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英国王のスピーチ|吃音に悩む英国王ジョージ6世が自らを克服し、国民に愛される真の王になるまでを描く。

英国王のスピーチ
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英国王のスピーチは、2010年公開のイギリス・オーストラリア・アメリカ合衆国合作映画。吃音(きつおん)に悩む英国王ジョージ6世が周囲の力を借りながら克服し、国民に愛される王になるまでを描く実話に基づく感動作。第83回アカデミー賞では作品賞など4部門を受賞した。

英国王のスピーチ 映画批評・評価・考察


英国王のスピーチ(原題:The King’s Speech)

脚本:36点
演技・演出:18点
撮影・美術:17点
編集:8点
音響・音楽:7点
合計86点

後に英国王となるヨーク公アルバート王子にとって、吃音症は克服すべき最大の課題だった。そんな王子は、ある言語聴覚士や家族の支えもあって少しずつ吃音症を克服し、世紀の一大スピーチに臨んだ……。感動の実話を再現し、第83回アカデミー賞で作品賞など4部門に輝いた秀作!

 

同年に映画賞レースで注目された「ソーシャル・ネットワーク」よりも本作が支持された理由は、「ソーシャル~」がコミュニケーションの難しさを取り上げたのに対し、国民とコミュニケーションせねばならない主人公の姿を真摯に真正面から描いたところを評価されたのかもしれません。アカデミー主演男優賞に輝いたコリン・ファースの熱演も必見です。

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英国王のスピーチ あらすじ(ネタバレ)

1925年、大英帝国博覧会閉会式で、ヨーク公アルバート王子はエリザベス妃に見守られ、父王ジョージ5世の代理として演説を行った。しかし、吃音症のために悲惨な結果に終わり、聴衆も落胆する。アルバート王子は吃音症を克服しようと努力してきたが、改善できた医師は誰1人としていなかった。

エリザベスはアルバート王子を説得してロンドンへ連れ出し、オーストラリア出身の言語聴覚士であるライオネル・ローグのオフィスをともに訪れる。独自の手法で第一次世界大戦の戦闘神経症に苦しむ元兵士たちを治療してきたローグは患者と対等な関係を求め、王室に対する礼儀作法に反してアルバート王子を愛称の「バーティ」と呼びつけ、自身のことは「ローグ先生」ではなく「ライオネル」と呼ばせる。ローグの無作法に反発し帰りかけたアルバート王子に、ローグはシェイクスピアの『ハムレット』の台詞を朗読できるかどうか、賭けを持ちかける。ローグは大音量の音楽が流れるヘッドフォンをつけさせ、アルバート王子には自身の声が聞こえない状態にすると、その声をレコードに録音する。アルバート王子が途中で腹を立てて中断すると、ローグは録音したばかりのレコードを手渡し、帰っていくアルバート王子を見送った。

録音装置の載っている机で原稿用紙を手にした男性
劇中で再現された、1934年のジョージ5世のクリスマス・ラジオ中継の様子
クリスマス恒例のラジオ中継の後、父王ジョージ5世は、新時代における放送の重要性と共に、アルバート王子の兄デイヴィッド王太子は次期国王に不適格であり、アルバート王子が王族の責務をこなさなければならないと厳しく接する。帰邸後、苛立ったアルバート王子がローグから受け取ったレコードを再生すると、聴こえてきたのは自分の滑らかな発声だった。アルバート王子は改めてローグに治療を依頼し、口の筋肉をリラックスさせる練習や、呼吸の訓練、発音の練習などを繰り返し行う。やがてアルバート王子は、ローグに自身の不遇な生い立ち(右利きでないことを罰せられ矯正された、乳母に虐待されたなど)や、吃音を兄達に揶揄されたこと、末弟ジョン王子の死去について打ち明けるまでになり、2人の間に友情が芽生えていく。

1936年1月、ジョージ5世が崩御し、デイヴィッド王子が「エドワード8世」として国王に即位する。しかし、新国王が結婚を望んでいたウォリス・シンプソン夫人はアメリカ人で、離婚歴があるだけでなく2番目の夫といまだ婚姻関係にあったため、王室に大きな問題が起こるのは明白だった。その年のクリスマス、ヨーク公夫妻はバルモラル城で開かれたパーティで、城周辺の木が無残に切り倒される光景や、国王とシンプソン夫人の下品な姿を目の当たりにする。見かねたアルバート王子がエドワード8世に、英国国教会の長でもある国王は離婚歴のある女性と結婚できないことを指摘すると、王は兄を蹴落として王位に着くつもりかと責め、吃音治療もそのためかとからかってきた。

