ボヘミアン・ラプソディは、2018年公開のアメリカ合衆国の映画。ブライアン・シンガーがメガホンを取り、伝説のロックバンド“クイーン”のリード・ヴォーカル、フレディ・マーキュリーの生き様を描く音楽ドラマ。既存の音楽を打ち破り、世界中で愛されるエンターテイナーとなったフレディ。その活躍の裏にあったものとは。フレディ役を熱演したのは、『MR. ROBOT/ミスター・ロボット』でエミー賞を受賞したラミ・マレック。
ボヘミアン・ラプソディ 映画批評・評価・考察
ボヘミアン・ラプソディ(英語: Bohemian Rhapsody)
脚本:40点
演技・演出:20点
撮影・美術:20点
編集:10点
音響・音楽:10点
合計100点(満点)
レディ・ガガが“史上最高の天才エンターテイナー”と讃え、ケイティー・ペリーが“今も最も影響を受けている”と語るミュージシャン。それが伝説のバンド“クイーン”のリード・ヴォーカル、フレディ・マーキュリーだ。その名を知らずとも、『ボヘミアン・ラプソディ』、『伝説のチャンピオン』、『ウィ・ウィル・ロック・ユー』といった名曲をほんのワンフレーズ耳にしただけで、たちまち誰もが心浮き立ち、歌い出さずにはいられない。いかにしてフレディは、世間の常識や既成概念に逆らい、従来の音楽を打ち破り、世界中から愛されるエンターテイナーとなったのか?なぜ愛と孤独、プレッシャーに引き裂かれたのか?そして、崩壊寸前に陥ったバンドを立て直し、永遠のレガシーを確立できた理由とは……?
今も世界中で愛されるイギリスのロックバンド「クイーン」。45歳でこの世を去ったボーカル、フレディ・マーキュリーの激動の半生を描く大ヒット作。70年代初め、バンドの結成から、伝説のコンサートとなった85年の“ライブ・エイド”まで、華やかな活躍と知られざる苦悩を数々の名曲とともに描く。圧巻のパフォーマンスでフレディを演じたラミ・マレックがアカデミー主演男優賞に輝き、編集賞など4部門を受賞した。
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ボヘミアン・ラプソディ あらすじ(ネタバレ)
1970年代初頭のロンドン、ゾロアスター教徒ペルシャ系移民出身の青年ファルーク・バルサラは、移民差別を受けつつも音楽に傾倒していた。ある日ファルークはファンだったバンド「スマイル」のメンバーでギタリストのブライアン・メイ、ドラマーのロジャー・テイラーに声をかけ、ヴォーカリストが脱退したばかりの同バンドに見事な歌声を披露して新しいヴォーカル兼ソングライターとなり、同じく新メンバーのベーシスト・ジョン・ディーコンとともに新生バンドをスタートさせる。厳格な父とは折り合いが悪く、活動の再出発を前に、自分のルーツを嫌って「フレディ」と名乗り始めた。
同じ時期、フレディはケンジントンのお洒落な人気ブティック「BIBA」の店員メアリー・オースティンと知り合い恋に落ちる。「クイーン」と改名したバンドは、ワゴン車を売却してアルバムを自主制作する。レコーディングの様子を目に留めたEMIのA&Rジョン・リードは彼らをスカウト、ポール・プレンターが担当マネージャーとなる。フレディはさらに名字を「マーキュリー」に改名、デビュー・世界各国でのツアーとクイーンが躍進する中、フレディはメアリーにプロポーズする。
やがてクイーンはEMIの重役レイ・フォスターからヒット曲「キラー・クイーン」の路線を踏襲する曲を制作するよう命じられるが、同じことの繰り返しを嫌う彼らは反発する。フレディはオペラをテーマとしたロック・アルバムを作ると提案し、郊外での曲制作とレコーディングが始まる。メンバーの喧嘩を交えつつも、熱意を注いで完成されたアルバム『オペラ座の夜』の出来に彼らはおおいに満足する。しかし6分という長さと斬新な構成の曲「ボヘミアン・ラプソディ」のシングルカットを、フォスターは「ラジオでかけてもらえない」と認めずクイーンと徹底的に対立。しかしフレディ自らラジオに出演し、「本来ならラジオで聴けない曲」と同曲を独占放送、マスコミには酷評されるが大ヒットする。
その後クイーンはスターダムを駆けていくが、ツアーで多忙になる中、フレディは自身のセクシャリティに気づいていき、メアリーに自分はバイセクシャルだと告白する。しかし既に彼の本心を察していたメアリーは、彼にゲイだと指摘し、なおも彼女を求めるフレディと距離をおき他の男性と付きあうようになる。孤独を深めるフレディはパーティー三昧の生活に溺れるが、その場でジム・ハットンと出会う。ハットンに恋愛感情を抱くフレディは再会を希望するが、ハットンは「本当の自分を取り戻すことができたら再会しよう」といい、去っていく。一方で、それぞれに家族をもち、孤独をわけあえないメンバーとの確執が増し、フレディのセクシュアリティをスキャンダラスに晒そうとするマスコミとの対立による混乱、ポールの誘導によりリードを一方的に解雇するなどのトラブルを経て、高額のソロ活動契約を結んだことをきっかけに、決定的に仲間割れしてしまう。そんな中、新しくマネージャーに就任したジム・ビーチが、チャリティーイベントライヴエイドの件を実質的にフレディのマネージャーになっているポールに伝えるが「忙しいから」とフレディには取り次いで貰えない。
