バグダッド・カフェは、1987年公開のドイツ映画。うら寂れた砂漠のモーテル“バグダッド・カフェ”にやって来た一人の女性と、彼女をめぐる人々との交流を細やかに描いてゆく。製作・脚本はパーシー&エレオノーレ・アドロン、監督は「シュガー・ベイビー」のパーシー・アドロン、撮影はベルント・ハインル、音楽はボブ・テルソンが担当。
バグダッド・カフェ 映画批評・評価・考察
バグダッド・カフェ(原題:Out of Rosenheim、英題:Bagdad Café)
脚本:38点
演技・演出:18点
撮影・美術:18点
編集:8点
音響・音楽:8点
合計90点
日本ではまず1989年、東京・渋谷の映画館、シネマライズだけで公開され、当時としては斬新なセンスが映画ファン以外の観客までも魅了し、ミニシアターブームが生まれるきっかけになったとされる「バグダッド・カフェ」。2008年には、パーシー・アドロン監督自身がすべてのカットの色調と構図を調整し直した“ニュー・ディレクターズ・カット版”が製作されました。何も起きなさそうな砂漠の中のカフェという舞台と、個性あふれる登場人物陣の意表を突く組み合わせ。ストーリー性以上にそれらがいかに魅力的なのか、多くの観客を虜にした演出手腕はお見事。
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バグダッド・カフェ あらすじ(ネタバレ)
ミュンヘン郊外の田舎町、ローゼンハイムから観光旅行にやってきたミュンヒグシュテットナー夫妻は、ディズニーランドからラスヴェガスの道中で夫婦喧嘩になってしまい、夫(ハンス・シュタードルバウアー)と別れ車を降りたジャスミン(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)は、重いトランクを提げてあてどもなく歩き出した。
やっとの思いでたどりついた、さびれたモーテル兼カフェ兼ガソリンスタンド“バグダッド・カフェ”で部屋を借りようとするジャスミンに、女主人のブレンダ(CCH・パウンダー)は不機嫌な迷惑そうな表情を隠そうとしない。いつも昼寝ばかりしているバーテン(ジョージ・アキラー)、自分の赤ん坊の面倒も見ずに一日中ピアノばかり弾いているサルJr(ダロン・フラッグ)、ハネッカエリ娘のフィリス(モニカ・カローン)達に始終腹を立てているブレンダは、たった今ノロマな亭主サル(G・スモーキー・キャンベル)を追い出したばかりだったのだ。トラック野郎相手の女刺青師デビー(クリスティーネ・カウフマン)、ハリウッドから流れてきたカウボーイ気取りの画家ルーディ(ジャック・パランス)、そしてヒッチハイカーのエリック(アラン・S・クレイグ)と、客も奇妙なのばかり……。
やがてブレンダは、この薄気味悪い大女ジャスミンを追いだそうと躍起になるが、彼女の怒りが爆発するのは、ブレンダの留守中にジャスミンがモーテルの大掃除をしてしまったこと。しかしその頃から、サルJrとフェリスがいつしか失くしていた包容力を求め、ジャスミンの部屋をしばしば訪ね、また彼女の柔和な人柄と笑顔に魅かれたルーディは、絵のモデルに、とジャスミンを口説き始める。そしてブレンダは、ある朝カフェの客相手に手品を披露し始めたジャスミン目当てに客が“バグダッド・カフェ”にやって来るのに、次第に表情をやわらげてゆくのだった。
しかし、すっかりカフェの一員となったジャスミンに、保安官(アペサナクワット)は、ビザの期限切れと、労働許可証の不所持を理由に、西ドイツへの帰国を命じるのだった。数カ月後、ジャスミンは“バグダッド・カフェ”に戻ってきた。歓喜で彼女を温かく迎えるブレンダたち。そしてそんなジャスミンに、ルーディはプロポーズする。そして勿論、ジャスミンはそれを受諾するのだった。
バグダッド・カフェ スタッフ
監督:パーシー・アドロン
脚本:パーシー・アドロン,エレオノーレ・アドロン
製作:パーシー・アドロン,エレオノーレ・アドロン
製作総指揮:デートリッヒ・フォン・ワツドルフ
音楽:ボブ・テルソン
主題歌:ジェヴェッタ・スティール「コーリング・ユー」
撮影:ベルント・ハインル
編集:ノルベルト・ハーツナー
配給:アイランド・ピクチャーズ,KUZUIエンタープライズ
バグダッド・カフェ キャスト
ジャスミン:マリアンネ・ゼーゲブレヒト
ブレンダ:CCH・パウンダー
ルディ:ジャック・パランス
デビー:クリスティーネ・カウフマン
フィリス:モニカ・カルフーン
サロモ:ダロン・フラッグ
カヘンガ:ジョージ・アギラー
サル:G・スモーキー・キャンベル
ムンシュテットナー氏:ハンス・シュタードルバウアー
エリック:アラン・S・クレイグ
アーニー保安官:アペサナクワット
ロン(運転手):ロナルド・リー・ジャービス
マーク(運転手):マーク・ダネリ
レイ(運転手):レイ・ヤング
ゲイリー(運転手):ゲイリー・リー・デイビス