エドワード8世の醜聞を聞いたローグは、代わりに国王に即位するべきだとアルバート王子を説得するが、王子は「それは反逆罪に当たる」「田舎出身の平民に言われる筋合いはない」と怒り、ローグのもとから去ってしまう。

エドワード8世がウォリスとの結婚を強行すると、スタンリー・ボールドウィン首相やウィンストン・チャーチル元海軍大臣らの反対を受け、即位から1年も経たず退位することになる。アルバート王子は「ジョージ6世」として即位するが、彼の吃音症は依然として深刻なままで、王位継承評議会での宣誓は散々なものであった。一方ヨーロッパ大陸では、アドルフ・ヒトラー率いるナチ党政権下のドイツが台頭し一触即発の機運となっており、大英帝国は国民の統一を促す国王を必要としていた。国王の重責に耐えかねて海軍士官しか務めたことがないとエリザベス妃に不安を吐露したジョージ6世は、再びローグを訪ねると互いに謝罪し、治療を再開する。

戴冠式の準備が進む中、カンタベリー大主教コスモ・ラングはローグを国王から遠ざけようと試みるが、国王はローグを臨席させると譲らない。しかし、2人きりで式の段取りを確認する際、身辺調査によりローグにはなんの医療資格も持たないことを知ったジョージ6世は、不安と動揺からローグを問い詰める。するとローグは、彼が目を離した隙に戴冠式で使われる椅子に座ってみせて挑発する態度を取る。ジョージ6世は激怒して怒鳴り散らし、ローグによって「私は国王だ。国民に聞かせる声がある」という言葉を引き出される。戴冠式での宣誓は滞りなく進行し、ジョージ6世はその様子をニュース映画で家族とともに鑑賞したところ、続けて再生されたアドルフ・ヒトラーの巧みな演説に強い印象を受けていた。

やがて、ボールドウィン首相の後を継いだネヴィル・チェンバレン首相の宥和政策は失敗し、1939年9月1日のポーランド侵攻を受けて、9月3日に英国はドイツに宣戦布告、第二次世界大戦が始まる。同日、ジョージ6世は大英帝国全土に向けて国民を鼓舞する緊急ラジオ放送を行うことになる。緊迫した状況の中、ジョージ6世はローグと2人きりの放送室で9分に及ぶ演説に挑み、見事にこなしてみせた。放送室から出てきたジョージ6世は、報道用に堂々と原稿を読む姿を撮影すると、エリザベス王妃、そしてエリザベス王女・マーガレット王女とともに宮殿のバルコニーに出て、待ち構える大衆に手を振る。その様子をローグは満足げに見守るのだった。

英国王のスピーチ スタッフ

監督:トム・フーパー
脚本:デヴィッド・サイドラー
製作:イアン・カニング,エミール・シャーマン,ガレス・アンウィン
製作総指揮:ポール・ブレット,マーク・フォリーニョ,ジェフリー・ラッシュ,ティム・スミス,ハーヴェイ・ワインスタイン,ボブ・ワインスタイン
音楽:アレクサンドル・デプラ
撮影:ダニー・コーエン
編集:タリク・アンウォー
製作会社:ワインスタイン・カンパニー,シー・ソウ・フィルムズ,ベッドラム・プロダクションズ
配給:モメンタム・ピクチャーズ,ギャガ

英国王のスピーチ キャスト

ジョージ6世:コリン・ファース
ライオネル・ローグ:ジェフリー・ラッシュ
エリザベス妃:ヘレナ・ボナム=カーター
エドワード8世:ガイ・ピアース
ウィンストン・チャーチル:ティモシー・スポール
大司教コスモ・ラング:デレク・ジャコビ
マートル・ローグ:ジェニファー・イーリー
ジョージ5世:マイケル・ガンボン
スタンリー・ボールドウィン:アンソニー・アンドリュース
ネヴィル・チェンバレン:ロジャー・パロット
ウォリス・シンプソン:イヴ・ベスト
エリザベス王女:フレイア・ウィルソン
マーガレット王女:ラモーナ・マルケス
メアリー王太后:クレア・ブルーム
グロスター公爵:ティム・ダウニー
ロバート・ウッド:アンドリュー・ヘイヴィル
ラジオアナウンサー:エイドリアン・スカボロ

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