バリスティックは、2002年公開のアメリカ合衆国・ドイツ合作映画。元FBIのエージェント、エクス(アントニオ・バンデラス)が、国防情報局長の息子が誘拐された事件を任される。事件の鍵を握るのは、裏切り者の女エージェント・シーバー(ルーシー・リュー)。誘拐の裏に隠された陰謀もからみ、ふたりの壮絶で果てしないバトルが展開していく。監督は本作がハリウッド・デビューのタイ出身のカオス。タイ本国の歴代興行記録を更新したバイオレンス・アクション「Fah」でデビューを果たし、本作の監督に抜擢された。タイトルの「バリスティック」は日本語で「弾道」を意味している。
バリスティック 映画批評・評価・考察
バリスティック(原題:Ballistic: Ecks vs. Sever)
脚本:24点
演技・演出:16点
撮影・美術:17点
編集:7点
音響・音楽:7点
合計71点
タイ出身で、本作でハリウッド・デビューとなるカオス監督は、火薬の量が香港映画を彷彿とさせるボリューム。そのおかげで大爆発、銃撃戦、カーチェイスなど全体にアクションシーンは見ごたえ充分ですが、ストーリーには不可解な部分も多いので、あまり矛盾にこだわらず、お気楽に見るのがオススメです。幼い頃から殺人マシーンとして訓練されたシーバーを、ルーシー・リューが体当たりで挑んでいます。とくに体中に仕込んだ武器で、大人数の男たちに応戦するシーンは迫力で、彼女を前にしてはバンデラスもかすみ気味です。『スター・ウォーズ/エピソード1』でダース・モールを演じたレイ・パークが“素顔”で登場するなど、コアなファン向けの楽しみもあります。
今作品はAmazonプライムで見ました。
バリスティック あらすじ
国防情報局(DIA)長官ガント(グレッグ・ヘンリー)の息子マイケルが誘拐された。旅先から帰国の際、不可解にもガントの部下たちに無理矢理連れ去られたのだった。しかし、彼らの目の前に突っ込んできたトラックの中から1人の女(ルーシー・リュー)が現れ、男たちを鍛え上げられた技で瞬く間に打ち倒すと、マイケルを連れ去り闇に消えていった…。
一方、7年前に妻ヴィン(タリサ・ソト)を眼前の爆発事故で失って以来、失意のまま酒浸りの生活を送っている元FBI捜査官エクス(アントニオ・バンデラス)のもとに、かつての同僚がやってくる。同僚は、死んだはずのエクスの妻が実はまだ生きていることを告げると、妻の居所と引き換えに、誘拐されたマイケルを捜し出すことを依頼する。妻の居所を知る人物は、マイケルを誘拐した謎の人物という。半信半疑ながら、エクスはFBIの最前線に復帰する。
情報によると今回の誘拐事件は、ベルリンの生物兵器工場からガントが盗み出した新兵器≪ソフトキル≫が関与しているという。なんとガントは、人間の体内に潜みターゲットを瞬時に死に至らしめるという生物兵器を、自分の息子の体内に埋め込こんで手にいれようとしていたのだった。 捜索を急ぐエクスは現場に残された監視カメラの映像から、ガントの策略をさえぎった謎の女の正体を知る。彼女の名はシーバー。かつてDIAが殺人マシーンとして密かに量産していた中国の女性孤児出身エージェント中、最強の女。しかし何故彼女はボスの息子を誘拐したのか?
一方、バンクーバー図書館に現れたシーバーを、ガントの右腕ロス(レイ・パーク)をはじめ、無数のDIAエージェントが取り囲む。しかしシーバーは、完全武装して立ちはだかる屈強なエージェントたちを、凄まじい戦闘能力を駆使してたった1人で壊滅状態に追い込む。通報を聞き付け、現場に到着したエクスは、妻の行方を聞き出すために現場から逃走するシーバーを追い詰め直接対決を挑むが、あえなく取り逃がしてしまう。 ≪ソフトキル≫の起動まで、時間はあとわずか。
果たして人質の命は? エクスの妻ヴィンの生死は? そして謎の女シーバーの真の目的はいったい何なのか? 自らが巨大な陰謀の渦中にあることに、エクスはまだ気付いていなかった……。
バリスティック スタッフ
監督:カオス
脚本:アラン・マッケルロイ
製作:カオス,クリス・リー,エリー・サマハ
製作総指揮:タラク・ベン・アマール,オリヴァー・ヘングスト,トレイシー・スタンリー,アンドリュー・スティーヴンス
音楽:ドン・デイヴィス
撮影:ジュリオ・マカット
編集:ジェイ・キャシディ,キャロライン・ロス
配給:ワーナー・ブラザース,ギャガ
バリスティック キャスト
ジェルマイア(ジェレミー)・エクス:アントニオ・バンデラス
本作の主人公。ガントとはFBIの頃の同僚であり、ガントの妻ヴィンとは婚約関係にあったが、ガントが車に仕掛けた爆弾による爆発事故で互いが死亡したと思っていた。フリオの捜査依頼でヴィンの所在、ガントとシーバーの調査にあたり、度重なるシーバーとの対決を通して、互いの共通の相手がガントである事を知り、ヴィンとマイケルを守るためにガント率いるDIAと戦うこととなる。熱血漢でありショットガンの名手、ヘビースモーカーでもある。
シーバー:ルーシー・リュー
本作のヒロイン。元DIA捜査官でガントの部下でロスとはDIA時代の同僚。幼少の頃、中国の一人っ子政策によってガントが長官を勤めているDIAに引き取られ、生きた殺戮兵器として極秘に暗殺訓練を受けていた。その後結婚し、1人の子供をもうけ幸せな日々を送っていたが、これを良しとしなかったガントの衛星攻撃によって家族と家を失い、これをきっかけにガント復讐を誓った。クールであり暗殺や格闘術、兵器(マシンガン、グレネードランチャー他)の扱いに長け、複数人の特殊部隊を1度に相手しても勝利してしまうほどの強さを持つ。
ロバート・ガント(クラーク):グレッグ・ヘンリー
元FBIの捜査官でDIA長官。FBI時代は「クラーク」という名前だった。富と権力を優先しており、多大な犠牲もいとわない。エクスとシーバーの人生を大きく狂わせた張本人で、自身の息子(実際はエクスの息子)のマイケルに極小暗殺兵器「ソフトキル」を埋め込ませてベルリンから強奪しアメリカに持ち逃げしようと企んでいた。
A・J・ロス:レイ・パーク
DIA捜査官でガントの部下、シーバーとは同僚である。ガントの命令でベルリンから暗殺兵器「ソフトキル」を盗み出すも、シーバーの乱入でガントの息子マイケルごと奪われてしまう。ガントの命令に忠実で、特殊部隊の現場指揮を任されている。シーバーと共に訓練を受けていた過去を持ち、並々ならぬ身体能力を持っている。
ヴィン:タリサ・ソト
ガントの妻だが元々はジェルマイアの婚約者。ガントによる爆発事故でジェルマイアと離れ離れになり、ガントと結婚する羽目になった。
マイケル:エイダン・ドラモンド
戸籍上ガントとの間に生まれた子供となっている。ジェルマイアとヴィンの実の息子。
FBIフリオ・マーティン副長官:ミゲル・サンドバル
FBI在籍時のエクスの上司、妻のヴィンの接触と引き換えにエクスに捜査の協力を依頼する。
ハリー:テリー・チェン
FBI在籍時のエクスの同僚捜査官。
ゼーン:ロジャー・クロス
エージェント・カーティス:エリック・バーカー
FBIエージェント・アディス:チャールズ・アンデル