インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説は、1984年公開のアメリカ合衆国の映画。冒険家インディ・ジョーンズが、ナイトクラブの歌姫、中国人少年とともにインドの宮殿でくりひろげる冒険を描く。「レイダース 失われた聖櫃<アーク>」(1981)の続編で、前作の舞台となった36年より1年前の35年から話は始まっている。第57回アカデミー賞では視覚効果賞を受賞。1989年には、続編の『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』が公開された。
インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 映画批評・評価・考察
インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説(原題:Indiana Jones and the Temple of Doom)
脚本:35点
演技・演出:18点
撮影・美術:17点
編集:10点
音響・音楽:10点
合計90点
「インディ・ジョーンズ」シリーズの2作目であり、前作『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』の前日譚になります。暗い作風でグロテスクな描写が多い反面、アドベンチャーの要素やコメディ色が強い作品でもあり、シリーズを通して最も異質でインパクトのある作品だと評価されています。初公開後、批評は賛否両論でしたが興行的には成功を収めました。
前作と同じく荒唐無稽な作品になることから、「観客に理屈を考える暇を与えない」ほどテンポの良さを目指したそうです。そのため、最初は約115分の作品となりましたが、試写でルーカスとスピルバーグは逆に「速すぎる」と感じたため、観客の「呼吸の余地を元に戻す」場面を加えたりアクションを少し遅くするなどして、上映時間は118分となりました。
レイダース/失われたアーク《聖櫃》と同様にアドベンチャー映画の金字塔ともいえる作品です。特にトロッコの演出は、様々な別映画にオマージュされインスパイアされています。
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インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 あらすじ(ネタバレ)
1935年、上海。ナイトクラブ「オビ・ワン」では歌姫ウィリースコット(ケイト・キャプショー)が「エニシング・ゴーズ」を歌っていた。あるテーブルでは、考古学者で冒険家のインディ(ハリソン・フォード)が上海の犯罪王ラオ・チェー(ロイ・チャオ)と取引をしていた。インディがラオの先祖であるヌルハチ皇帝の位牌を入手し、ダイヤと交換したのだ。だがラオは彼に毒を飲ませ、ダイヤを取り返そうとする。解毒剤とダイヤをめぐっての乱闘、銃撃騒動の末、インディはウィリーと一緒に逃げ出し、中国人少年ショート・ラウンドことショーティ(キー・ホイ・クァン)を連れて上海空港へ急いだ。3人を乗せた飛行機は、実はラオのもので、操縦士2人は、インディらが眠ってるうちにバラシュートで脱出してしまう。危ういところで気がついたインディらは救命ボートに乗り込み、飛行機から脱出。ボートは雪の斜面をくだって川へ。3人はインドに不時着したのだ。
それを1人の老人が見ていて、メイアブール村に案内する。3人が神からつかわされた伝説の救い主だと信じる村人。村の畑は荒れ果てている。長老の話ではパンコット宮殿から来た者たちに、村の聖なる石を奪われ、子供たちを連れ去られたという。インディはその石サンカラ・ストーンを取り戻してくれと頼まれた。翌朝、三人は象に乗り、パンコット宮殿へ向かう。森を抜け、壮大な宮殿に入った3人は、宰相チャター・ラル(ロシャン・セス)の出迎えを受ける。インディは幼いマハラジャの支配するこの宮殿に、邪悪な空気が満ちているのを感じる。宮殿で会ったイギリス軍のブランバート大佐は、「一世紀前、この地方を恐怖に陥れたカーリ教集団は絶滅したはずだ」と言う。その夜、寝室にもどったインディを殺し屋が襲うが、逆にやっつけてしまう。壁の裏に秘密の通路を発見して、インディらは中へ入る。通路には無数の虫が蠢き、あやうく串刺しにされそうになったりした。
