折れた槍は、1954年公開のアメリカ合衆国の映画。1880年代、南西部大農場主の家庭内の骨肉の争いを、社会派エドワード・ドミトリク監督が骨太の人間ドラマとして描いた西部劇。1949年に製作されたジョーゼフ・L・マンキーウィッツ監督作『他人の家』のリメイク作品である。
折れた槍 映画批評・評価・考察
折れた槍(原題:Broken Lance)
1880年代、南西部大農場主の家庭内の骨肉の争いを、社会派エドワード・ドミトリク監督が骨太の人間ドラマとして描いた西部劇。牧場主に扮した名優スペンサー・トレイシーの見事な性格演技。息子に扮したリチャード・ウィドマーク、ロバート・ワグナーらの若々しく情熱的存在感が光ります。
折れた槍 あらすじ(ネタバレ)
1880年代。アメリカ南西部の大農場主マット・デヴェロオ(スペンサー・トレイシー)には、先妻との間に生まれたベン(リチャード・ウィドマーク)、マイク、デニーの3人の息子と、インディアンの娘だった今の妻(カティ・フラドー)との子ジョー(ロバート・ワグナー)の家族がいた。ある日、農場が家畜泥棒に荒らされた。デヴェロオはすぐベンとジョーをつれて牧童頭トゥー・ムーンズの案内で泥棒を追跡し、捕まえて見ると、意外にもそれは息子のマイクとデニーだった。月40ドルの手当ではやっていけないから盗んだうそぶくマイクに、デヴェロオは怒って2人を追放しようとした。
その夜、農場では知事とその娘バーバラ(ジーン・ピータース)らを招いてパーティーが開かれ、ジョーとバーバラは親しくなった。そのとき、川上の銅精錬所から流れ出る鉱毒のためデヴェロオの家畜がバタバタと死ぬ事件が起き、デヴェロオは早速精錬所へ行って抗議したが相手にされず、そこへ急をきいたトゥー・ムーンズが部下を従えて応援に駆けつけ果ては、烈しい拳銃戦となった。デヴェロオ側は精錬所を破壊して引き揚げた。
数日後、精錬所側はデヴェロオを告訴した。デヴェロオが知事に助力を求めると、知事はジョーを娘バーバラに近づけないことを条件に協力を約した。公判はデヴェロオ側に不利で、苦しい父の立場を察したジョーは自ら寃罪をきて入獄しなければならぬ結果となった。裁判後、デヴェロオは息子達に叛かれて卒中で病床につき、入獄したジョーも捨てばちになり訪れるバーバラにも冷くあたった。ベンはことごとく父に楯つき、マイク、デニーと語って農場の一部を精錬所に売り払おうとして出かけた。不自由な体で後を追ったデヴェロオは馬上で死んだ。
父の埋葬の日、特に許されて葬式に参列したジョーは、インディアンの槍を逆さにベンの足許に突きさした。これは決闘を意味するインディアンの風習だった。出獄の日、母はジョーをなだめたが、ジョーは彼を追放しようとして失敗に終わったベンに狙われて危くなった。そのときトゥー・ムーンズがベンを撃ち、ジョーは救われた。やがてジョーとバーバラは結ばれ2人は晴ればれと槍を折って去っていった。
折れた槍 スタッフ
監督:エドワード・ドミトリク
脚本:リチャード・マーフィ
原案:フィリップ・ヨーダン
製作:ソル・C・シーゲル
音楽:リー・ハーライン
撮影:ジョセフ・マクドナルド
編集:ドロシー・スペンサー
配給:20世紀フォックス
折れた槍 キャスト
マット・デヴロー:スペンサー・トレイシー
ジョー・デヴロー:ロバート・ワグナー
バーバラ:ジーン・ピーターズ
ベン・デヴロー:リチャード・ウィドマーク
セニョーラ・デヴロー:ケティ・フラド
マイク・デヴロー:ヒュー・オブライアン
デニー・デヴロー:アール・ホリマン
トゥー・ムーンズ:エドゥアルド・フランツ
クレム・ロートン:カール・ベントン・リード
ホレス:E・G・マーシャル