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カサブランカ|第二次世界戦時下に、かつて深く愛し合った末に別れた男女の思いがけない再会と愛の再燃を描く。

映画 カサブランカ
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カサブランカは、1942年公開のアメリカ合衆国の映画。親ドイツのヴィシー政権の支配下にあったフランス領モロッコのカサブランカを舞台に、かつて深く愛し合った末に別れた男女の思いがけない再会と愛の再燃を描く。第16回アカデミー賞にて作品賞・監督賞・脚色賞の3部門を受賞。

カサブランカ 映画批評・評価・考察


カサブランカ(原題:Casablanca)

第2次世界大戦中、戦火が近づくフランス領モロッコで、思いがけない再会を果たす男と女。2人は、かつてパリで愛を誓い合った仲だったが……。そんなドラマティックな物語の中、2人の名優、ハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマンが名好演をたっぷりと披露。挿入歌「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」や、“君の瞳に乾杯”などの名せりふもロマンティックな物語を盛り上げる、やはり名作中の名作と呼ばざるを得ない感動作です。

迷走もあった制作経緯について

監督のマイケル・カーティスはヨーロッパでのキャリアもあるユダヤ系ハンガリー人、カメラ(メイン)のアーサー・エディソンは『西部戦線異状なし』(1930年)でアカデミー撮影賞を受賞しているベテラン、脚本に参加したハワード・コッチは『宇宙戦争』(オーソン・ウェルズによるラジオ放送)に参加した劇作家です。ハリウッドは、以前からヨーロッパの映画産業から人材を引き抜いてきましたが、この時代にも戦地を逃れた思想家、作家、写真家といった多くの人間が集まり、互いに影響を与え合っていたとされます。本作の俳優もスウェーデン出身のバーグマンの他、敵国ドイツやその占領地出身の俳優も多く起用され、ドイツ出身でシュトラッサー少佐役のコンラート・ファイト、撮影当時はドイツ領のハンガリー出身でウーガーテ役のピーター・ローレ、撮影当時はドイツ領のオーストリア出身でヴィクトル・ラズロ役のポール・ヘンリードも出演しています。

 

クランクインの段階で脚本は完成しておらず、書き上げられたシーンを片端から撮影していくという方法が採用されました。エプスタイン兄弟はキャプラに引き抜かれる形でワシントンに移り戻ってくるまでの間はハワード・コッチ一人に責任が負わされることになりました。この混乱に主演のボガートはいらついて楽屋でボヤいていたようです。

 

バーグマンの演じるヒロインが、ボガートとヘンリード、どちらと結ばれることになるかも、撮影直前になっても決まっていませんでした。ヒロインの気持ちがわからないため、監督にどのようになるのか相談していましたが、監督は木で鼻をくくったような冷たい対応しました。芸術家タイプに惹かれるバーグマンを、徹底した職人タイプのカーティス監督は最初から嫌っていました。このようなことはバーグマンをして「本当に困った」と途方にくれさせました。結局、二通りのラスト・シーンを撮影して、良い方を採用しようということになったが、先に撮影した方がスタッフの評価も高く、そのまま使用されることになった。これが現在知られているラスト・シーンになります。

そのようなこともあり、バーグマンはこの映画を失敗作と考えて、長年忘れ去っていました。1974年にバーグマンがロサンゼルスでの講演に招聘され、その講演前にこの映画が上映されました。映画が終わり、演壇に立ったバーグマンは「こんなに良い映画だったんですね」と述べています。

 

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カサブランカ あらすじ(ネタバレ)

まだドイツ軍に占領されない仏領モロッコの都カサブランカは、暴虐なナチスの手を脱れて、リスボンを経由し、アメリカへ行くために、1度は通過しなければならぬ寄港地である。この町にアメリカ人リックが経営しているナイト・クラブは、それら亡命者たちの溜り場だった。

