ペイ・フォワード 可能の王国は、2000年公開のアメリカ合衆国の映画。世界を変えるにはどうすればいい? 少年は学校の宿題にあるアイデアを出す。天才子役時代のH・J・オスメントが、ある奇跡を起こす少年に扮した感動のヒューマンドラマ。キャサリン・ライアン・ハイドの小説を映画化。キャッチコピーは「きっかけはここにある!」「ディープ・インパクト」のミミ・レダー監督、「アメリカン・ビューティー」のケビン・スペイシー、「恋愛小説家」のヘレン・ハント、「シックス・センス」のハーレイ・ジョエル・オスメント共演で描くハート・ウォーミング・ストーリー。
ペイ・フォワード 可能の王国 映画批評・評価・考察
ペイ・フォワード 可能の王国(原題: Pay It Forward)
脚本:25点
演技・演出:18点
撮影・美術:15点
編集:8点
音響・音楽:8点
合計74点
少年が考案したペイ・フォワードが善意の連鎖を生んでいく模様と彼とその家族のドラマを紡いだ作品です。オスメントくんの見事な演技もさることながら、教師役のケビン・スペイシーの名演がとても印象的で心に残るものでした。彼の目の動きや口元にみれる表情、言葉の発し方にいたるまで表現力が豊かで繊細であり、役と同化しています。
監督のミミ・レダーは今作が評価され、スピルバーグに『ディープ・インパクト』を託されます。
登場人物の感情が観客に通じ、演技演出が生き生きとしています。ただ、個人的に今作のラストはあまりにも悲劇的で惨いものでした。。。許せない気持ちが湧いてしまい、悲しいという表現では治まりませんでした。
原作者キャサリン・ライアン・ハイドは「ペイ・フォワード」誕生についてこう語っている。 治安の悪い町で車がエンストしてしまったハイドは、車に近付いてくる男2人に恐怖心を抱く。しかし男はエンストしてしまったハイドの車を快く修理してくれたのだった。そこから、この“善意を他人へ回す”という思考が誕生した。
ペイ・フォワード 可能の王国 あらすじ(ネタバレ)
トレヴァーはネバダ州ラスベガスで 7 年生を始めます。彼の社会科の教師であるユージン・シモネットは、クラスに世界をより良い方向に変える計画を考案し、実行に移すという課題を与えます。トレヴァーの計画は、善行のネットワーク化に基づく慈善プログラムです。彼は自分の計画を「ペイ・フォワード」と呼んでいます。つまり、恩返しを受け取る人は、恩返しをするのではなく、他の 3 人に恩返しをするということです。
トレヴァーは 3 人に恩返しをし、善行の枝分かれしたツリーに沿って、他の 3 人に恩義をすることで、それぞれに「前払いする」ように頼みます。彼の最初の善行は、ジェリーという名前のホームレスの男性を彼のガレージに住まわせることであり、ジェリーはトレヴァーの母親のために車の修理を行うことでその恩返しをする。 ジェリーが再び麻薬中毒に陥ったとき、トレヴァーの努力は失敗したように見えるが、ジェリーは橋から飛び降りようとしている自殺した女性と話し、借金を返済する。
