陽炎(かげろう)は、1991年公開の日本映画。昭和初期の熊本を舞台に、愛憎がうずまく料亭を巡って一人の女胴師の活躍を描く任侠アクション。脚本は「極道の妻たち 最後の戦い」の高田宏治が執筆。監督は「226」の五社英雄。撮影は「利休」の森田富士郎がそれぞれ担当。
陽炎 映画批評・評価・考察
陽炎(かげろう)
脚本:34点
演技・演出:17点
撮影・美術:17点
編集:8点
音響・音楽:7点
合計83点
1980年代に入ってから、「鬼龍院花子の生涯」を皮切りとし、同じ宮尾登美子原作の「陽暉楼」「櫂」や、「極道の妻たち」などのヒット作を連発し、アクションヒロイン路線を新たに開拓するようになった伝説の活劇派・五社英雄監督。そんな名監督が、本作でもけれん味あふれるダイナミックな演出を存分に披露。乗っ取られた料亭を取り戻すべく、もろ肌脱いで盆の勝負に挑む女胴師のヒロインを美人女優、樋口可南子が熱演したのが公開当時、大きな見ものになりました。
また、五社監督はガンからの復帰作ということもあり、スタッフ・キャストともに監督のためにと一丸となって作品作りに取り組んだそうです。また主題歌に聖飢魔Ⅱが起用されたことも話題に。
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陽炎 あらすじ(ネタバレ)
抜けるような真夏の下、見事な菩薩の刺青を背にする洗い髪の女がいた。女の名はりん。女胴師である彼女を人は“不知火おりん”と呼んだ。
ある日、大阪の難波政組の依頼を受けてそこに向かったおりんは、偶然義弟の市太郎に出会う。両親亡き後、若旦那として熊本・二本木の料亭・八雲を切り盛りしているはずの市太郎だったが、今や岩蔵が率いる岩船一家に店を乗っ取られ、博奕打ちと芸者が徘徊する色と欲の悪臭に満ちた場に成り下がっていた。
そして、おりんは二度とまたぐことのないと思っていた八雲の敷居に足を踏み入れた。女将の千代春は動揺し、またそこには20年前のおりんの実父のかたきでもある岩蔵の胴師・常次郎がいた。そんなおりんの出現をいぶかしがる岩蔵の元に難波政組の親分・政吉が祭りの花会に出席するという知らせが届く。そしてその胴師の名には“城島りん”と明記されていた。
勝負が始まってほどなく、積み込まれた花束はおりんの目の前を次々に通り過ぎ、常次郎の前に置かれた。中休み、常次郎は20年前のことを思い出しながら、おりんに声をかける。その眼は愛しい者をとらえるかのようにやさしかった。やがて勝負はヤマ場を迎え、おりんと常次郎の一騎打ちとなった。異様な緊張と静寂の中、勝利の女神はおりんに微笑んだ。しかし、それによって岩蔵は怒り、おりんや市太郎に刺客が向けられるのだった。
旅芝居の一座にかくまわれていた市太郎とその恋人・小芳は、千代春が仕組んだワナによってあっけなく殺されてしまう。それを知ったおりんは激しい怒りに体を震わせながら、ダイナマイト片手に岩船一家へ殴り込みに行く。そして、常次郎の助けもあり、おりんは死闘の末、岩蔵を討ち取るのだった。
陽炎 スタッフ
監督:五社英雄
脚本:高田宏治
原作:栗田教行
製作:奥山和由
プロデューサー:西岡善信
音楽:佐藤勝
撮影:森田富士郎
編集:市田勇
配給:松竹
陽炎 キャスト
城島りん:樋口可南子
村井常次郎:仲代達矢
小杉市太郎:本木雅弘
小芳:荻野目慶子
千代春:かたせ梨乃
稲田竜吉:川谷拓三
安五郎:竹中直人
大滝岩蔵:白竜
君勇:清水ひとみ
河東源治:沢竜二
車屋・竹:うじきつよし
車屋・軍艦松:芦屋小雁
城島弥吉:高橋長英
清野忠雄:夏八木勲
武州:高品格
光山修介:神山繁
橋場伸吉:川地民夫
津崎伝吉:丹波哲郎
大野政吉:岡田英次
小杉兵衛:北村和夫
よし:岩下志麻
警官:緒形拳