ボルサリーノは、1970年公開のフランス・イタリア合作映画。1930年代のマルセイユを舞台に、街を手中に収めようと野心を燃やす二人のギャングの抗争と友情を描く。ジャック・ドレーが監督し、出演は当時フランスで大スターであり日本でも人気の高かったジャン=ポール・ベルモンドとアラン・ドロン。興行的に成功し、続編として1974年に公開された『ボルサリーノ2』がある。
ボルサリーノ 映画批評・評価・考察
ボルサリーノ(原題:Borsalino)
脚本:33点
演技・演出:17点
撮影・美術:17点
編集:8点
音響・音楽:8点
合計83点
アラン・ドロン、ジャン・ポール・ベルモンド、フランスを代表する2大スターが共演するギャング映画の名作。
ボルサリーノ…車ならロールスロイスに匹敵するという由緒ある帽子のブランドだ。帽子の中の帽子。粋な男たちが夢見た栄光の冠。ボルサリーノというタイトルはそんな男の紋章に憧れたギャングたちの血で血を洗う抗争に他ならない。ファシズムが台頭する1920年代後半のマルセイユは南仏の美しいリゾート地として有名だったが、同時に国際犯罪都市としての貌もまた顕著であった。相棒を失った哀しみに耐え、復讐の情念に駆り立てられる男。そして、その男を叩きつぶそうとするマフィアのボス、マルセイユの暗黒街は男と男の意地をかけた闘いに火花を散らして燃え上がるのである。
ボルサリーノ あらすじ(ネタバレ)
一九三〇年のマルセイユ。ギャングとチャールストンが入り乱れるこの街へ、三ヵ月のケチな刑を終えたシフレディ(アラン・ドロン)が出所して来た。彼はさっそく、手下と共に自分を密告した男のバーを襲い放火した。次に、なじみの女“天使のローラ”(カトリーヌ・ルーヴェル)に会いに行った彼は、その女のことでカペラ(ジャン・ポール・ベルモンド)と派手な殴り合いを始めたが、同時にダウンし、その時以来、二人の間には奇妙な友情が成立した。
やがて二人は、ボッカスという親分に認められたが、失敗つづきのありさまであった。その後、ボッカスの黒幕であるリナルディ弁護士(ミシェル・ブーケ)の頼みで、魚市場を支配しているエスカルゲルに力を貸すようになった。当時、マルセイユを本当に支配していたのは、マレロとポリという、二大親分であった。マレロとリナルディとのつながりを知ったシフレディは、大胆な野望を実現化するチャンスを狙っていた。カペラはこれには反対だったが、ポリの情婦ジネットに惚れたため承知した。そして、二人はポリの資金源である食肉倉庫を襲撃したが失敗し、ひとまず田舎へひきあげ、反撃の日を待った。
二人のまわりに無頼の仲間と武器が集まってきた。行動が開始された。まずポリの暗殺、つぎにリナルディ、と二人のまわりには、次第に血の匂いがたちこめるようになった。そして、残る大親分マレノ一味との間の、日毎の殺し合いの末、相手の本拠に乗り込んだ二人は、ついにマレノを倒した。こうしてマルセイユはシフレディとカペラの手中におさまった。
シフレディは豪壮な邸宅を立て、パーティを開き、得意の絶頂にいたが、カペラは違っていた。彼は今こそ、このマルセイユを去らねばならないと思っていた。両雄は並び立たないと……。そして、カペラがカジノを一歩出た時、何者かの銃弾が彼の命を奪っていた。
ボルサリーノ スタッフ
監督:ジャック・ドレー
脚本:ジャン=クロード・カリエール,クロード・ソーテ,ジャック・ドレー,ジャン・コー
原作:ユージェーヌ・サコマノ
製作:アラン・ドロン
音楽:クロード・ボラン
撮影:ジャン・ジャック・タルベス
編集:ポール・カイヤット
配給:パラマウント映画
ボルサリーノ キャスト
フランソワ・カペラ:ジャン=ポール・ベルモンド
ロッコ・シフレディ:アラン・ドロン
リナルディ:ミシェル・ブーケ
マレーロ:アーノルド・フォア
ポーリ:アンドレ・ボレ
ローラ:カトリーヌ・ルーヴェル
エスカルケル夫人:フランソワーズ・クリストファ
ダンサー:クリスチャン・ティリティレ
ファンティ警部:ダニエル・バネル
リナルディ夫人:コリンヌ・マルシャン
ロッコの母:ローラ・アダニ
ジネット:ニコール・カルファン