送れば次第に愛が育まれると信じ、またエースの金を狙うレスターも、ジンジャーにエースとの結婚を勧めたことで、二人は結婚し、娘も誕生した。だが、ジンジャーが本当に好きなのはお金であり、レスターへの愛も無くならなかった。
一方、シカゴのボスらは再びニッキーをエースのボディーガード兼集金係としてラスベガスへ派遣する。ニッキーの悪漢ぶりを知るエースは、彼の存在を危惧していたが、その予想通りニッキーは暴走を始め、ベガスのノミ屋でみかじめ料を要求したり、さらにはタンジール内でも仲間らとイカサマを働き横暴に振る舞うようになる。エースはこのままだと警察に目をつけられると警告するが、ニッキーは無視し、結果、警察のブラックリストに載ってカジノへの出入りも一切禁止される。だが、ニッキーは今度は故郷から弟や仲間を呼び寄せると強盗を働くようになり、カジノにいた時に構築した情報網で上手く荒稼ぎすると、その金で表向きはレストランを経営し始める。
ジンジャーはレスターに大金を渡すためにエースに金をせびるが、それによってレスターと関係が切れていなかったことがバレてしまう。エースは見せしめにレスターを痛めつけるが、逆にジンジャーはショックを受けて酒浸りになってしまう。また、カジノの経営でも徹底的な管理で成功を収める一方で、地元有力者のコネで雇っていた無能な従業員を解雇する。役人は再雇用を要請するが、エースは断り、恨みを買う。また、ニッキー一味の犯罪によってタンジールに対する監視の目もキツくなり、ボス達への上納金も減り始めていた。そこでボスらは、アンダーボスのピスカーノをカジノへ送り込み様子を探らせる。
表向きタンジールの社長であったフィリップ・グリーンが、女性と揉め事を起こして金のことで訴えられ、法廷でカジノの帳簿の提出を迫れる。マフィアへの横流しが発覚してしまうためにニッキーは原告の女性を殺害し、それによってエースまでもFBIの監視対象となってしまう。エースはカジノ運営のための免許を獲得するため奔走し始めるが、一方でニッキーはカジノの運営の邪魔者を次々と殺害しはじめ、よりカジノ運営が厳しくなっていく。さすがのボスたちもニッキーを注意するが、彼は無視する。結局、エースの免許申請は、ニッキーの犯罪と、義弟を解雇された役人の妨害で、不当に拒否される。怒ったエースは、カジノで接待を受けていた政治家たちを罵り、さらに一線を超えて自らテレビ番組を製作して、政治家や役人の不正の糾弾まではじめた。
ついにボスらからエースは譴責を受け、逆にエースはニッキーのせいだと訴える。それを知ったニッキーはエースを罵り、荒れた生活を送り始める。やがてジンジャーがレスターと寄りを戻そうとエースに離婚と多額の慰謝料請求を主張し始め、エースはプライベートでも荒立つ。業を煮やしたジンジャーは金を手に入れるため、ニッキーを誘惑して男女の仲となり、彼が持つ貸し金庫の鍵を手に入れようとする。しかし、ニッキーがエースの妻を寝取ったという噂話はすぐにボス達の耳にも入り、ニッキーは焦る。そうとは知らないジンジャーはついにエースの暗殺をニッキーに行わせようとするが、無碍に断られ、自暴自棄となる。ジンジャーは家の金庫から金や宝石を持ち出して逃げようとするが、FBIに見つかり、捕まる。これを皮切りに、既にマフィア関係者らに盗聴や張り込みをしていたFBIはカジノの帳簿を抑えるなど、一斉検挙作戦に移る。
逮捕を逃れるため、ボスらの命令で関係者らの口封じが実行に移される。ジンジャーは麻薬を過剰に打たれ、事故死に見せかけて殺される。海外へ逃亡していたニッキーも弟と共に暴行の上、生き埋めにして惨殺される。エースもまた自動車爆弾で暗殺されかけるが、爆弾の仕掛けが甘く、かろうじて生き延びる。
エースはサンディエゴにて再び予想屋をしながら静かに暮らしていた。もはや大手資本が入ったラスベガスは様変わりし、巨大なレジャー・ランドのようになっていた。
カジノ スタッフ
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:ニコラス・ピレッジ,マーティン・スコセッシ
原作:ニコラス・ピレッジ『カジノ』
製作:バーバラ・デ・フィーナ
音楽:ロビー・ロバートソン
撮影:ロバート・リチャードソン
編集:セルマ・スクーンメイカー
製作会社:ユニバーサル・ピクチャーズ,Syalis D.A.,レジョンド・アントルプリズ,デ・フィーナ/キャッパ
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ,ユニバーサル/UIP
カジノ キャスト
サム・“エース”・ロススティーン:ロバート・デ・ニーロ
ジンジャー・マッケンナ:シャロン・ストーン
ニコラス・“ニッキー”・サントロ:ジョー・ペシ
レスター・ダイアモンド:ジェームズ・ウッズ
ビリー・シャーバート:ドン・リックルズ
アンディ・ストーン:アラン・キング
フィリップ・グリーン:ケヴィン・ポラック
リモ・ガッジ:パスクァーレ・カヤーノ
パット・ウェッブ:L・Q・ジョーンズ
フランク・マリーノ:フランク・ヴィンセント
ドミニク・サントロ:フィリップ・スリアーノ
アーティ・ピスカーノ:ヴィニー・ヴェラ
ジョン・ナンス:ビル・アリソン
ドナルド・“ドン”・ウォード:ジョン・ブルーム
チャーリー・“クリーン・フェイス”・クラーク:リチャード・リール
K・K・イチカワ:ノブ・マツヒサ
ハリソン・ロバーツ上院議員:ディック・スマザーズ