一方、トレヴァーの母親アーリーンは、ジェリーを家で見つけた後、トレヴァーの計画についてユージーンに立ち向かう。トレヴァーはユージーンを次の「前払い」のターゲットとして選び、ユージーンとアーリーンを騙してロマンチックなディナーデートに誘う。これも失敗したようで、トレヴァーとアーリーンは、アルコール依存症の元夫であるリッキーへの愛情について議論し、アーリーンは怒りのあまりトレヴァーを平手打ちする。トレヴァーが家を飛び出したとき、2 人の大人 (ユージンとアーリーン) は再び一緒になります。アーリーンは、ユージーンに彼を見つけるのを手伝ってくれるように頼みます。
トレヴァーを見つけた後、アーリーンはユージーンを性的に追いかけ始めます。ユージーンは首と顔に深いやけどの跡があり、不安からアーリーンの序曲に最初は抵抗した。彼らが最終的に一緒に寝ると、彼は胴体全体に大きな傷跡があるのが見られます。アーリーンはユージーンの身体的な傷を受け入れ、彼と感情的な絆を結ぶが、リッキーが彼女のもとに戻ってきて、飲酒をやめたと主張すると、すぐに関係を断念する。 彼が戻ってきたことと彼女がそれを受け入れたことは、母親が虐待的でアルコール依存症の父親を取り戻す習慣を持っていたユージーンを怒らせる。 アーリーンがリッキーが変わったと信じていることをユージンに説明しようとしたとき、ユージーンは彼の傷跡は父親が酔って激怒して彼に火をつけた結果だと説明する。彼はアーリーンを「それらの女性の 1 人」として非難し、リッキーについて警告します。トレヴァーを悪用する可能性があります。リッキーが再び酒を飲み始め、虐待行為を再開したとき、アーリーンは自分の間違いに気づき、リッキーを強制的に去らせます。
トレヴァーの学校の割り当ては、物語の時系列の始まりを示していますが、映画の冒頭のシーンでは、ロサンゼルスのジャーナリスト、クリス・チャンドラーに車を渡すという「ペイ・フォワード」ツリーの後半の好意の1つが示されています。映画が進むにつれて、クリスは好意の連鎖をトレヴァーの学校のプロジェクトとしてその起源にさかのぼります。ユージーンとのデートの後、アーリーンはジェリーの恩返しをして、アーリーンを育てる際の過ちを母親のグレースに許した。 ギャングのメンバーは病院で喘息の少女の命を救い、少女の父親はクリスに新しい車を譲ります。
クリスは最終的にトレヴァーが「ペイ・フォワード」の創始者であると特定し、録音されたインタビューを行い、トレヴァーがプロジェクトに対する彼の希望と懸念を説明する。トレヴァーの言葉を聞いたユージーンは、彼とアーリーンが一緒にいるべきだと悟る。ユージンとアーリーンが抱き合って和解している間、トレバーは友人のアダムがいじめられていることに気付く。ユージーンとアーリーンが彼を止めようと急いでいる間、彼は現場に急ぎ、いじめっ子と戦うことでアダムに前払いします。いじめっ子の一人がポケットから飛び出しナイフを取り出し、トレヴァーのお腹を刺し、いじめっ子たちはその場から逃げ出します。トレヴァーは病院に運ばれたが、死亡した。このニュースは、この運動が全国に広がっているという事実だけでなく、テレビでも報道されています。トレヴァーの友人やクラスメート、彼の学校の他の生徒など、トレヴァーに敬意を払うために徹夜する….
