東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜は、2007年公開の日本映画。リリー・フランキーが、亡き母への思いをつづった自伝的ベストセラー小説を映画化。主人公のボクをオダギリジョー、母=オカンを樹木希林、若き日のオカンを内田也哉子が演じて話題となった、母と子の絆を描く感動作。
東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜 映画批評・評価・考察
東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜(英題:Tokyo Tower: Mom and Me and Sometimes Dad)
脚本:34点
演技・演出:18点
撮影・美術:17点
編集:7点
音響・音楽:7点
合計83点
リリー・フランキー原作の同名ベストセラーを映画化した本作は、ドラマ版とは違って、映画ならではの細部へのこだわりや、絶妙なキャスティングによって、原作の持ち味を存分に活かしています。原作者自身がモデルである主人公の「ボク」が、炭鉱町・筑豊での少年時代を経て、東京でイラストレーター兼コラムニストそして成功。ガンに冒された「オカン」を東京に呼び寄せるという物語は、ほぼ原作どおりです。長髪で無精ヒゲを生やしたオダギリ ジョーは、思いのほかリリー・フランキー本人に近いイメージです。さらに樹木希林のオカンの若き日を実娘の内田也哉子が演じることで、時の流れが見事に表現されています。そのほかキャストでは、原作にも出てくる松田美由紀の使われ方や、一瞬だけ登場する豪華ゲストも見どころです。炭鉱町のセットを始め、その後の80~90年代のカルチャーも丁寧に映像化されています。
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東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜 あらすじ(ネタバレ)
飲んだくれの自由人である“オトン”(小林薫)の家を出て、“オカン”(樹木希林)と幼い“ボク”は筑豊の実家で暮し始める。炭坑町でオカンとその姉妹たちと暮す日々が続くが、高校進学を間近にひかえたボクはオカンのもとを離れて大分の美術高校に行くことを決めた。オカンが小料理屋で働きつつ送ってくれる仕送りでボクは、自堕落な高校生活を送る。
やがて憧れていた東京に出て美大生になるに至っても、ボク(オダギリジョー)は自堕落な生活を送り続けていた。故郷のオカンの励ましと学費の援助によってなんとか大学を卒業したものの、就職はせず、町金融で借金をかさねながら暮らす日々も次第に窮まっていった。今の暮しぶりを知ったらオカンはどんなに落胆するだろうかと思い立ち、故郷との連絡を絶ち、心を入れ替えて生活を立て直す決心をするボク。何でもかんでも仕事を引き受けてがむしゃらに働く内に、イラストレーター兼コラムニストとしていつの間にか食えるようになる。借金も完済し、これでオカンに心配をかけることも無いと思っていた矢先、久々に連絡をとった故郷の叔母からオカンがガンの手術で入院していた事を知らされる。ボクがオカンを心配させまいと連絡を絶っていた間、オカンもボクを心配させまいと連絡を絶っていたのだった。
ボクはオカンを東京に呼び寄せ、再び二人で暮らすことにする。上京したオカンを東京見物につれていき、今の仕事が一段落ついたら一緒に東京タワーの展望室に登ろうと約束するボク。料理が上手で世話好きなオカンを慕い、家に入り浸るボクの友人たち。毎晩のように訪ねてくる彼らにオカンは料理を振る舞い、オトンとののろけ話で彼らを笑わせた。賑わいの絶えない幸福な生活がやって来たかに思われたが、間もなくオカンのガンが再発してしまう。入退院を繰り返す闘病の日々。衰弱していくオカンの身体はやがて抗ガン剤の副作用に悲鳴をあげる。あまりの苦しみ様に見兼ねたボクは、オカンの死期が早まる事を受け入れ、治療を断念する。
東京タワーを間近に見上げる病室で、副作用の苦しみから解放されて穏やかな日々を取り戻したオカン。オカンを慕うボクの友人たちやオカンの故郷の姉妹たち、離れて暮しつつもオカンが慕い続けたオトンが訪ねて来てオカンの残り少ない時間を共に過ごす。やがて、オトンとボクが見守るなか、オカンは静かに息を引きとった。生前に約束を果たせなかった事を悔いつつも、ボクはオカンの位牌を持って東京タワーに登り、眼下に広がる東京の景色を一緒に眺めるのだった。
東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜 スタッフ
監督:松岡錠司
脚本:松尾スズキ
原作:リリー・フランキー
音楽:上田禎
主題歌:福山雅治「東京にもあったんだ」
撮影:笠松則通
編集:普嶋信一
製作会社:「東京タワー o.b.t.o」製作委員会
配給:松竹
東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜 キャスト
ボク:オダギリジョー
オカン:樹木希林
若い頃のオカン:内田也哉子
中学、高校時代のボク:冨浦智嗣
小学校時代のボク:田中祥平
幼少時代のボク:谷端奏人
筑豊のばあちゃん:渡辺美佐子
小倉のばあちゃん:佐々木すみ江
ハイカラな男:寺島進
現在のノブエおばさん:原知佐子
現在のみえ子おばさん:結城美栄子
ブーブおばさん:猫背椿
タマミ:伊藤歩
平栗:勝地涼
磯山:平山浩行
えのもと:荒川良々
ホセ:辻修
若い頃のノブエおばさん:小島聖
若い頃のみえ子おばさん:吉本菜穂子
高校の女教師:土屋久美子
不動産屋の事務員:小泉今日子
病院の借家の老婆:千石規子
葬儀屋:塩見三省
中目黒の大家:松田美由紀
東京の病院の医者:田中哲司
笹塚の診療所の医者:柄本明
「かっぱ」の客:板尾創路
魚の煮つけを褒める客:光石研
アイドルDJ:宮崎あおい
編集長:六角精児
ラジオ局のディレクター:仲村トオル
催促する編集者の声:岩松了
郵便配達人:田口トモロヲ
風俗嬢:江本純子、安藤玉恵、栗原瞳
堕落した日々の彼女:麻里也
大学時代の彼女:竹下玲奈
似顔絵教室の女子社員:小林麻子
東京の看護婦:ぼくもとさきこ
ミズエ:松たか子
オトン:小林薫