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アンストッパブル|危険物質を積んだまま暴走する貨物列車を止めるために、ベテラン機関士と新米車掌のコンビが奮闘する。

アンストッパブル
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アンストッパブルは、2010年公開のアメリカ合衆国の映画。実際に起こった列車暴走事故を基に、危険な薬物を大量に積載したまま無人で暴走し始めた貨物列車を、二人の鉄道マンが止めようと奮闘するサスペンス・アクション。『クリムゾン・タイド』『サブウェイ123 激突』など、これまで何度もコンビを組んできたトニー・スコット監督とデンゼル・ワシントンが再びタッグを組む。『ラッキー・ガール』のクリス・パイン、『7つの贈り物』のロザリオ・ドーソンが共演。

アンストッパブル 映画批評・評価・考察


アンストッパブル(原題:Unstoppable)

脚本:29点
演技・演出:17点
撮影・美術:17点
編集:7点
音響・音楽:7点
合計77点

2012年8月19日に他界したトニー・スコット監督の最後の作品。“止められない(アンストッパブル)”という題が表現するのは、暴走して脱線の危機もある無人の列車であると同時に、列車が引き起こすパニックに、列車を止めようとする鉄道関係者の奮闘を絡めてスピーディーに描いた作品のタッチそのもの。2001年にオハイオ州で起きた貨物列車暴走事故がモデルだが、CGを最小限にとどめた豪快なアクションを、トニー・スコット監督らしいスタイリッシュな映像美がさらに盛り上げ、楽しめる佳作になりました。

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アンストッパブル あらすじ(ネタバレ)

ペンシルバニア州の操車場。ベテラン機関士のフランク・バーンズ(デンゼル・ワシントン)と若い車掌のウィル・コルソン(クリス・パイン)が初めて顔を合わせる。しかし、年齢も家庭環境も異なる2人の間には大きな溝があり、ぎこちない雰囲気のまま機関車1206号へと乗り込むことに。やがて、2人の耳に貨物列車777号がトラブルを起こしたという情報が飛び込んでくる。運転士の操作ミスにより、無人のままの777号が暴走を始めたというのだ。しかも、777号には大量の化学物質が搭載されていることが判明。操作不能に陥った777号は、一つの街を壊滅させるだけの威力を持った巨大ミサイルも同然だった。様々な手段を講じて777号を停止させようとする鉄道会社。だが、そのいずれもがことごとく失敗してしまう。777号と同じ路線を走っていたフランクは、1206号を緊急待避線にすべり込ませて間一髪で衝突を回避すると、すぐさま777号の追跡を開始。777号の最後尾に連結して、1206号のブレーキで停車させる計画だった。フランクと口論を繰り返してきたウィルは、当初その計画に反対するが、彼の機関士としての経験と直感を信じ、命懸けのその計画に同意する。

警察と鉄道会社は被害を最小限に食い止めるために、777号の人為的な脱線を計画するが、これも失敗。全米の目は、追跡を続ける1206号の行方に注がれていた。テレビでその様子を見守る人々の中には、父親との関係がギクシャクしているフランクの2人の娘、そしてウィルと別居中の妻の姿もあった。家族との絆を取り戻したいと願う一方で、鉄道マンの使命を果たそうとする2人の男。いつしか、彼らの間にはわだかまりを乗り越えた男同士の絆が芽生えていた。だが、時間は刻々と経過、777号は高架下に多くの燃料タンクが設置される魔の急カーブに近づいて行く。このままでは777号が市街地で壮絶な脱線事故を起こして大きな被害が出るとし、コニーは上司で運行部長のガルビンに、777号が農村地帯にいる今の時点で脱線させ被害を軽減すべきだと進言する。しかし、目先の利益に囚われたガルビンは777号を止める手立てが他にあるはずだとしてその案を却下し、代わりに別の機関車を前から追突させて減速させ、ヘリから元海兵隊の機関士を777号に降ろす作戦を立案する。コニーは「無謀すぎる」と止めに入ったが、会社の利益を優先させるガルビンは強行するも、作戦は失敗し死傷者を出した上に、777号は止まらず暴走し続けた。