ペイ・フォワード 可能の王国 スタッフ
監督:ミミ・レダー
脚本:レスリー・ディクソン
製作:ピーター・エイブラムス,ロバート・L・レヴィ,スティーヴン・ルーサー
製作総指揮:メアリー・マクラグレン,ジョナサン・トレイスマン
音楽:トーマス・ニューマン
撮影:オリヴァー・ステイプルトン
編集:デイビッド・ローゼンブルーム
配給:ワーナー・ブラザース
ペイ・フォワード 可能の王国 キャスト
トレヴァー・マッキニー:ハーレイ・ジョエル・オスメント
中学1年生、11歳の少年。シモネットから世界を変えるための課題を出され、“善意を他人へ回す”という案を思いつき、自ら実行し始める。弱い大人たちを間近で見てきたことから世界を少しでも変えられたらと思うが、自身も勇気が持てないでいる。シモネットから熱心で探究心が旺盛と評されている。母・アーリーンが時々嘘をつくことや隠れて酒を飲もうとするのを嫌がる。趣味はテレビでプロレス観戦すること。
ユージーン・シモネット:ケヴィン・スペイシー
トレバーの社会科のクラスを担当する教師。新入生であるトレバーたちに、今住んでいる世界をより良くするにはどうしたらいいかという課題を出す。生徒たちにも分かりやすい言葉で授業を行うが、プライベートでもこの話し方をするためアーリーンを時に苛立たせることがある。私生活では自身一人の生活は普通に送れるが、顔の辺りにやけど痕があるせいで恋愛に関して躊躇してしまう。
アーリーン・マッキニー:ヘレン・ハント
トレバーの母。夫・リッキーが蒸発したため2つの仕事を掛け持ちしてトレバーを育てている。ただし忙しさもありここしばらく上手く親子関係が築けず悩んでいる。アルコール依存症で、トレバーからお酒を飲まないように言われている。過去に、だらしない性格の実母のせいで家庭環境が悪かったため母とは疎遠状態。酒癖の悪いリッキーに甘く、しばらくぶりに家に戻ってくるとその都度迎え入れてしまう。
クリス・チャンドラー:ジェイ・モーア
記者。ある時自身が他人から善意を受けたことがきっかけで、それが誰かの考えによる善意のリレーだと知り興味を持つ。善意のバトンをもらった人の証言を通じてその都度バトンを渡した人への情報を聞き出し、善意の元をたどっていく。
ジェリー:ジェームズ・カヴィーゼル
薬物中毒の影響でホームレス生活をする。ある日外でお腹を好かせていた時にトレバーと目があったことから、トレバーの家で食事と宿泊をさせてもらう。
グレイス:アンジー・ディキンソン
トレバーの祖母(アーリーンの母)。アーリーンとは長らく疎遠で車上生活を送っている。ある犯罪を犯した男(シドニー)を逃がす手伝いをして善意のリレーをつなぐが、男が善意を他人に回すか不安に感じる。
リッキー・マッキニー:ジョン・ボン・ジョヴィ
トレバーの父。酒癖が悪く酔うとアーリーンに暴力を振るい、家を出て行ってはたまにふらっと戻ってくるという生活をしている。トレバーから憎まれている。
トールセン氏:ゲイリー・ワーンツ
一流弁護士。ある事件を追ったクリスが犯人により車を壊されて困っていた所を偶然通りかかり、新車のジャガーを善意でプレゼントする。
シドニー・パーカー:デヴィッド・ラムゼイ
妹に右腕を刺されてケガをしたため病院に来た男。病院内で銃を発砲する物騒な性格。診察の順番をめぐって医者と口論になる。
ボニー:キャスリーン・ウィルホイト
アーリーンの友人。1年間デート禁止を掲げているアーリーンがシモネットと二人でいるところを目撃し、デートしていると勘ぐる。
アダム:マーク・ドネイト
トレバーのクラスメイト。天然パーマらしき髪型が特徴。同じ学校の3人組にいじめられている。
ミッチェル:ライザ・スナイダー
クリスの彼女。クリスが300ドル費やしてラスベガスまで行って取材しに行くほど価値のあるニュースかどうかを疑う。
橋の上の女性:コリーン・フリン
理由は不明だが、人生に悲観し高架橋から投身自殺を図ろうとする。
ジョーダン:ブラッドリー・ホワイト
詳しい職務は不明だが、知事と共に行動する人物。数年前から取材で知事に近づくクリスとは顔見知り。クリスからある取引を持ちかけられる。
指示をする警官:ユージーン・オスメント
ショーン:ショーン・パイフロム
トールセンの娘:ハンナ・レダー
看護師:ジーネッタ・アーネット
モリー:モリー・ケイト・バーナード
プリンシパル:ティナ・リフォード
警官:バーナード・ホワイト
売店の男:ラスティー・マイヤーズ
中年の男:ボブ・マクラッケン
液体の男2:ティム・デザーン
液体の男3:ジョナサン・ニコルズ