浮雲(うきぐも)は、1955年公開の日本映画。戦後の復興のなかで時代に取り残されていく男女の諦念と堕落した愛を描く。巨匠・成瀬巳喜男監督が男と女の宿命的な愛と悲劇を描いた代表作。高峰秀子、森雅之共演。
浮雲 映画批評・評価・考察
脚本:35点
演技・演出:18点
撮影・美術:17点
編集:8点
音響・音楽:7点
合計85点
高峰秀子、森雅之共演。巨匠・成瀬巳喜男監督が男と女の宿命的な愛と悲劇を描いた代表作。戦争中、ゆき子は赴任先のインドシナで既婚者の富岡と出会う。終戦を迎え、富岡は妻と別れると約束して日本へ戻るが、帰国したゆき子は富岡が妻と別れていないことを知る…。落ちぶれてゆく男を愛し、寄り添い続けようとするゆき子に高峰秀子、富岡を演じる森雅之、名優2人の演技と成瀬監督の演出に圧倒される映画史上にさん然と輝く傑作。
小津安二郎は「俺にできないシャシンは溝口の『祇園の姉妹』と成瀬の『浮雲』だけだ」と語っています。
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浮雲 あらすじ(ネタバレ)
戦時中の1943年、農林省のタイピストとして仏印(ベトナム)へ渡ったゆき子は、同地で農林省技師の富岡に会う。当初は富岡に否定的な感情を抱いていたゆき子だが、やがて富岡に妻が居ることを知りつつ2人は関係を結ぶ。終戦を迎え、妻・邦子との離婚を宣言して富岡は先に帰国する。
後を追って東京の富岡の家を訪れるゆき子だが、富岡は妻とは別れていなかった。失意のゆき子は富岡と別れ、米兵の情婦になる。そんなゆき子と再会した富岡はゆき子を詰り、ゆき子も富岡を責めるが結局2人はよりを戻す。
終戦後の混乱した経済状況で富岡は仕事が上手くいかず、米兵と別れたゆき子を連れて伊香保温泉へ旅行に行く。当地の「ボルネオ」という飲み屋の主人、清吉と富岡は意気投合し、2人は店に泊めてもらう。清吉には年下の女房おせいがおり、彼女に魅せられた富岡はおせいとも関係を結ぶ。ゆき子はその関係に気づき、2人は伊香保を去る。
妊娠が判明したゆき子は再び富岡を訪ねるが、彼はおせいと同棲していた。ゆき子はかつて貞操を犯された義兄の伊庭杉夫に借金をして中絶する。術後の入院中、ゆき子は新聞報道で清吉がおせいを絞殺した事件を知る。
ゆき子は新興宗教の教祖になって金回りが良くなった伊庭を訪れ、養われることになる。そんなゆき子の元へ落魄の富岡が現れ、邦子が病死したことを告げる。
富岡は新任地の屋久島へ行くことになり、身体の不調を感じていたゆき子も同行する。船内で医者からは屋久島行きを止められるが、ゆき子は無理強いをする。しかしゆき子の病状は急激に悪化し、現地へ着いた頃には身動きもままならない事態に陥った。ある豪雨の日、勤務中の富岡に急変の知らせが届くが、駆けつけた時には既にゆき子は事切れていた。
他人を退け、富岡は泣きながらゆき子に死化粧を施した。
浮雲 スタッフ
監督:成瀬巳喜男
脚本:水木洋子
製作:藤本真澄
音楽:斎藤一郎
撮影:玉井正夫
編集:大井英史
配給:東宝
浮雲 キャスト
幸田ゆき子:高峰秀子
富岡兼吾:森雅之(大映)
おせい:岡田茉莉子
伊庭杉夫:山形勲
富岡の妻・邦子:中北千枝子
向井清吉:加東大介
飲み屋の娘:木匠マユリ
屋久島のおばさん:千石規子(東映)
仏印の所長・牧田:村上冬樹
鹿児島の医者・比嘉:大川平八郎
仏印の所員・加納:金子信雄
米兵・ジョー:ロイ・ジェームス
大日向教教主:林幹
信者:谷晃
丸高モートル支配人:恩田清二郎
仏印の女中:森啓子
荒物屋のおかみ:馬野都留子
新聞を読む女:音羽久米子
下宿の主婦:出雲八重子
太田金作:瀬良明
田村事務官:堤康久
富岡の母:木村貞子
運送屋:桜井巨郎
伊豆長岡の旅館の番頭:佐田豊
踊る信者:一万慈鶴恵、吉頂寺晃、安芸津広、今泉廉