時を同じくして、フランクらの乗った1206号は前方から777号が迫っているため側線に入って回避するよう連絡を受ける。ところが、ウィルのミスによって余計な貨車を繋いだ1206号では指定された側線に収まらないことが判明した。フランクは正面衝突の危険を承知で、更にその先の修繕線まで1206号を進める。目前に777号が迫る中、間一髪で1206号は修繕線に入って衝突を回避した。フランクは家族のいるスタントンを危機から救うために、1206号を777号が牽引する貨車の最後尾車両の連結器へ逆向きに連結して強制停車させることを発案し、ウィルと共に777号の追走を始める。この動きを知ったガルビンはフランクらに勝手なことをするなと命令し、クビにすると脅すが、フランクらはガルビンを無視して独自に作戦を続ける。実はフランクには既に解雇通知が届いており、後18日で解雇される予定だった。

ガルビンは作戦がことごとく失敗し、ついに可搬式脱線器を用いた脱線作戦を認めるが、猛スピードの777号は脱線器を蹴散らして進み続ける。とうとうスタントンへの到着が迫ったという時、ついに1206号が777号に追いつきフランクの作戦を実行に移す。ウィルが連結器でケガを負いながらもなんとか連結は成功する。1206号のブレーキによって、777号のスピードが落ち始めたが、1206号のブレーキの効力が低下したことで再び加速を始める。そこでウィルが貨車の手動ブレーキを順次作動させる案を思いつき、フランクが実行に移すことで777号は減速をはじめ、スタントンの大曲りを脱線せずに乗り切った。フランクはそのまま列車の屋根を移動して先頭の機関室を目指す途中で行く手を阻まれてしまうが、ウィルがトラックで追いついたネッドの手助けで無事777号の機関室に乗り込んでブレーキをかけ、ついに777号は暴走をやめ、減速して停車した。

大惨事を回避した英雄として、ウィル、フランク、ネッドの3人はマスコミから賞賛を受ける。ウィルとフランクはそれぞれ家族との関係の修復も成功し、フランクの解雇命令も撤回された。

アンストッパブル スタッフ

監督:トニー・スコット
脚本:マーク・ボンバック
製作:トニー・スコット,ジュリー・ヨーン,ミミ・ロジャース,エリック・マクレオド,アレックス・ヤング
製作総指揮:クリス・シアッファ,リック・ヨーン,ジェフ・クワティネッツ
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
撮影:ベン・セレシン
編集:クリス・レベンゾン,ロバート・ダフィ
製作会社:スコット・フリー・プロダクションズ,テレビシオン・エスパニョーラ
配給:20世紀フォックス

アンストッパブル キャスト

フランク・バーンズデンゼル・ワシントン
今作の主人公。ブルースター操車場に勤める機関士で勤続28年の大ベテランで、機関士としてかなりの技量と経験を持ち、周囲からの信頼も厚い。この日初めて組んだ新米車掌のウィルと共に旧式機関車1206号に乗り込み、スタントンから貨物をウィルキンスに運ぶ途中、今回の事故に巻き込まれる。会社からは777号の停止作戦には手を出すなと命令されるが、長年の勤務経験で培われた確かな知識と勘から、脱線による停止作戦の成否は絶望的と判断し、後方の連結器のナックルが開いていたのを見るや777号を停止させるべく貨車を外し、ウィルと共に1206号で線路を逆走し後を追う。新人であるウィルとはこの日が初顔合わせだが、ウィルの度重なるミスから口論が絶えず、険悪な空気となってしまうが、777号の追跡中にその仲は徐々に氷解していき、終盤には彼を認め「彼は変わった」と評価した。会社がコスト削減のために自分たちのようなベテランを次々と解雇させる一方で、縁故による新人採用を増やしていることに納得がいっておらず、会社からは物語開始の72日前に90日後の早期強制退職を宣告されており、18日後にはクビが言い渡される予定だった。また、4年前に妻のアリスと死別しており、19歳のニコルと18歳のマヤという二人の娘との三人暮らしで、この日は上の娘であるニコルの誕生日だった。777号暴走事故を解決に導いた功績を認められ、強制退職が撤回され出世した。その後、円満退職という形でAWVR社を退職している。

