小さな恋のメロディは、1971年公開のイギリス映画。恋をした十一歳の男の子と女の子を中心に子供たちの純粋な行動が周囲の大人たちをとまどわせ、困らす数々の事件を起こしていく。製作はデイヴィッド・パトナム、監督はワリス・フセイン、脚本はアラン・パーカー、音楽はビージーズが〈メロディ・フェア〉〈ファースト・オブ・メイ〉〈イン・ザ・モーニング〉を、クロスビー・スティルズ・ナッシュ・アンド・ヤングが〈ティチ・ユア・チルドレン〉を演奏している。
小さな恋のメロディ 映画批評・評価・考察
小さな恋のメロディ(原題: Melody)
脚本:40点
演技・演出:20点
撮影・美術:20点
編集:10点
音響・音楽:10点
合計100点(満点)
アメリカでの公開はイギリス公開に先立ちましたが、ヒットはしませんでした。さらにはイギリスでは散々叩かれる事態に。デビッドとアランを救ったのは、『小さな恋のメロディ』と題された日本での大ヒットでした(この他に南米諸国、特にアルゼンチン、チリでもヒットしている)。日本での人気は非常に根強く、定期的にオリジナル・サウンドトラック盤が欠かさず生産され続けています。この映画のテーマ曲は日本人なら老若男女、一度は聞いたことがあると思います。
イギリスの厳しい格差社会を投影しつつ、それへの反抗を子供を通して映し出したこの映画は「大人社会からの独立戦争」を描いています。「結婚式」を取り締まるべく現れた教師たちでしたが、爆弾マニアの少年が作った初めての成功作によって総崩れになり、少年少女2人が一緒にトロッコを漕いで出発していくラストは、”Don’t trust over thirty”(30歳以上は信用するな)の時代の雰囲気を伝えています。また一方で、明らかに中産階級のマダムの一人息子であるダニエルと、労働階級の娘であるメロディの出会い、労働階級出身とみえるオーンショーとの友情という、イギリスの階級格差が少年少女の恋愛というセッティングの中で無視されているという面白さもあります。
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小さな恋のメロディ あらすじ(ネタバレ)
少年軍の帰り、ダニエル・ラティマー(M・レスター)を迎えに来た母親(S・スティーフェル)の車に勝手に乗り込んだのがトム・オーンショー(J・ワイルド)だった。二人は同級生。イギリス国教のコチコチ神父が校長(J・カズンス)の学校だが、生徒はのびのびとし、彼らの世界は生き生きとしていた。トムは中でもガキ大将である。ダニエルは気の弱い美少年だが、なぜか気の合う二人は学校の帰りバスに乗って繁華街に遊びに行き、街中駈けめぐって楽しい時を通した。二人は互いに心の友を持ち合った気がした。夕方、遊びに夢中で遅くなったと気づいた時、ダニエルは料金が高いタクシーを呼び止めトムもやむなく乗った。金持ちの家に育ったダニエルに、トムは嫉妬を感じるが、ダニエルにはよく呑み込めない。ある日、学校で女子生徒がバレエの練習をしているのをのぞき見して見つかるが、その中に素敵な女の子を発見し、ダニエルは魅せられてしまう。それ以来、ダニエルは勉強も手につかず、おまけに運動会では、彼女の顔を思い浮べ夢中に走って一等になってしまったりの毎日が続いた。彼女の名はメロディ(T・ハイド)。ダニエルはいつもメロディの後からついて歩いていき、メロディも友達からダニエルの恋心を知らされ、次第にダニエルの優しさに魅かれていった。宿題を忘れたダニエルとトムは放課後先生からお尻をしたたか殴られるが、泣き顔で先生の部屋から出てきたダニエルをメロディが待っていた。トムは嫉妬を感じて引き止めようとするがダニエルとメロディは駆け出して行った。墓地で語りあう二人は互いに愛を感じて楽しい時を持った。翌日、学校を休んで二人は海岸へ遊びに行き夏の太陽と潮風を思い切り浴びた。「結婚してくれるかい?」「いつかね。でもどうして大人は結婚するとダメになるのかしら?」「きっと、わかりすぎるからだ」「全部わかっちゃうからね」翌日、学校で校長にお説教されるが、そこで二人は宣言する。「ほくたち結婚します」教室に戻ったダニエルをトムを筆頭としてクラスメートが、からかった。怒ったダニエルはトムととっくみあいの喧嘩となったが、先生に引きわけられたとき、トムはダニエルに謝った。そして二人を結婚させてやろうと思った。昼休みが済んでも生徒たちは教室に戻らなかった。ダニエルの母親から「ダニエルが駈け落ちした」と電話があり、校長が調べてみると、二人の結婚式だと言うのだ。先生たちとダニエルの母親はあわてて式の会場の線路下の廃墟へとんで行った。線路下ではトムが牧師の役で厳粛な式が行なわれていた。「先生たちがきたぞ!」という声に生徒たちは逃げ出した。つかまえようとする先生たちと大騒ぎとなったが多勢に無勢、とうとう疲れ果てた先生たちはあきらめて引きあげていった。トムとダニエルとメロディはトロッコの置いてある野原にやってきた。トムは二人を乗せ、笑って送り出した。トロッコは花咲く美しい野原をどこまでも走っていった。
小さな恋のメロディ スタッフ
監督:ワリス・フセイン
脚本:アラン・パーカー
製作:デヴィッド・パットナム,デヴィッド・ヘミングス
撮影:ピーター・サシツキー
編集:ジョン・ヴィクター・スミス
配給:ブリティッシュ・ライオン・フィルム,ヘラルド
小さな恋のメロディ キャスト
ダニエル・ラティマー:マーク・レスター
メロディ・パーキンス:トレイシー・ハイド
トム・オーンショー:ジャック・ワイルド
ミセス・ラティマー(ダニエルの母):シェイラ・スティーフェル
校長先生:ジェームズ・コシンズ
ディックス先生:ケン・ジョーンズ
ミセス・パーキンス(メロディの母):ケイト・ウィリアムス
ミスター・パーキンス(メロディの父):ロイ・キニア
メロディの祖母:ヒルダ・バリー
チェンバース:コリン・バリー
バージェス:ビリー・フランク
ステイシー:アシュリー・ナイト
ダッズ:クレイグ・マリオット
オリアリー:ウィリアム・ヴァンデルパイエ
フェンチャム:ピーター・ウォルトン
ミュリエル:カミーユ・デイビス
モリーン:ドーン・ホープ
ペギー:ケイス・キナー
ローダ:レスリー・ローチ
フェアファックス先生:ジャン・ジャゴ
ディムキンス先生:ジュエル・エリス
フェローズ先生:ティム・ワイトン
少年旅団キャプテン:ジョン・ゴーマン
ベティ:ペタル・ヤング 出演シーンカット
ジョージ:ロビン・ハンター 出演シーンカット
ミスター・ラティマー:キース・バーロン(クレジットなし)