ドイツ軍の将校シュトラッサーは、ドイツ側の飛脚を殺して旅券を奪った犯人を追って到着する。旅券を盗んだウガルテという男は、リックに旅券の保管を頼む。リックはこれをピアノの中へ隠す。リックと奇妙な友情関係にあるフランス側の警察署長ルノーは、シュトラッサーの命をうけてウガルテを逮捕した。そのあとへ、反ナチ運動の首領ヴィクトル・ラスロと妻のイルザ・ラントが現れる。2人はウガルテの旅券を当てにしているのだが、イルザは、この店の経営者がリックであると知って驚く。

憂うつなリックは、店を閉めたあと、盃を傾けながら、彼女とのことを回想する。ドイツ軍侵入直前のパリで、彼はイルザと熱烈な恋に身を焦していた。が、いよいよドイツ軍が侵入して来たとき、2人は一緒に脱れることを約束した。が、彼女は、約束の時間に姿を現さず、そのまま消息を断ってしまったのだった。こうした回想にふけっているとき、イルザが一人で訪れて来た。が、彼は素気ない言葉で彼女を立ち去らせる。

ラズロは闇商人フェラーリの口から問題の旅券はリックが持っているらしいと聞き、彼を訪れて懇請するが、リックは承諾しない。2人の会見の模様を夫から聞かされたイルザは、再びリックを訪れ、パリで彼と恋に陥ちたのは、夫ラズロがドイツ軍に捕われ殺されたと信じ切っていたためであり、約束を破って姿を消したのは出発の直前、夫が無事であることが判明し、しかも病気で彼女の看護を求めていると知ったためである、と事情を語った。これでリックの心もとけ、2人の愛情は甦った。

翌日、リックは署長ルノーを訪れ、ラズロに旅券を渡すからそのとき彼を捕えろ、俺はイルザと逃げる、と語り、手はずを整えさせた。が、その夜、店へラズロとイルザが現れ、ルノーがこれを逮捕しようとしたとき、突然リックはルノーに拳銃をつきつけ、ラズロ夫妻の旅客機を手配するため、飛行場へ電話をかけるように命じた。ルノーは、電話をシュトラッサーへつなぎ、暗に2人が出発しようとしていることを知らせた。飛行場へ赴いたリックはラズロとイルザをリスボン行の旅客機に乗せてやる。一足違いで駆けつけたシュトラッサーは、これを阻止しようとして却ってリックに射殺された。彼の死によってドイツ軍及びヴィシー政府の呪縛から逸したルノーは、リックと相携へてこのカサブランカを脱出し、反独戦線に加わることを誓うのだった。

カサブランカ スタッフ

監督:マイケル・カーティス
脚本:ハワード・コッチ,ジュリアス・J・エプスタイン,フィリップ・G・エプスタイン
原作:マレイ・バーネット,ジョアン・アリスン『皆がリックの店にやってくる』
製作:ハル・B・ウォリス
製作総指揮:ジャック・L・ワーナー
ナレーター:ルー・マーセル
音楽:マックス・スタイナー
撮影:アーサー・エディソン
編集:オーウェン・マークス
製作会社:ワーナー・ブラザース
配給:ワーナー・ブラザース,セントラル映画社

カサブランカ キャスト

リック・ブレイン:ハンフリー・ボガート
イルザ・ラント:イングリッド・バーグマン
ヴィクトル・ラズロ:ポール・ヘンリード
ルノー署長:クロード・レインズ
シュトラッサー少佐:コンラート・ファイト
フェラーリ:シドニー・グリーンストリート
ウーガーテ:ピーター・ローレ
サム:ドーリー・ウィルソン
カール(ウェイター):S・K・サコール
サッシャ(バーテンダー):レオニード・キンスキー
イヴォンヌ:マデリーン・ルボー
アニーナ・ブランデル:ジョイ・ペイジ
エミール(ディラー):マルセル・ダリオ
オランダ人の銀行家:トーベン・マイヤー
リックにカジノ入りを拒否されるドイツ人バンカー:グレゴリー・ゲイ
ギターを持って歌う女性歌手:コリンナ・ムラ
アメリカ人:モンテ・ブルー
ウェイター:レオ・ホワイト

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