ウィル・コルソンクリス・パイン
もう一人の主人公。ブルースター操車場に配属されて4ヶ月の新米車掌。フランクと共に1206号でスタントンから貨物をウィルキンスに運ぶ途中、今回の事故に巻き込まれる。鉄道一家の家庭に生まれ育った。妻ダーシーとの間で生じた些細な誤解が元で妻子と別居状態であり、兄の元に身を寄せている。家庭の問題のためにうわの空で作業を行い、本来1206号に連結するべきではない貨車を余分に5両連結したため(但し、ブルースター操車場に向かう車の車内でフランクに仕事内容を聞かれた際、ウィルはスタントンで1206号に貨車を25両連結すると答えているが、スタントンの亜鉛工場で貨車を連結して走り出した1206号の車内でフランクに運ぶ貨車の両数を聞かれた際、ウィルは貨車の両数を20両と答えており、これ以降のシーンで貨車について言及されていないため、矛盾が生じる)、最初に待避しようとした側線では編成が納まらなくなり、それより10km先の充分な長さのある修繕線を待避に使わざるを得なくなってしまい、1206号を777号との正面衝突の危機に陥らせた(機関車同士の衝突は回避したが、1206号が牽引していた貨車の最後尾車両は退避が間に合わず777号と衝突している)。新米でありながら鉄道一家の出身ゆえに優遇されていると周囲からは見なされており、大ベテランでありながら会社から退職を宣告されたフランクとは序盤から何かと口論になる(描かれ方からしてウィル本人はそう見られていることに嫌気がさしている様であり、車掌になる前は鉄道とは関係ない仕事を転々としていた)。さらに新米ゆえにミスを連発し、家庭の問題からくる苛立ちもあって険悪な雰囲気にまで発展。フランクが777号の後を追おうとした時も「自殺行為だ」と猛反対するが、彼から会社の行っている777号の停止作戦が絶望的なことと、故郷であり、家族の住むスタントンの町が大惨事に見舞われることを聞かされ、意を決して会社からの命令を無視してフランクと共に777号の追跡を開始する。その追跡の中でフランクと徐々に仲を氷解させていき、終盤には負傷しながらも1206号と777号の連結を成功させ、フランクをして「彼は変わった」と言わしめた。777号暴走事故の解決を機にダーシーとの仲は修復。その後、第2子が誕生予定であることが語られている。

コニー・フーパーロザリオ・ドーソン
フラー操車場で操車場長を務める女性。デューイとギリースから777号の無人発車の報告を受けた際、彼らの報告から777号は緩やかに惰行していると判断し、デューイとギリースに追跡を、同僚のネッドに先回りとポイントの切り替えを指示するが、後に彼らの報告から777号は猛スピードで力行していることと、777号には補助の767号も含めて機関車2両分のディーゼル燃料に加え、牽引している貨車に毒性と発火性の強い溶融フェノールが大量に積まれていることが判り、史上最悪の貨物列車暴走事故が起こっていると判断して、州警察や鉄道会社に通報して事態回復に奔走する。若輩ながら操車場長としては極めて有能で、積み荷が判明した際、777号を停車させることは不可能に近いと判断し、人気の無い農地で脱線させる事を運行部長のガルビンに提案するが会社の損失を最小限にすることを優先され一蹴される。ガルビン発案の停止作戦では死者を出した上、彼女に無断で実行された脱線作戦も失敗し万策尽きたかと思われたが、フランクとウィルが777号を追跡している事を知り、クビを覚悟で会社の命令を無視し、彼らに希望を託す。777号暴走事故の解決後、当時の対応が上層部に認められ運行部長に昇進。

オスカー・ガルビン(ギャルヴィン):ケヴィン・ダン
AWVR社の運行部長。コニーの通報で777号の暴走を知り、停止作戦を立案する。基本的に人命よりも会社の損失を最小限に止めることを優先しており、暴走する777号の前に別の機関車を回り込ませ、意図的な追突で減速させた隙にヘリコプターを使って777号に人を乗り込ませるという無謀ともいえる作戦を実行させるが、失敗した上に死傷者まで出してしまう。さらにコニーの脱線案を一蹴しておきながら彼女に無断で実行(それも街の郊外で)したり、777号を追跡するフランクとウィルに対して「会社の損失が拡大する」と怒鳴り散らすなど、極めて傲慢な性格。命令を無視したフランク達に「命令に従わないならクビにする」と宣告するも、最終的には一連の作戦失敗の責任を問われる形で解雇され、皮肉にも彼自らがクビになった。

