マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙は、2011年公開のイギリス・アメリカ合衆国合作映画。1979年の就任以来、強気の姿勢でイギリスを導いて”鉄の女”と称されたサッチャーの誰もが知る姿と、その裏に隠された孤独な一面を繊細に描き出す。“鉄の女”マーガレット・サッチャーを、名女優メリル・ストリープが演じ、アカデミー賞を受賞した感動のドラマ。
マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 映画批評・評価・考察
マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙(原題: The Iron Lady)
脚本:36点
演技・演出:20点
撮影・美術:18点
編集:8点
音響・音楽:8点
合計90点
1979年、英国史上初の女性首相となり、経済再建やフォークランド紛争などさまざまな困難を乗り越えた“鉄の女”マーガレット・サッチャーを、名女優メリル・ストリープが演じ、アカデミー賞を受賞した感動のドラマ。
サッチャーの娘キャロルが母の認知症を認めた回顧録をベースに、「マンマ・ミーア!」のフィリダ・ロイドが監督を担当。サッチャーを妻として、母として、国のリーダーとして戦った、ひとりの女性として描写しました。名女優メリル・ストリープは徹底した役作りをし、まずサッチャーの容貌をみごとに再現(アカデミー賞でメイクアップ賞も受賞)。イギリス英語のアクセントもこなしたそのそっくりぶりは圧巻です。「クレイマー、クレイマー」で助演女優賞、「ソフィーの選択」で主演女優賞に輝いたストリープにとって3度目のアカデミー賞受賞に。
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マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 あらすじ(ネタバレ)
雑貨商の家に生まれたマーガレット(メリル・ストリープ)は市長も務めた父の影響で政治を志すが、初めての下院議員選挙に落選してしまう。失望する彼女に心優しい事業家デニス・サッチャー(ジム・ブロードベント)がプロポーズする。「食器を洗って一生を終えるつもりはない」野心を隠さないマーガレットを、デニスは寛容に受け入れる。
双子にも恵まれ、幸せな家族を築く一方で、マーガレットは政治家としての階段も昇りはじめる。失墜した英国を再建する。それは気の遠くなるような闘いだったが、彼女はその困難に立ち向かう。愛する夫や子供たちとの時間を犠牲にし、マーガレットは深い孤独を抱えたままたった一人で闘い続けた……。
やがて時は流れ、彼女は保守党内の揺さぶりをかけるため党首選に立候補しようとする。しかし、首相を目指すべきだという意見に担がれる形で、党首、そして1979年、主要国初の女性首相になり、「鉄の女」の異名で知られるようになる。その過程で、ボイストレーニングをし、裕福な婦人風の帽子を止めてイメージチェンジを図る。しかし、デニスから双子出産の祝いに贈られた真珠の二連ネックレスは外さなかった。
彼女の示す改革はなかなか受け入れられず、支持率も上がらない。ところが、1982年、フォークランド紛争が勃発。マーガレットは領土を死守すべく強硬姿勢を貫く。苦境を英国の勝利で乗りきると、支持率は高まり、また政策の成功から好景気に沸く。いつしか首相在任10年を迎えていた。そんなマーガレットが苦しんだのは、1984年に遭ったIRA暫定派によるテロだった。共にホテルに滞在していたデニスの死をも覚悟したが、幸い無事であったが、老いたマーガレットもテロには強硬な姿勢で臨むべきと繰り返すほどに、強い衝撃を残した。
しかし、マーガレットの厳しい言動は、保守党内での離反を招いた。デニスの忠告を振り切り、冷戦終結に伴う国際会議に出席している間、サッチャー降ろしの動きは加速。デニスの助言を入れて、党首選での敗北より名誉ある辞職を選択する。
現在のロンドン。どんなに苦しい時も支え続けてくれた夫・デニスは既に他界した。だが、マーガレットは未だに夫の死を認識していないのか、時折不可解な行動が目立つ。思い出の洪水の中で、デニスの遺品を手に取り彼女は「あなたは幸せだった?」とつぶやくのだった……。
マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 スタッフ
監督:フィリダ・ロイド
脚本:アビ・モーガン
製作:ダミアン・ジョーンズ
製作総指揮:フランソワ・イヴェルネル,アダム・クーリック,キャメロン・マクラッケン,テッサ・ロス
音楽:トーマス・ニューマン
撮影:エリオット・デイヴィス
編集:ジャスティン・ライト
製作会社:パテ,フィルム4・プロダクションズ,UKフィルム・カウンシル
配給:ワインスタイン・カンパニー,20世紀フォックス,ギャガ
マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 キャスト
マーガレット・サッチャー:メリル・ストリープ
若き日のマーガレット:アレクサンドラ・ローチ
デニス・サッチャー:ジム・ブロードベント
若き日のデニス:ハリー・ロイド
キャロル・サッチャー:オリヴィア・コールマン
ゴードン・リース:ロジャー・アラム
ジューン:スーザン・ブラウン
ジム・プライアー:ニック・ダニング
エアリー・ニーブ:ニコラス・ファレル
アルフレッド・ロバーツ:イアン・グレン
マイケル・ヘーゼルタイン:リチャード・E・グラント
ジェフリー・ハウ:アンソニー・ヘッド