やがて、3人はカーリ神の宮殿を見つけた。司祭モラ・ラム(アムリッシュ・プリ)は、生け贄をカーリ神に捧げ、多くの信者たちが盲目的に祈っていた。儀式が終わって皆がいなくなると、インディは祭壇に近づきそこから黄金色に輝く3つのサンカラ・ストーンを取り出し、袋に入れる。祭壇の裏では子供たちが採掘作業をやらされていた。衛兵に見つかってインディは捕われの身に。モラ・ラムは「サンカラ・ストーンは全部で5つあり、100年前にイギリス軍によって鎮圧された時、2つは埋められた。今、残る2つを子供たちに発掘させているのだ」と言う。
インディはカーリの血を飲まされ、ウィリーが生け贄にされようとしても、空ろな表情をしている。ショーティは松明でインディを刺激する。正気を取りもどしたインディは反撃に出る。子供たちは逃げ出し、インディ、ウィリー、ショーティはトロッコで脱出をはかった。モラ・ラムが貯水タンクを破壊したので、奔流に襲われ、あやうく難を逃れる3人。吊り橋で、インディとモラ・ラムは対決した。モラ・ラムは川に落ち、ワニの餌食になった。インディら3人が無事にメイアプールの村に戻ると、村人は歓声をあげて出迎えてくれるのだった。
インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 スタッフ
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:ウィラード・ハイク,グロリア・カッツ
原案:ジョージ・ルーカス
製作:ロバート・ワッツ
製作総指揮:ジョージ・ルーカス,フランク・マーシャル
音楽:ジョン・ウィリアムズ
撮影:ダグラス・スローカム
編集:マイケル・カーン
製作会社:ルーカスフィルム
配給:パラマウント・ピクチャーズ,CIC
インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 キャスト
インディ・ジョーンズ:ハリソン・フォード
主人公。有名な考古学者にして無類の冒険家。マフィアとの抗争で上海を脱出した後、飛行機がインドに墜落。そこでパンコット宮殿とサンカラストーンを巡る冒険に巻き込まれる。
ウィリー・スコット:ケイト・キャプショー
上海のクラブ「オビ=ワン」の歌姫。店の中で起きたインディとマフィアの抗争に巻き込まれ、成り行きでインディに同行することになる。シリーズヒロインの中では都会派の女性。インディのせいで危険な目に遭い続けて当初は険悪なムードになるが、ロマンチックな関係を築く。
ショート・ラウンド:キー・ホイ・クァン
インディに拾われた戦災孤児。インディへの尊敬の念が強く、彼の助手として働いている。インディ、ウィリーと共にパンコット宮殿に向かう。
モラ・ラム:アムリッシュ・プリー
邪神カーリーを崇拝する邪悪な教団「サギー教」の司祭。怪しげな呪文を唱え、人間の心臓を素手で抉り取る異能の持ち主。彼に心臓を抉り取られた者はすぐには絶命せず、傷口も一瞬でふさがる。悪魔の血を飲ませる独特の儀式を行うことで人々を洗脳する。マハラジャのザリムを洗脳することで、実質的にパンコット宮殿そのものを手中に収めている。自分が助かるために部下を犠牲にする自己中心的な性格。宮殿の深部で子供達を奴隷にし、サンカラストーンを探させている。サンカラストーンを取り返そうとするインディ達を狙う。
チャター・ラル:ロシャン・セス
マハラジャに仕える、パンコット宮殿の宰相。サギー教の存在を否認していたが、正体はサギー教団員だった。
ブランバート:フィリップ・ストーン
イギリス軍大尉。定期的にインドに視察に来ている。終盤で正気を取り戻したザリム・シンの要請でインディ達に加勢し、モラ死後その残党を制圧する。
ラオ・チェ:ロイ・チャオ
「犯罪王」と呼ばれる上海暗黒街のボスで満洲系。インディに満洲族の始祖「ヌルハチ」の遺骨を手に入れさせるが、彼を裏切り毒を盛る。
ウー・ハン:デヴィッド・ヴィップ
インディの友人。ラオとの取引の際に、「オビ=ワン」のウェイターを装ってインディに同行する。ラオたちに隠し持った拳銃を向けるが、逆に撃たれて死亡する。
シャマン:D・R・ナーナヤッカーラ
インディ達が訪れたインドの村「メイアプール」の長老。インディ達にサンカラストーンの奪還を依頼する。
ザリム・シン:ラジ・シン
パンコット宮殿の若きマハラジャ。眉目秀麗にして国王としての政治意識の高い立派な少年であるが、意図せずして邪教・サギー教の手に落ち、洗脳されてしまう。その後、国王・守護神として煌びやかで華奢な正装に身を包み、インディ一行を歓待する。インディにそっくりな姿の呪いの人形を銀のヘアピンで刺し、本人を苦しめる。その後、ショートの活躍で洗脳が解け、彼に宮殿の出口を教え、終盤にはインディ達を助けるためブランバート率いるライフル部隊を連れてきた。
カオ・カン:リック・ヤン
チェン:チュア・カー・ジョー
ウェバー:ダン・エイクロイド
族長:ダーマダサ・クルップ
チーフ・ガード:パット・ローチ