デューイ(ドゥーイ):イーサン・サプリー
フラー操車場に勤める機関士。眼鏡を掛けている太った体型の男(途中から眼鏡を外している)。サボり癖がある上、普段から仕事態度が不真面目で相棒のギリース共々周囲からは問題児扱いされており、特に正確さを求めるネッドとは仲が悪い。777号を移動させる際、貨車のエアーブレーキのホースが外れていることをギリースから知らされるが後回しにしようと主張し繋ぎ直さずに発車させ、さらにギリースの制止を無視してポイント切り替えのために列車が動いている状態で運転席から離れ、おまけにブレーキ操作を誤る等のケアレスミスをして777号の暴走を引き起こした張本人となってしまい、マスコミに顔写真と名前を放送されてしまう。事故の原因を作ったのにもかかわらず様子を見に来たネッドやコニーに減らず口を叩くなどしていたが、ジャッドの事故に関しては流石に責任を感じたのかギリース共々呆然とテレビを見ていた。
777号暴走事故後、自主退職しファーストフード業界に転職。

ギリースT・J・ミラー
デューイと一緒に行動している機関士。デューイ程ではないが勤務態度は良くない。デューイに貨車のエアーブレーキのホースが外れていることを伝えたが、彼の後回しにしようという主張を承諾し繋ぎ直さなかったため、彼と共に777号暴走の原因を作ってしまう。その後デューイと共にハイレール(軌陸車)で777号を追跡し、777号に飛び移ろうとするも上手くいかず、危うく信号機にぶつかりそうになる。

ネッド・オールダムリュー・テンプル
フラー操車場に勤める溶接工主任。通勤中にサボって喫茶店に寄ったり、そこでウエイトレスを口説いたりと、言動は軽薄な男だが、仕事に対しては「(スポット溶接は)正確さがものをいう」という確固たる信念を持つ。いい加減な性格のデューイとギリースとは仲が悪い。喫茶店でサボってる最中にコニーから777号暴走の知らせと分岐器切り替えの指示を受けて先回りをするが、側線の切り替えポイントに到着した時には既に列車は通過しており、さらにデューイ達の証言から777号が力行状態で暴走していると知り、地元警察と協力して自身のトラックで追跡を開始。終盤、ウィルをトラックの荷台に乗せて運転席まで運び、777号の暴走を終わらせることに大きな貢献を果たすこととなった。

ダーシー・コルソンジェシー・シュラム
ウィルの妻で一児の母。彼女の紛らわしい行動から生じたウィルの些細な誤解が元で別居していたが、777号の暴走をフランクと共に食い止めようとするウィルを心配し、その様子を見守る。

バニーケヴィン・チャップマン
フラー操車場の指令室に勤める通信士。777号を「怪物(ビースト)」と呼ぶ。

スコット・ワーナーケヴィン・コリガン
連邦鉄道局の職員。この日行われる予定だった鉄道安全教室のためフラー操車場を訪れていた。職業柄、鉄道に関する知識が豊富であり、777号が牽引する貨車に積載されていた溶融フェノールなどの薬品関連にも精通しており、コニー達に様々な助言を与えたり、7375号が777号を側線に誘導しようとした際にオーバースピードであることを見抜いたりしている。この際、777号脱線という最悪の事態は回避できたが、7375号はポイント操作が間に合わず側線に入線して脱線転覆・爆発炎上してしまう。フランク達が運転する1206号が連結を成功させた後、機関車の全力で逆方向に引くだけではなく発電ブレーキも併用して使用した方が良い等の減速方法も提案しており、結果的にこの提案が功を奏することになった。777号暴走事故解決の陰の功労者。

ジャッド・スチュワートデヴィッド・ウォーショフスキー
ブルースター操車場に勤める機関士で勤歴26年のベテラン。フランクの友人で、冒頭のミンゴ操車場で会話をしていた。そこに現れたウィルに「ここは託児所じゃない」と皮肉を言い、「老人ホームかと思った」と嫌味を返される。ガルビンの提案した777号停止作戦の運転士役に指名され、自らが運転する機関車7375号を777号の前に回りこませて減速させようと試みるが777号の圧倒的なパワーの前に失敗、7375号はオーバースピードで側線に入線して脱線転覆後に爆発炎上し、脱出できずに死亡する。ウィルは顔を合わせていたものの名前までは知らなかったため、ミンゴ操車場で嫌味を言い合った相手とは気付いていなかった。

ジェシージェフ・ウィンコット
ウィルの兄。

マイケル・コルソンディラン・ブルース
マヤ・バーンズミーガン・タンディ
ニコール・バーンズエリザベス・マシス

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