キャプテン・フィリップスは、2013年公開のアメリカ合衆国の映画。2009年にソマリア沖で起きた海賊による輸送船襲撃事件を、人質となった船長の回顧録を原作に映画化。船長と海賊たちの駆け引きと米軍による救出劇を、「ボーン・アルティメイタム」のポール・グリーングラス監督が息詰まるタッチで描く。
キャプテン・フィリップス 映画批評・評価・考察
キャプテン・フィリップス(原題:Captain Phillips)
脚本:37点
演技・演出:18点
撮影・美術:18点
編集:8点
音響・音楽:8点
合計89点
ソマリアの海賊といえば、すしざんまいの社長が非暴力で全滅させたエピソードが頭にあったせいか、今作品はノンフィクションを題材しており興味深い内容でした。ちなみにすしざんまいの社長がソマリアの海賊を全滅・撲滅させた系のエピソードは誤報です。記事や動画アニメなどでも紹介された有名なエピソードですが事実は大きく異なります。
でもって今作がリアルなソマリアの海賊の姿を教えてくれます。今作品は、海賊たちの成り立ちや行為を詳細に描きつつ、エンタメ感のある米海軍の精鋭部隊SEALsの救出劇を描いています。結局ところ、武装組織にはより強い武装で対抗するしかないような感じになっています。
米海軍の護衛や自衛隊の護衛艦が民間船も守るようになって初めてソマリアの海賊は減少していきました。
今作品はAmazonプライムで見ました。
キャプテン・フィリップス あらすじ(ネタバレ)
2009年4月、ソマリア人漁師のアブディワリ・ムセたちは、彼らのボスから金を稼ぐよう強要され、ムセはノール・ナジェとワリド・エルミ、10代半ばのアダン・ビラルを連れて海賊行為を準備していた。リチャード・フィリップス船長が舵を取るコンテナ船「マースク・アラバマ」号はアデン湾からモンバサへ向かう途上のソマリア沖で訓練を開始する。武装集団のボートの接近を発見したフィリップス船長は海賊行為を警戒して警備対策を強化し、海賊の追跡を振り切る。翌日にムセたち4人のソマリア人海賊が再び現れ、フィリップスたちはホースで放水して追い払おうとするが、海賊は梯子を使って船に侵入してシージャックされてしまう。
海賊がブリッジに乗り込む前に、フィリップスは乗組員を機関室に隠れさせる。海賊に脅されたフィリップスは、リーダーのムセらを乗組員のところに連れて行くと見せかけて密かに乗組員へ海賊が行く場所を知らせ、彼らが隠れられるようにする。乗組員たちも連携して海賊の隙を探し、海賊リーダーのムセを捕らえ人質にする。乗組員たちはムセを解放する条件として海賊に下船を求めるが、海賊は救命ボートに乗ると船長を解放せずボートを海へ落とし、船長は人質として連れ去られてしまう。
ムセたちは村に戻りフィリップスを人質に身代金を得ようと考えるが、通報を受けた駆逐艦「ベインブリッジ」に発見される。艦長のカステラーノはフィリップスを解放するように交渉を持ちかけるが、ムセたちに拒否されてしまう。救出作戦はシールズが主導して計画が進められ、一方でフィリップスは隙を突いて救命艇から逃げ出すが失敗して連れ戻されてしまう。
シールズは「村の長老たちを呼んで身代金交渉を行う」と告げ、ムセは交渉するため「ベインブリッジ」に向かい、シールズは救命艇に残った海賊たちの狙撃準備に入る。フィリップスは家族への手紙を書き始めるが、ナジェに手紙を取り上げられ、激怒したフィリップスと殴り合いになる。ナジェはフィリップスを拘束して殺そうとするが、狙撃ポイントに救命艇を誘い込んだシールズの狙撃でナジェたちは射殺され、ムセも「ベインブリッジ」内で拘束される。救出されたフィリップスは家族との再会を果たし、1年後に船長の職務に復帰する。
キャプテン・フィリップス スタッフ
監督:ポール・グリーングラス
脚本:ビリー・レイ
原作:リチャード・フィリップス,ステファン・タルティ『キャプテンの責務』
製作:スコット・ルーディン,マイケル・デ・ルカ,デイナ・ブルネッティ
製作総指揮:エリ・ブッシュ,グレゴリー・グッドマン,ケヴィン・スペイシー
音楽:ヘンリー・ジャックマン
撮影:バリー・アクロイド
編集:クリストファー・ラウズ
製作会社:マイケル・デ・ルカ・プロダクションズ,スコット・ルーディン・プロダクションズ,トリガー・ストリート・プロダクション
配給:コロンビア ピクチャーズ
キャプテン・フィリップス キャスト
リチャード・フィリップス船長:トム・ハンクス
本作の主人公であるマースク・アラバマ号の船長。バーモント州アンダーヒル在住のマースク海運に勤めている53歳のベテラン船長で、ケニアに援助物資を送る3ヶ月の任務に就くため、家族と別れオマーンのサラーラ港に向けて出発する。