そんなことは知らずに、フレディはソロ契約履行のためにソロアルバム作成に没頭するが、極めて難航する。その苦しみから逃れるために、ドラッグや酒に溺れ、乱れた生活をしているうちに、フレディに体調悪化の兆しが見え始める。そんなフレディのところに、連絡がつかないことを心配したメアリーが訪れる。フレディは突然の来訪に喜ぶが、メアリーから妊娠を告げられ衝撃を受ける。その時、不意に発してしまったフレディの一言にメアリーは傷つく。フレディに対してメアリーは、彼の本当の居場所はクイーンであり、バンドメンバーこそがそのファミリーであること、ここにいてはいけないことを強く諭す。フレディは目を覚まし、メアリーの妊娠を祝福するとともに、ポールとの完全な決別をする。
バンドへの復帰を熱望するフレディはメンバーとの交渉の場を持つ。わだかまりを隠しきれないメンバーは難色を見せるものの、彼の熱意に折れ、今後の作品は全てクイーン名義とすることなどを取り決めた上で復帰を了承する。そしてフレディはライブエイドへの出演を提案し、それが決定する。
体調不良を感じていたフレディは検査をし、自らがエイズに感染していることを知り、リハーサルの場で自らの病と死ぬ運命であることをメンバーに告げる。メンバーはその告白に強い衝撃を受けるも、ライブエイドでの成功を固く誓い合う。
全てを取り戻したフレディは、ジム・ハットンを探しだして再会し、以降交際する。ライブエイド当日、ハットンを連れフレディは実家に戻り、家族に「友人」と紹介する。父母も妹も全てを理解し、受け入れる。ウェンブリーのライブエイドステージに立ったクイーンは、約20分のパフォーマンスで会場の群衆とテレビ生中継の視聴者たちを熱狂に導き、チャリティーイベントとしても大成功させて出番を終える。ラストでは、実際のフレディおよびクイーンの映像とともに、1991年にフレディの死と、彼の生涯の最期までハットンが添い遂げ、メアリーが友人として支え続けたこと、フレディの名を冠したエイズ患者支援基金『マーキュリー・フェニックス・トラスト』が設立されたことが語られる。
ボヘミアン・ラプソディ スタッフ
監督:ブライアン・シンガー
脚本:アンソニー・マクカーテン
原案:アンソニー・マクカーテン,ピーター・モーガン
製作:グレアム・キング,ジム・ビーチ,ロバート・デ・ニーロ,ピーター・オーベルト,ブライアン・メイ,ロジャー・テイラー
製作総指揮:アーノン・ミルチャン,デニス・オサリヴァン,ジェーン・ローゼンタール,デクスター・フレッチャー
音楽:ジョン・オットマン
撮影:ニュートン・トーマス・サイジェル
編集:ジョン・オットマン
製作会社:20世紀フォックス映画,ニュー・リージェンシー,GKフィルムズ,クイーン・フィルムズ
配給:20世紀フォックス映画
ボヘミアン・ラプソディ キャスト
フレディ・マーキュリー:ラミ・マレック
ゾロアスター教徒ペルシャ系移民出身の青年。本名はファルーク・バルサラ。リトル・リチャードなどのファンだった。
メアリー・オースティン:ルーシー・ボイントン
人気ブティックの店員。フレディの終生の友人となる。
ブライアン・メイ:グウィリム・リー
バンド「スマイル」のギタリスト。学生時代は天文学を専攻。
ロジャー・テイラー:ベン・ハーディ
バンド「スマイル」のドラマー。学生時代は歯科を学ぶ。
ジョン・ディーコン:ジョゼフ・マゼロ
バンド「スマイル」のベーシスト。
ジョン・リード:エイダン・ギレン
EMIのA&R。クイーンを発掘し、EMIに引き入れた人物。
ポール・プレンター:アレン・リーチ
クイーンの担当マネージャー。アイルランドのベルファスト出身。後にフレディと恋人関係となる。
ジム・ビーチ:トム・ホランダー
プレンターに代わる新しいマネージャーで弁護士。ファミリーネームの「ビーチ」からフレディに”マイアミ”の愛称で呼ばれるようになる。
レイ・フォスター:マイク・マイヤーズ
EMIの重役(実在しない人物)。「ボヘミアン・ラプソディ」に対して否定的な姿勢を示し、クイーンの4人から反抗を受ける。
ジム・ハットン:アーロン・マカスカー
フレディのゲイとしての恋人。
ジャー・バルサラ:メネカ・ダス
フレディの母親。
ボミ・バルサラ:エース・バティ
フレディの父親。
カシミラ・バルサラ:プリヤ・ブラックバーン
フレディの妹。
ボブ・ゲルドフ:ダーモット・マーフィ
ライブエイドの主催者。
ケニー・エヴェレット:ディッキー・ボウ
ラジオのDJ。
ティム・スタッフェル:ジャック・ロス
バンド「スマイル」のフレディの前任者のボーカル。
デヴィッド:マックス・ベネット
メアリーの夫。
メアリーの父親:ニール・フォックス=ロバーツ
ろうあ者。
シェリー・スターン:ミシェル・ダンカン
記者。
トラック運転手:アダム・ランバート
ライブの観客:ルーク・ディーコン,エミリー・メイ
シェリル:ジェス・ラドムカス
クリッシー:レイア・クレラー
ドイツ人記者:マーティン・オルバーマン
ボヘミアン・ラプソディ 予告編・無料動画