武士の献立(ぶしのこんだて)は、2013年公開の日本映画。江戸時代。“刀”ではなく“包丁”で、藩に仕えた武家。“料理”で動乱を乗り越えた、実在の家族の物語。『武士の家計簿』に続き、江戸時代の加賀藩を舞台に描くシリーズ第2弾。御算用者(経理係)として藩に仕えた「そろばん侍」の家族生活を描いた『武士の家計簿』(2010)に続き、君主とその家族の食事をまかなう役目として仕える「包丁侍」の家族を描く。キャッチコピーは「家族の歴史は、毎日の献立とともにあった――」。
武士の献立 映画批評・評価・考察
武士の献立
脚本:35点
演技・演出:17点
撮影・美術:17点
編集:7点
音響・音楽:7点
合計83点
六代藩主の死後、泥沼の政権争い「加賀騒動」の真っただ中を生きた包丁侍が、料理を通して家族力を合わせて難局を乗り越える、実在の家族を描いた感動の物語。次々と登場する、おいしそうな料理も必見!和食の基礎から饗応料理まで、春が伝授する様々な料理は目にも鮮やか! 加賀藩に実在した包丁侍・舟木伝内と息子の安信が遺した献立書「料理無言抄」のレシピをもとに、江戸時代の武家や庶民の食べていた料理を忠実に再現しています。
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武士の献立 あらすじ(ネタバレ)
時は加賀騒動の前後。加賀藩6代藩主・前田吉徳の側室・お貞の方に仕える女中の春は、江戸屋敷で出会った加賀藩台所方・舟木伝内から、彼の息子・安信の嫁にと望まれる。春は一度は断ったが、伝内の熱意に心を打たれ、お貞の方からの助言もあり舟木家への嫁入りを決意する。
兄の急死で跡取りとなった安信は、料理の腕はからっきし駄目であり、御料理人の務めにも身が入らなかった。親戚を招いての試食会で出した料理を身内からも批判される姿を目の当たりにした春は、汁物の味付けをこっそり替えて出す。その行為に立腹した安信であったが、「包丁侍なぞつまらぬ」との暴言に怒った春から「離婚か料理指導か」を賭けた料理勝負を挑まれ敗北、改めて彼女の実力を知る。春のスパルタ料理指導の甲斐あって、安信は徐々に腕も上達し出世していく。安信の昇進を家族はもちろん、親友の今井定之進・佐代夫妻も喜ぶが、春は姑・満との会話から、かつて安信と佐代が恋仲だったことを知ってしまう。
1年後、安信は定之進の推挙で改革派の集まりに参加し、改革派の中心人物である大槻伝蔵と出会う。しかし藩主吉徳が急死、保守派の重臣・前田土佐守直躬らの讒言もあって大槻は失脚する。定之進をはじめとする改革派の面々は改易となるものの下士の身分であった安信には何の咎めもない。時を経て、藩主・前田重煕の暗殺未遂事件が発生する。出家していたお貞の方が首謀者とされて幽閉されたことを知った春は動揺を隠せず、安信の助力を得てお貞の方と再会したが、大槻が自害した後にお貞の方も後を追うことになる。
その後、藩主重煕の国許入りを祝って徳川家や近隣の大名を集めて饗応料理を振舞うことになり、伝内が頭取、安信が頭取補佐を勤めることになる。大槻らを追い込んだ土佐守の指示ということに納得いかない安信は、定之進に誘われ土佐守の暗殺計画に加わろうとする。安信から事情を聞いた春は一瞬の隙をついて安信の刀を奪って逃走し、安信が暗殺に加わることを阻止し、定之進ら残党は全員討たれた。その夜に帰宅した春を手討ちにしようとした安信だったが、春と母の思いを知り断念。挙句に父が倒れ、代わりに春と二人で能登へ食材探しの旅に出る。道中春への思いを新たにする安信だったが、春はある決意を固めていた。
饗応当日、安信は台所方の中心となって料理を振舞い、加賀騒動で地に落ちた加賀藩の面目を保つ。その頃、春は「自分の役目は終わった。舟木家にもっとふさわしい嫁を」と舟木家を去る。役目を終えて帰宅した安信は、春が失踪したことを知らされて藩内を探し回り、能登の海女が集まる店で働いていた彼女に再会し、ようやく二人は分かり合うことが出来たのだった。
武士の献立 スタッフ
監督:朝原雄三
脚本:柏田道夫,山室有紀子,朝原雄三
製作:秋元一孝
製作総指揮:迫本淳一,飛田秀一
ナレーター:中村雅俊
音楽:岩代太郎
主題歌:CHARA「恋文」
撮影:沖村志宏
編集:石島一秀
製作会社:『武士の献立』製作委員会
配給:松竹
武士の献立 キャスト
舟木春:上戸彩
主人公。江戸浅草の料亭の娘として生まれたが、幼くして火事で両親も家も失い、お貞の方に仕える。一度は商家に嫁いだものの気の強さが仇となり1年で離縁される。親譲りの料理の才を見込んだ伝内から「息子に料理を仕込んでほしい」と請われ舟木家に嫁ぐ。4歳年下の夫・安信に「古だぬき」とののしられつつも一生懸命つくすが、夫と佐代との関係を知り自ら身を引こうとする。
舟木安信:高良健吾
伝内の次男で春の夫。包丁侍の家に生まれながら料理よりも剣術が好きで、城下でも指折りの剣の使い手。兄・利安の急死により家督を継ぐことになった現実を受け止められず、当初は料理のことも春のことも侮っていたが、少しずつ心を開いていく。佐代から贈られたかんざしを隠し持っている。終幕後、伝内よりも出世して御料理頭となる。
舟木伝内:西田敏行
安信の父で当代きっての料理人。自ら考案した「鶴もどき」の調理法を春に言い当てられたことに驚き、嫁に来てほしいと懇願する。
舟木満:余貴美子
安信の母。おっとりした性格だが口が軽い。
今井佐代:成海璃子
安信が通う剣術道場「養心館」の跡取り娘で定之進の妻。幼馴染の安信と結婚するつもりだったが破談となり、家を守るために定之進を婿に迎える。加賀騒動で失脚した夫ともども国を追われる。
今井定之進:柄本佑
安信の幼馴染で佐代の夫。「養心館」の師範を務める。大槻伝蔵を尊敬している。
お貞の方(真如院):夏川結衣
加賀藩6代藩主吉徳の側室。春をかわいがっていた。柚餅子(ゆべし)が好き。
大槻伝蔵:緒形直人
前田土佐守直躬:鹿賀丈史
浜路:ふせえり
お貞の方の側近
景山多聞:宮川一朗太
安信の上司
たみ:海老瀬はな
舟木家女中
浜口正太郎:浜野謙太
安信の同僚
薬売り:笹野高史
前田吉徳:猪野学
語り(声):中村雅俊
他:綾田俊樹,和泉ちぬ,加藤満,掛田誠,三星登史子,峰蘭太郎,木谷邦臣 ほか