インディ・ジョーンズ/最後の聖戦は、1989年に公開されたアメリカ合衆国の映画。キリストの血を受けたといわれる伝説の聖杯をめぐって活躍するインディアナ・ジョーンズの姿を描くシリーズ第3作。全世界で4億7,430万ドルの興行収入を記録し、批評的にも興行的にも成功を収めた。第62回アカデミー賞では音響編集賞を受賞。2008年には、続編の『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』が公開された。
インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 映画批評・評価・考察
インディ・ジョーンズ/最後の聖戦(原題:Indiana Jones and the Last Crusade)
脚本:38点
演技・演出:20点
撮影・美術:18点
編集:9点
音響・音楽:10点
合計95点
『魔宮の伝説』が必要以上に暗い作風になったことを後悔したルーカスとスピルバーグは、本作を『レイダース』のようなエネルギッシュな楽しい作品に戻すことを考えました。それにより、マーカス・ブロディとサラーの再登場も決定しました。スピルバーグは三部作を完成させることは別として、本作を監督する理由の1つに「2番目の映画でのキャラクターの扱いに対してファンに謝罪すること」にありました。また、インディの父親であるヘンリー・ジョーンズ役に関して、このシリーズは元々スピルバーグが「007」シリーズのような作品を作りたいとルーカスに話したことがきっかけで作られた作品であり、スピルバーグは「インディ・ジョーンズの父親を演じれるのは、初代ジェームズ・ボンドであるショーン・コネリー以外はありえない」と考えていました。そのため、第二候補にグレゴリー・ペックが挙がったりはしたものの、真っ先に役はコネリーに依頼されました。コネリーは当初、インディ役のハリソン・フォードとの実際の年齢差は12歳であることからオファーを受けるか悩みましたが、脚本を気に入ったことで最終的に受諾しました。後にコネリーは、ヘンリー・ジョーンズ役が生涯で一番好きな役だと語っています。引退後にあったシリーズ4作目への出演オファーを辞退した際には「隠居生活から私を映画に引き戻せるとすれば『インディ・ジョーンズ』しかないだろう」とかなり悩んでの辞退だったことを明かしています。
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インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 あらすじ(ネタバレ)
12年、アメリカのユタ州。中世史教授を父に持つ13歳の少年インディ・ジョーンズ(リヴァー・フェニックス)は、砂漠の岩山の下の洞窟で、3人の悪党が宝の十字架を盗もうとしているのを目撃し、それを奪い逃亡するが、結局悪党一味に丸め込まれてしまい、彼の知恵と勇気をほめる悪党の1人からカウボーイ・ハットを受け取るのだった……。
それから26年後の38年、ニューヨーク大学の考古学教授で冒険好きのインディ(ハリソン・フォード)はある日、富豪ウォルター・ドノヴァン(ジュリアン・グローヴァー)のペントハウスに連れてゆかれ、責任者の失踪によって頓挫している、磔にされたキリストの血を受けた聖杯の発見を依頼される。はじめ渋るインディは、行方不明になったのが父ヘンリー(ショーン・コネリー)であることを知り、それを引き受けた。ところが友人で父の旧友の考古学博物館長マーカス・ブロディ(デンホルム・エリオット)と共に父の家に向かったインディは、家が何者かによって荒らされている事に、その理由は父から送られてきた聖杯探索の調査記録であることを直感する。
インディとマーカスは、ヴェニスで父の同僚シュナイダー博士(アリソン・ドゥーディ)と合流し、古い教会を改装した図書館を訪問、父の聖杯日誌のおかげで地下墓地を発見し、聖杯のありかの手がかりをつかんだ。そしてインディは、悪者の手から聖杯を守るべく活動してきた<十字剣兄弟団>のカジムから、父がオーストリアとドイツの国境にあるブルンワルト城に閉じこめられていることを聞いた。シュナイダーと共に城に向かったインディは、ナチも聖杯を探していることを知り、幽閉されていた父との再会もつかの間、シュナイダーの裏切りによってインディ親子は残忍なフォーゲル大佐(マイケル・バーン)の捕虜にされ、聖杯日誌も奪われてしまう。
何とか城から脱出したインディとヘンリーは、さまざまなトラブルの末、最後にはフォーゲル大佐との一騎打ちとなり、命からがら勝利を収めるが、聖杯が隠されている<太陽の神殿>に向かい、ウォルターやシュナイダーを始めとするナチの探検隊に捕まってしまう。インディは、ウォルターによって腹部を撃たれたヘンリーを助けるために、3つの難関を乗り越え、聖杯を手にするが、その瞬間神殿が崩れ始め、聖杯獲得に色気をみせたシュナイダーは、聖杯と共に神殿の底に沈んでいった。結局聖杯を手にすることはできなかったが、インディとヘンリーは改めて親子の愛情を確認しあうのだった。
インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 スタッフ
