アビスは、1989年に公開されたアメリカ合衆国の映画。深海に潜む生物体との遭遇を描くアドベンチヤー・ロマン。本作は140分の公開版と、171分の完全版が存在する。ジェームズ・キャメロン監督が高校時代に書き記した短編小説を原作とし、自身の手でそれに新たな肉付けを施し映画化。SFXはILMのデニス・ミューレンによる。アカデミー視覚効果賞を受賞した。
アビス 映画批評・評価・考察
アビス(原題:The Abyss)
脚本:32点
演技・演出:14点
撮影・美術:16点
編集:6点
音響・音楽:8点
合計76点
深海版『未知との遭遇』というべき作品で、1989年に公開された深海映画で唯一エイリアンとのファーストコンタクトを描いた感動作となっています。『ザ・デプス』と『リバイアサン』はSFホラー映画で、未知の怪物との対決を軸に描いています。ザ・デプスの監督が『13日の金曜日』で名を馳せたショーン・S・カニンガム、リバイアサンの監督が『ランボー/怒りの脱出』を大ヒットさせたジョージ・P・コスマトス、アビスは『ターミネーター』、『エイリアン2』で一躍名を挙げたジェームズ・キャメロンと1980年代を代表する若手B級?エンターテイメントの巨匠が深海映画で競ったのは興味深い出来事でした。それぞれ個性と特色があって面白いのでこの3作は是非見比べてみて欲しいです。
アビスは、映像・音楽の素晴らしさが抜きんでているものの、編集が悪く、他の2作のようなテンポの良さが無く、公開版は、脚本が死んでしまい、完全版は間がもたつく感があって傑作までは届かなかった作品に感じました。今作がなければ『ターミネーター2』も生まれていないのでキャメロンの葛藤と成長の作品だったと評価したいです。
製作開始当初自在に動き回る水の描写は透明なアクリルの模型をコマ撮りで動かす予定でしたが、ILMのアニメーションスタッフがCGIによる描写を可能にしました。キャメロン監督は「液状のキャラクター」というアイディアの映像化を模索していましたが、本作が実現した事で構想をさらに推し進め、『ターミネーター2』を製作します。
視覚効果のデザインにはジャン・ジローやロン・コッブといったアーティストが参加し、造形担当のスタッフにスクリーミング・マッド・ジョージ(谷譲治)の名前もあります。
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アビス あらすじ(ネタバレ)
深海。アメリカ海軍の原子力潜水艦が謎の物体に襲われ、救助活動の基地として選ばれたのは海底油田採掘用試作品住居<ディープコア>だった。バッド・ブリッグマン(エド・ハリス)を始めとする9人のクルーのもとに、コフィ大尉(マイケル・ビーン)が指揮する海軍のダイバー・チームと、ディープコアの設計者リンジー(メアリー・エリザベス・マストラントニオ)がやって来る。実はバッドとリンジーは離婚間近の夫婦で、ふたりは事あるごとに対立するのだった。
そんな折、クルーのジャマー(ジョン・ベッドフォード・ロイド)が救助中に巨大な光る物体を目撃し、ショックで昏倒してしまう。そしてリンジーも、その光を見た。一方コフィたちは、バッドたちに無断で原潜から何かを回収する。その頃海上は嵐に襲われ、基地を結ぶ連絡ケーブルが切れた挙句、音信不通となり、クルーからも犠牲が出た。被害状況を調べるために外に出たリンジーは、海溝から姿を現わしたあの光る物体と再び接触するが、バッドたちはその事を信じない。やがてリンジーは、コフィが原潜内から回収したものが核弾頭であることを知り激しく詰め寄るが、彼は潜水病とストレスからの緊張感で狂気の世界に入り始めていた。
そんな時、光る訪問者がやって来てクルーとコミュニケーションをとり始めるが、それによってコフィの狂気はエスカレートし、海溝で核弾頭を爆発させようとする。その危機を救ったのは昏睡から醒めたジャマーで、バッドは潜水艇で海中に出たコフィを追ってリンジーと共に、必死の追撃戦を展開する。激しい戦いの末に、コフィの艇は海溝に落ちてゆき、水圧で爆死した。バッドとリンジーを乗せた艇も損傷が激しく、バッドが潜水ヘルメットをかぶってディープコアまで到着した後、溺れたリンジーを蘇生させるのだった。
そしてバッドは、海溝に落ちた核弾頭の起爆装置を解除するため、液体酸素で満たしたヘルメットと潜水服を着て、底知れぬ深淵へと潜ってゆく。そして彼は起爆装置のコードを切断することに成功するが、液体酸素はディープコアに戻るまでなかった。こうして死を迎えようとしているバッドを救出するのは、あの光る巨大な物体だった。
やがて嵐は去り、地上と交信が再開され、リンジーたちはバッドが生きていることを知り歓喜する。そしてふたりは夫婦としての絆を取り戻すのだった。…
アビス スタッフ
監督:ジェームズ・キャメロン
脚本:ジェームズ・キャメロン
製作:ゲイル・アン・ハード
音楽:アラン・シルヴェストリ
撮影:ミカエル・サロモン
美術:レスリー・ディリー
編集:ジョエル・グッドマン,コンラッド・バフ
配給:20世紀フォックス
アビス キャスト
ヴァージル・“バッド”・ブリッグマン:エド・ハリス
リンジー・ブリッグマン:メアリー・エリザベス・マストラントニオ
ハイラム・コフィ大尉:マイケル・ビーン
キャットフィッシュ・デ・ブリーズ:レオ・バーメスター
アラン・“ヒッピー”・カーンズ:トッド・グラフ
ジャマー・ウィリス:ジョン・ベッドフォード・ロイド
“ソニー”・ドーソン:J・C・クイン
リサ・“ワンナイト”・スタンディング:キンバリー・スコット
ルー・フィンラー:キャプテン・キッド・ブリューワー
バーンズ:マイケル・ビーチ
ドワイト・ペリー:ディック・ウォーロック
ウィルハイト:ジョージ・ロバート・クレック
ベンディックス:クリス・エリオット
シュニック:クリストファー・マーフィ
モンク少尉:アダム・ネルスン
リーランド・マクブライド:ジミー・レイ・ウィークス
ディマルコ准将:J・ケネス・キャンベル
ジェラルド・カークヒル:ケン・ジェンキンス
大佐:ピーター・ラトレイ
ニュースキャスター:ジョー・ファーゴ