悪魔を憐れむ歌(あくまをあわれむうた)は、1998年公開のアメリカ合衆国の映画。黒人刑事と彼に取り憑く悪霊との闘いを描いたホラー。デンゼル・ワシントン主演のオカルト・ミステリー映画。「真実の行方」で名をはせたクレゴリー・ホブリット監督作品。
悪魔を憐れむ歌 映画批評・評価・考察
悪魔を憐れむ歌(原題:Fallen)
脚本:30点
演技・演出:14点
撮影・美術:13点
編集:8点
音響・音楽:7点
合計72点
名優の共演で、その高い演技力でサスペンスホラーを盛り上げる。人間の体に乗り移ることで殺人を繰り返す悪霊と痕跡から捜査を進める刑事が対決する筋の物語で、映像的恐怖感というものはなく、ミステリー要素が面白い作品。『セブン』や『ヒドゥン』に似ているようにも思える。また、デンゼル・ワシントン、ジョン・グッドマン、ドナルド・サザーランドの演技には目を見張るものがあり、作品の質を高めているし、作品の内容からして必要不可欠な存在だった。
悪魔を憐れむ歌 あらすじ(ネタバレ)
連続殺人犯のエドガー・リース(イライアス・コティーズ)は、フィラデルフィア警察のジョン・ホブズ刑事(デンゼル・ワシントン)によって逮捕され、裁判で死刑の判決を受けて処刑されることになる。
死刑執行の日、ホブズや上司のスタントン警部補などによる立ち会いのもとで電気椅子によるリースの処刑が行われたが、彼は処刑間際に謎の呪文を唱え、ローリング・ストーンズの「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」を陽気に歌い、「早く殺せ」などと死刑執行人たちを挑発していた。
だが、その直後から、犯行現場に謎のメッセージを残す、リースと同じ手口の連続殺人が続発。捜査が進むうち、名刑事でありながら殺人容疑をかけられ、謎の死を遂げたロバート・ミラノ警部補の名前が浮かぶ。ホブスは真相を知るべくミラノの娘で神学教授であるグレタ(エンベス・デイヴィディッツ)に会うが、彼女は多くを語らない。上司のサントン警部補(ドナルド・サザーランド)も口を閉ざす。
ホブスはミラノが死んだ山荘でAZAZEL(アザゼル)の言葉を発見する。グレタを再訪したホブスは、アザゼルとは荒野の悪霊の意味で、それは接触することで人から人へ憑依していく邪悪の化身で、今回の連続殺人の元凶だと聞かされる。信じられないホブスだったが、事件はさらに続き、アザゼルは彼自身を犯人に仕立て上げて追い詰めていき、ついに同居人の愛する弟の命を奪う。唯一の理解者でパートナーのジョーンジー刑事(ジョン・グッドマン)の連絡で、逮捕される寸前にホブスは幼い甥を連れて身を隠す。
かくして、ホブスは甥をグレタに託し、自身は雪深いミラノの山荘に籠もる。そこへサントンとジョーンジーが追ってくる。ジョーンジーに憑依したアザゼルがサントンを殺し、ホブスに迫る。だが、ホブスはその前に毒を飲み、彼の前で自ら命を絶った。罪なき人々からアザゼルを引き離すため、ホブスは自身を犠牲にしたのだが、アザゼルは滅びなかった……。
悪魔を憐れむ歌 スタッフ
製作総指揮:イーラン・ダーショヴィッツ,ニコラス・カザン,ロバート・キャヴァロ,テッド・カーディラ
製作:チャールズ・ローヴェン,ドーン・スティール
監督:グレゴリー・ホブリット
脚本:ニコラス・カザン
撮影:ニュートン・トーマス・サイジェル
美術:テレンス・マーシュ
音楽:タン・ドゥン
衣装:コリーン・アトウッド
タイトルデザイン:カイル・クーパー
配給:ワーナー・ブラザース
悪魔を憐れむ歌 キャスト
ジョン・ホブズ刑事:デンゼル・ワシントン
ジョーンジー刑事:ジョン・グッドマン
スタントン警部補:ドナルド・サザーランド
グレタ・ミラノ:エンベス・デイヴィッツ
ルー刑事:ジェームズ・ガンドルフィーニ
エドガー・リース:イライアス・コティーズ
アート・ホブズ:ガブリエル・カソーズ
チャールズ・オーラム:ロバート・ジョイ
サム・ホブズ:マイケル・J・ペイガン
チャールズを殺した人:フランク・メドラノ
マイク:レノ・ウィルソン
トビー:トニー・マイケル・ドネリー
大学生:ジェイソン・ウィンストン・ジョージ
ティファニー:アイダ・タートゥーロ
警察官:バリー・シャバカ・ヘンリー
ジョー刑事:クレス・ウィリアムズ
刑務官:マイケル・シェイマス・ワイルズ
監視員:ジム・グリムシャウ