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:ジェフリー・ボーム
製作:ロバート・ワッツ
製作総指揮:ジョージ・ルーカス,フランク・マーシャル
音楽:ジョン・ウィリアムズ
撮影:ダグラス・スローカム
編集:マイケル・カーン
製作会社:ルーカスフィルム
配給:パラマウント映画,UIP
インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 キャスト
インディ・ジョーンズ:ハリソン・フォード
主人公。アメリカ人で有名な考古学者にして無類の冒険家。家庭を顧みず聖杯探索にのめり込んでいた父親とは確執があるが情は持っており、聖杯探索中に行方不明になった父親を探すべく冒険に立ち上がる。父親に本名の「ジュニア(ヘンリー・ジョーンズ Jr.)」と呼ばれており、これを嫌がっている。
インディ(少年時代):リヴァー・フェニックス
12歳頃のインディ。この頃から正義感が強く行動力に富んでいた。ボーイスカウト活動の最中、コロナドの十字架の盗掘を目撃。十字架を博物館に収めるべく盗掘団と争うが、最後は出し抜かれる形で敗北した。
ヘンリー・ジョーンズ:ショーン・コネリー
インディの父親で、同じく考古学教授。中世文学の教授であった。聖杯探索の第一人者。これまでの聖杯研究はすべて自身の手帳に記録しており、その手帳を狙うナチスに捕らわれる。平和主義な考えを持つ。修羅場を何度もくぐるようになるまでは、戦いで相手を殺すことがあるインディと異なり殺人は忌避していた。聖杯研究に没頭した影響で妻を病に気づかず死なせてしまった過去があり、その事からインディとは確執を持っていた。信心深い性格で、インディが神を冒涜するような発言をした時は叱責しており、物語終盤にインディから「冒険を通して何を見つけたか」を尋ねられた際は「Illumination(輝き)」と答えた。
エルザ・シュナイダー:アリソン・ドゥーディ
今作のヒロイン。オーストリア人の考古学者で、ヘンリーの助手を務めていた。知的な美女だが、平常心に欠ける一面があり、聖杯についても学術的な興味以上に物欲的な方が優っている。そのことが後述の惨劇を招き、そして自分の末路へも繋がってしまった。聖杯を手にいれるためにナチスと手を結んでいるが、ナチズムにはあまり共感せず、ナチスの焚書を目のあたりにして悲嘆の涙を流す場面もあった。聖杯を見つけた後、作動したトラップによって発生した地面の裂け目に落ちかけたところをインディが救おうとするが、同じく落ちかけている聖杯に目がくらんだ結果、奈落の底へと落ちていった。
ウォルター・ドノバン:ジュリアン・グローヴァー
アメリカの大富豪で、ブロディの博物館のスポンサー。ヘンリーやインディにキリストの聖杯捜索を依頼したが、その正体はナチス党員であり、聖杯を手に入れ「永遠の生命」を得ようと画策していた。冷酷な男で、作中では「ツボのために母を売る」とまで言われる。エルザが(未必の故意により)誤って選んだ偽の聖杯で水を試飲したところ、呪いから急速に体が老化し骸骨となり死亡した。
マーカス・ブロディ:デンホルム・エリオット
大学の副学部長でインディの上司。博物館の館長でもある。ヘンリーとは学生時代からの旧友でインディのことも気にかけている。ナチスに捕まってしまうがジョーンズ父子に助けられる。シリーズ第1作とは異なり、自分の博物館で迷うほど方向音痴であるなど抜けた性格が強調され、ヘンリーとインディから裏で「間抜けな男」と呼ばれることもあった。
サラー:ジョン・リス=デイヴィス
インディの友人で、エジプトの発掘王。シリーズ第1作に引き続き、インディらに協力する。演じたジョン・リス=デイヴィスによると、サラーはシリーズ第1作から本作の間で発掘業をやめており、骨董屋を営んでいたため少し裕福になったという設定があるという。
フォーゲル大佐:マイケル・バーン
ナチス親衛隊大佐で、聖杯捜索隊指揮官。エルザやドノバンと組みインディ親子を追い捕縛する。インディとの戦車上での一騎討ちの末、戦車もろとも崖から転落死した。
カジム:ケヴォルク・マリキャン
十字剣兄弟団のリーダー。先祖代々から聖杯の秘密を約千年にわたり守っている。聖杯の秘密に近づくインディを襲撃するも、最後は話し合いで和解。その後、聖杯を探すドノバンを仲間と襲った際に、銃撃されたことで死亡した。
フェドラ:リチャード・ヤング
盗掘団のリーダー。コロナドの十字架を掠め取った若きインディの根性を褒め、後に彼のトレードマークとなった帽子をプレゼントする。フェドーラの格好も現在のインディと通ずるものがあり、若き日のインディが大きな影響を受けたことがうかがえる。
アドルフ・ヒトラー:マイケル・シェアード
群衆の中でドイツ陸軍将校に変装したインディと偶然遭遇。目の前で立ちすくんだインディを見て信奉者の一人だと思い、手に持っていた手帳を取り上げてサインをした。
老騎士:ロバート・エディソン
パナマ・ハット:ポール・マクスウェル
ハーマン:J・J・ハーディ
ロスコー:ブラッドリー・グレッグ
ハーフ・ブリード:ジェフ・オハコ
サルタン:アレクセイ・セイル
保安官:マーク・マイルズ
アイリーン:ジュリー・エクルズ
執事:ヴァーノン・ドブチェフ
ドノバン夫人:イズラ・ブレア