とても真面目で出航前の点検を怠らず、海賊が侵入したときも船員と貨物を守ろうとするなど責任感が強い。冷静な判断能力を持っており、船が海賊に乗っ取られた後も脅されつつ事態の収拾を図ろうとする。
私生活では、妻のアンドレアとの間に2人の子供がいる家族思いの父親。
アブディワリ・ムセ:バーカッド・アブディ
海賊のリーダー。ソマリアのエイルで漁師をしていたが、外国漁船の乱獲によって不漁になったため、村の最高指導者に海賊を強要される。とても痩せているため、アサドなど他の海賊グループから馬鹿にされているが、度胸があり、無線の通報を聞いても動じない。フィリップス船長がアイルランド系だと知り、船長のことを“アイリッシュ“と呼ぶ。また、船長に対する海賊行為はあくまでもビジネスで、船長はあくまで身代金のための保険であり、傷つけるつもりはないと発言する。
アダン・ビラル:バーカッド・アブディラマン
海賊の最年少メンバー。海賊を志願してムセに同行し、彼らの命令に忠実に従う少年。ガラスで怪我をした足を船長に手当てされたことを機に、船長に手助けするようになる。
ノール・ナジェ:ファイサル・アメッド
海賊のメンバー。力が強く気性が荒い人物で、船長になにかと因縁をつけ暴力を振るい、人質である船長を殺そうとする。
ワリド・エルミ:マハト・M・アリ
海賊のメンバー。口数の少ない救命ボートの操縦係。ナジェに比べると穏やかな性格で、暴力を振るうナジェをなだめる。
シェーン・マーフィー:マイケル・チャーナス
マースク・アラバマ号の一等航海士。危険を顧みず放水ホースを直しにいく。
アンドレア・フィリップス:キャサリン・キーナー
フィリップスの妻で病院に勤務する看護師。彼を空港まで見送る。
マイク・ペリー:デヴィッド・ウォーショフスキー
マースク・アラバマ号の機関長。船長の指示でエンジンの出力を上げる。
ケン・クイン:コーリイ・ジョンソン
マースク・アラバマ号の舵手。
ジョン・クローナン:クリス・マルケイ
マースク・アラバマ号の三等機関士。
フランク・カステラーノ艦長:ユル・ヴァスケス
ベインブリッジの艦長。通報を受け、人質となった船長救出の指揮に当たる。
シールズ指揮官:マックス・マーティーニ
救出指令を受け、シールズによる船長救出の指揮をする。交渉をする振りをして海賊たちを狙撃する機会を待ち、船長を救出しようとする。
ネモ:オマール・バードゥーニ
MEPから派遣された通訳担当者。海賊と無線でやり取りする。
アサド:モハメド・アリ
乗っ取り犯。ムセとは別のグループに属する海賊。執拗にムセを馬鹿にする。
フーファン:イサク・ファーラー・サマター
乗っ取り犯。レーダーで標的となる貨物船などの船舶を探し、ムセらに知らせる。
海賊リーダー:アズィーズ・モハメド
ボスであるガラードの代理として、エイル村の元漁師たちに海賊行為を強要させる。
ウィリアム・リオス:マーク・ホールデン
マースク・アラバマ号の船員。
アトム・ザヒド・レザ:サン・シェラ
マースク・アラバマ号の船員。
ミゲル・A・ルイス:テレンス・アンダーソン
マースク・アラバマ号の船員。
モハメド・アブデルワハブ:マーク・アンウォー
マースク・アラバマ号の船員。
マリオ・クロッター:ピーター・ランディ
マースク・アラバマ号の船員。
ヘクター・サンチェス:トマス・グルベ
マースク・アラバマ号の船員。
ディック・マシューズ:デヴィッド・ウェバー
マースク・アラバマ号の船員。
アンドリュー・ブレジンスキー:ヴィンチェンゾ・ニコリ
マースク・アラバマ号の船員。
クリフォード・レイコン:ルイス・マホニー
マースク・アラバマ号の船員。
ジョン・A・ホワイト:アンガス・マッキネス
マースク・アラバマ号の船員。
通信士官:レン・アンダーソン四世
艦長の許可を得て複合艇を救命ボートに向かわせたり、他の艦隊と通信し状況をカステラーノ艦長やシールズ指揮官に報告する。
任務士官:ウィル・バウデン
救出ボートを監視している隊員と連絡を取り、海賊や船長の様子など救出作戦のための情報をシールズ指揮官に報告する。
撮影班の兵士:クリス・パラーモ
海賊たちの映像を撮影しベインブリッジ艦に送る。
副長:スティーヴ・キャンベル
シールズ指揮官を補佐し、海賊たちを同時に狙撃できるよう狙撃手の状況を指揮官に報告する。
オブライエン看護師長:ダニエル・アルバート
救助された船長の手当てをする女性。
SEALs部隊員:スコット・オーツ, デイヴ・メドウズ,ビリー・ジェンキンス,レイ・ヘルナンデス
船長を救出するため、海賊たちと交渉する。